IT重説対応物件とは?意味・探し方・準備から当日の流れまで

不動産仲介の基礎知識

IT重説対応物件とは? 意味・準備・当日の流れを解説するFaciloの記事。
目次

物件情報にある「IT重説対応物件」とは、契約前の重要事項説明を、宅地建物取引士(宅建士)からオンラインで受けられる物件を指します。自宅などから説明を受けられるため、重説のために店舗へ出向く負担を減らせます。

ただし、この表示は事故物件や訳あり物件を意味するものではなく、内見・契約・鍵の受け取りまでオンラインで完結する保証でもありません。大切なのは、希望する物件でどこまで対応してもらえるかを確認することです。

この記事では、IT重説対応物件の探し方、事前準備、当日の流れを解説します。後半の不動産会社向けパートでは、顧客への案内例と社内の確認項目も紹介します。

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IT重説対応物件とは?表示の意味を知ろう

IT重説は、宅建士から重要事項の説明をオンラインで受ける方法

IT重説(アイティーじゅうせつ)は、テレビ会議などを使って行う重要事項説明です。「オンライン重説」と案内されることもあります。借りる・買う予定の物件や取引条件について、宅建士の説明を聞き、分からないことをその場で質問します。録画された説明動画を見るだけの手続きではありません。

国土交通省の実施マニュアルでは、必要な条件を満たしたIT重説を、対面で行う重要事項説明と同様に扱っています。画面越しでも、説明を受ける内容や確認すべき事項が省略されるわけではありません。国土交通省「実施マニュアル」6ページ

ここで押さえたいのは、IT重説は「説明を受ける方法」のことで、書類の電子化や契約の締結とは別だという点です。書類を郵送で受け取り、説明だけをオンラインで受ける進め方もあります。電子書面での交付を選んだ場合も、それに必要な承諾や準備を別途確認します。

相談・物件選び、内見、重要事項説明、契約、引き渡しという取引の例のうち、重要事項説明をオンラインで受ける部分がIT重説であることを示す図。
取引の主な流れの例です。重要事項説明に使う書面は説明前に受け取ります。紙・電子の交付方法と、内見・契約・引き渡しの対応方法はそれぞれ確認してください。実際の順序・方法は取引により異なります。

出典:国土交通省の実施マニュアルをもとにFacilo編集部作成

「IT重説対応」は、事故物件や訳あり物件という意味ではない

「IT重説対応」という表示だけを見て、「対面で説明できない事情があるのでは」と心配する必要はありません。この表示が伝えているのは、重要事項説明の実施方法です。

一方で、IT重説に対応していることが、その物件に告知事項や問題がないという保証になるわけでもありません。気になる点があるなら、「過去の出来事など、事前に知っておくべき告知事項はありますか」と取扱会社に確認しましょう。

設備の状態、周辺の音、日当たりなども、IT重説対応の表示からは判断できません。物件の状態を調べることと、説明を受ける方法を選ぶことを分けて考えると、確認漏れを防ぎやすくなります。

賃貸だけでなく売買でも利用できる

IT重説は、賃貸と売買の両方で利用できます。ただし、希望すればすべての不動産会社・案件で必ず利用できるというわけではありません。不動産会社は、自社の通信環境や案件の特性などを踏まえて対応の可否を判断できます。国土交通省「実施マニュアル」5ページ、同「FAQ」Q2

特に売買では、重説以外にも融資、決済、登記などの確認が必要です。「重説はオンラインでできます」という回答だけで、購入に必要な手続きをすべて自宅で済ませられると考えず、来店・立ち会いが必要な場面を聞いておきましょう。

IT重説対応物件の探し方と、申し込み前の確認ポイント

物件情報の表示と、不動産会社の対応案内を確認する

物件検索サイトでは、物件の詳細情報や設備・特徴の欄に「IT重説対応」「オンライン重要事項説明対応」などの表示がないか確認します。あわせて、取扱会社のページや公式サイトにある、オンライン対応の案内も見ておきましょう。

検索サイトによって表示の場所や検索条件は異なります。「オンライン対応」と書かれていても、相談や内見だけを指している可能性があります。物件選びでは、通話で相談できること、画面越しに内見できること、IT重説を受けられることをそれぞれ確かめるのが確実です。

記載がない物件は、取扱会社に対応できるか聞く

表示が見当たらない場合は、候補から外す前に取扱会社へ問い合わせてみましょう。物件名や掲載ページのURLを添えると、どの物件についての質問か伝わります。

例えば、次のように聞けば、重説とそれ以外の希望を一度に伝えられます。

○○の物件を検討しています。遠方に住んでいるため、重要事項説明をオンラインで受けたいのですが、対応できますか。あわせて、内見・契約書類のやり取り・鍵の受け取りで、来店が必要な場面も教えてください。

すでに申し込みや入居の希望時期が決まっていれば、その日程も添えます。書類の送付や接続確認に使える時間を含め、無理のない進め方を相談しやすくなります。

内見・契約・鍵の受け取りまで来店不要かは、別に確認する

来店せずに進めたい場合は、「IT重説ができるか」だけでなく、手続きごとの対応範囲を確認しましょう。次の表は、問い合わせ時に確認する項目の例です。

手続き

手続きごとに確認すること

質問の例

相談・申し込み

連絡方法、申込書や本人確認書類の提出方法

メールやWebで申し込めますか。提出が必要な書類は何ですか

内見

現地・オンラインなどの対応方法、確認できる範囲

オンライン内見はできますか。現地で確認しておいた方がよい点はありますか

重要事項説明

対象物件でのIT重説の可否、日時、利用するツール

この物件でIT重説を受けられますか。何を使って接続しますか

書類の受け取り・契約

紙か電子か、返送の有無、署名等の方法

重説の書類や契約書はどう受け取り、どのように手続きを進めますか

鍵の受け取りなど

受け取り場所・方法・日程、そのほか来店が必要な場面

鍵はどこで、いつ受け取りますか。ほかに来店が必要な手続きはありますか

売買の場合は、このほかに融資・決済・登記などの進め方と、関係者への確認事項も聞いておきます。上の表は手続きの区分を示したもので、すべての取引が同じ順序・方法で進むという意味ではありません。

電子契約そのものの仕組みや進め方を知りたい方は、不動産の電子契約についての解説もご覧ください。

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IT重説を受けるための条件と、事前に準備するもの

利用の意向を伝え、説明を受ける日時と方法を確認する

まず、不動産会社にIT重説を希望することを伝え、実施できるかを確認します。そのうえで、日時、使用するツール、接続用URLの受け取り方、書類の受け取り方法を決めます。利用するツールによってはアプリの導入や設定が必要なので、当日初めて案内を開くのは避けましょう。

説明を受ける本人・代理人の確認方法と必要書類も、事前に担当者へ確認して準備しましょう。すでに本人確認が済んでいる場合も、当日に追加で用意するものがないか聞いておくと安心です。

IT重説を受ける意思の確認と、重要事項説明書などを電子書面で受け取るための承諾は、内容が異なります。「オンラインで説明を受けたい」と伝えただけで、書類の電子交付も自動的に選択したことにはなりません。

ただし、必ず別々の書式で確認しなければならないわけではありません。国土交通省のFAQでは、対象の取引や電子化する書面の種類などが明確であれば、一度に確認できるとしています。案内や同意欄を見るときは、何について了承するのかを読み、不明点を確認してください。国土交通省「FAQ」Q4

端末・通信環境を整え、スマホで資料を見られるか試す

IT重説では、お互いの映像と音声を確認し、その場でやり取りできる環境が必要です。パソコン、タブレット、スマートフォンなどを使えますが、端末があるだけで準備完了とはいえません。宅建士証の文字や顔写真、説明に使う資料を確認できるか、実際の画面で試すことが大切です。

スマホで受ける場合は、「通話につながるか」に加えて、「説明を聞きながら書類を読めるか」まで確かめましょう。

電子書面を使う場合は、その書面と説明中の宅建士の映像を同時に確認できる必要があります。一つの画面で難しければ、書類を見る端末をもう1台用意する、書類を印刷して手元に置くなどの対応を事前に相談します。単に通話画面と資料画面を交互に切り替えればよい、と自己判断しないようにしましょう。国土交通省「実施マニュアル」22〜25ページ

自宅で受けるなら、当日使う場所・回線・端末で接続を試すと、音の聞き取りにくさや映像の途切れを見つけやすくなります。充電器を近くに置き、ほかの人に会話が聞こえにくい静かな場所を選ぶのも、落ち着いて説明を受けるための工夫です。

重要事項説明書と添付書類を受け取り、接続テストをする

宅建士が記名した重要事項説明書と添付書類は、説明を受ける前に手元に届いている必要があります。電子書面を選んだ場合も、所定の条件を満たす形で提供を受け、開いて読めることを確認します。宅建士が画面共有で見せるだけで、事前の交付を済ませたことにはなりません。国土交通省「実施マニュアル」28〜29ページ

届いた書類は一度目を通し、気になる項目や分からない言葉に印を付けておきましょう。資料が届いていない、ファイルを開けない、添付図面が見つからないときは、実施前に担当者へ連絡します。

確認するもの

実施に向けて確かめること

準備の工夫・困ったときの相談例

日時・接続案内

日時、利用ツール、接続先が分かっている

案内を保存し、当日すぐ開けるようにする

参加者・本人確認

説明を受ける本人・代理人の確認方法と必要書類が分かっている

確認済みの内容と、当日までに準備するものを担当者に聞く

端末・カメラ・音声

双方の映像と音声が通じる

当日と同じ端末でテストし、必要な設定を聞く

通信環境

説明や質問に支障がない状態で接続できる

途切れる場合は場所や回線の変更を相談する

重要事項説明書・添付書類

事前に受け取り、読める状態になっている

未着・不足・開けないファイルは担当者へ伝える

書類と映像の見え方

説明中も必要な資料を確認できる

電子書面と映像を一緒に見にくい場合は、別端末や印刷を相談する

宅建士証の見え方

画面越しに文字や顔写真を確認できる

小さくて読めない場合は、表示方法や端末を相談する

緊急時の連絡先

接続できないときに担当者へ連絡できる

接続URLとは別に電話番号などを控える

メモ・充電・受ける場所

質問を整理し、落ち着いて説明を受けられる

充電器、筆記具、静かな場所を用意する

この表には、実施に必要な確認と、円滑に進めるための工夫を分けて記載しています。筆記具や充電器を用意すること自体が、法律で一律に求められているわけではありません。

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IT重説当日の流れと、うまく進まないときの対処法

開始前に、資料・映像・音声と宅建士証を確認する

案内された方法で接続したら、まず、お互いの顔が見えるか、声が明瞭に聞こえるか、手元の資料を見ながら説明を受けられるかを確認します。事前テストで問題がなくても、当日の環境で確かめる必要があります。

続いて、宅建士が提示する宅建士証を画面で確認します。氏名などの文字が読めることに加え、顔写真と説明している本人を照合できることが必要です。氏名の読み上げなど、見えていることを伝えるよう求められたら応じましょう。ぼやけている場合は、そのまま進めず見えにくいと伝えてください。国土交通省「実施マニュアル」29〜31ページ

説明を受け、分からない箇所はその場で質問する

説明が始まったら、宅建士がどのページ・項目を話しているか確認しながら読み進めます。ページを見失ったときは、「いまは何ページの、どの項目ですか」と聞いて構いません。

例えば賃貸なら、退去の申し出や費用負担について「いつまでに、どの方法で連絡する必要がありますか」「この費用はどのような場合に発生しますか」と質問できます。売買なら、利用上の制限などについて「希望している使い方に影響する条件はありますか」と、自分の予定に照らして聞くと理解しやすくなります。

これらは質問の例です。物件・取引ごとに説明内容は異なるため、金額や条件の読み上げを聞くだけで終えず、意味や自分への影響が分からない部分を確認しましょう。

支障がある・続けることが難しいときは、止めて確認する

音が途切れる、映像が止まる、書類が読めないときは、分かったふりをせず、その場で伝えましょう。映像や音声に支障が生じた場合は説明を中断し、支障が解消してから再開します。解消が難しい場合は、IT重説を中止し、別の日程や対面での説明などを相談します。

接続そのものが切れたときは、事前に控えた電話番号などで担当者へ連絡します。この電話は再接続や日程の相談に使う連絡手段です。映像を確認できないまま、音声通話だけでIT重説を続けるためのものではありません。

また、通信上の問題がなくても、途中で「対面で説明を受けたい」などと考えが変わり、IT重説での継続を望まなくなった場合は、その意向を伝えてください。この場合もIT重説を中止し、その後の説明方法を相談します。通信が復旧したので再開する、という場合とは分けて考えます。国土交通省「実施マニュアル」33〜34ページ

開始前の準備確認と、実施中の対応を示す図。通信などの支障は説明を中断し、解消後に再開、解消が難しければ中止して相談。本人がIT重説を希望しなくなった場合は別の経路で中止し、説明方法を相談する。
実施中の2つの場面を分けています。通信等の支障が解消した場合の再開と、本人の意向変更による中止は別の対応です。開始前の詳しい条件や必要書類は本文・準備表を確認してください。

出典:国土交通省の実施マニュアルをもとにFacilo編集部作成

説明後は、契約・書類・鍵などの次の手続きを確認する

IT重説が終わったら、確認できていない疑問が残っていないかを整理し、次に必要な手続きを担当者に聞きます。重説の終了だけで、契約や入居・引き渡しに向けたすべての手続きが完了するわけではありません。

「次に自分が行うこと」「期限」「提出・返送先」「担当者の連絡先」をメモにしておくと、説明後に迷いにくくなります。賃貸なら契約書類や支払い、鍵の受け取りなど、売買なら契約や決済などの案内を、個別の取引の流れに沿って確認しましょう。

受け取った重要事項説明書などは、後から見返せる場所へ保管します。電子書面の保存方法が分からなければ、その場で説明を受け、実際に保存できているか確かめておくと安心です。

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IT重説のメリットと注意点を比べて、自分に合う方法を選ぶ

移動の負担を減らし、離れた場所から説明を受けられる

IT重説の利点は、説明を受けるための移動を減らせることです。遠方への引っ越しや、店舗までの移動時間を確保しにくい場合には、予定を調整しやすくなります。

ただし、オンラインだからといって、予約なしでいつでも説明を受けられるわけではありません。担当する宅建士との日程調整や、書類を受け取るための準備は必要です。移動が減った分を、書類に目を通す時間や質問を整理する時間に充てるとよいでしょう。

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操作・資料の見やすさ・質問のしやすさに不安があれば相談する

IT重説が便利かどうかは、移動距離だけでは決まりません。操作の不安や画面の見づらさが大きい場合は、事前に接続練習をする、別の端末を使う、対面で受けるなど、自分が理解しやすい方法を相談しましょう。

自分の状況

利点・気を付けたいこと

相談するとよいこと

遠方に住んでいる

重説のための移動を減らせる一方、ほかの手続きで訪問が必要な場合がある

来店・立ち会いが必要な手続きと日程

スマホしか持っていない

接続できても、書類や図面を見にくいことがある

別端末や印刷資料を使う方法、事前テスト

テレビ会議に慣れていない

操作や設定に時間がかかる可能性がある

接続練習、操作案内、困ったときの連絡先

聞きたいことが多い

その場で質問できるが、資料の該当箇所を共有する工夫がいる

質問リストを事前に送る方法、時間の確保

通信や場所に不安がある

音声・映像の途切れや周囲の音で説明に集中できないことがある

別の場所・回線・日程、対面での説明

選ぶ基準は、オンラインか対面かそのものより、説明を理解し、疑問を解消できるかどうかです。操作経験や不安の内容は人によって異なります。年齢などで一律に向き不向きを決める必要はありません。

なお、IT重説は物件の状態を体感する内見の代わりにはなりません。現地で確かめたいこと、映像や写真で確認したいことは、物件選びの段階で別に整理しておきましょう。

IT重説を利用するときのよくある質問

IT重説に追加の費用はかかりますか?

利用に伴う費用は、依頼する不動産会社や利用環境を確認してください。一律に無料だと決めつけず、会社から請求される費用があるか、通信料や端末の準備など自分で負担するものがあるかを分けて聞くと明確になります。

料金案内が分かりにくい場合は、「IT重説を選ぶことで、対面の場合と比べて追加になる費用はありますか」と、申し込み前に確認しておきましょう。

どのくらい時間を空けておけばよいですか?

説明内容や質問の量によって変わるため、担当者に所要時間の目安を確認してください。説明時間だけでなく、接続確認や質問のための余裕も含めて予定を組みます。

直後に別の予定があると、確認したいことが残っていても質問しづらくなります。気になる項目が多い場合は先に伝え、必要な時間を相談しましょう。

説明を録画・録音してもよいですか?

録画・録音を希望する場合は、事前に不動産会社へ相談しましょう。家族などが同席する場合も、事前に担当者へ伝えましょう。国土交通省の実施マニュアルでは、利用目的を明らかにし、双方の了解のもとで記録するなどの対応を示しています。IT重説だから必ず録画する、という仕組みではありません。

録画・録音には個人情報が含まれるため、実施の可否だけでなく、利用目的・保存・共有の扱いも確認しておきましょう。会社側が記録する場合も、何のために残すのか、記録を確認したいときにどうすればよいかを聞いておくとよいでしょう。国土交通省「実施マニュアル」32ページ、同「FAQ」Q37〜40

海外にいてもIT重説を受けられますか?

国土交通省のFAQでは、日本国外にいる場合もIT重説は可能とされています。実施に必要な通信環境などの条件を満たせるか、不動産会社に確認しましょう。国土交通省「FAQ」Q5

時差、書類の受け取り方法、接続先の利用環境も含めて相談すると準備しやすくなります。海外からIT重説を受けられることと、本人確認・契約・決済などの手続きをすべて海外から完了できることは別です。

利用を検討している方は、まず取扱会社へ、IT重説の希望、使える端末、希望日時を伝えてみてください。物件ごとの対応範囲を確認したうえで、自分が落ち着いて説明を受けられる方法を選びましょう。

【不動産会社向け】IT重説の案内と実施体制を整える

ここからは、IT重説を案内・実施する不動産会社の方向けに、顧客への伝え方と社内の役割分担を整理します。借主・買主への案内と、宅建士や営業担当者が確認する事項をそろえることが、円滑な運用の出発点です。

対応範囲・必要な準備・連絡先を、顧客へまとめて案内する

案内には、IT重説の日時や接続先だけでなく、書類の受け取り方法、端末・資料の確認、接続できないときの連絡先をまとめます。契約や鍵の受け取りなど、ほかの手続きについても分けて案内すると、顧客の「すべてオンラインで終わる」という誤解を防ぎやすくなります。

以下は、実施が決まった後に送る案内文の例です。編集部が作成した連絡文であり、法令上必要な承諾を取得するための書式ではありません。実際の運用・交付方法に合わせて調整してください。

○○様の重要事項説明は、○月○日○時から、○○を使用してオンラインで実施します。接続先は○○です。事前にお送りする重要事項説明書・添付書類を受け取り、読めることをご確認ください。

当日は、相互に映像・音声を確認できる端末をご用意ください。電子書面と宅建士の映像を一緒に見にくい場合は、別端末や印刷などの準備をご案内しますので、事前にご相談ください。接続テストは○月○日○時を予定しています。

接続できない場合の連絡先は○○です。契約書類の手続き・鍵の受け取りについては○○の方法でご案内します。ご不安な点がある場合や対面をご希望の場合も、担当の○○までお知らせください。

電子交付への承諾や録画・録音の扱いなどは、この案内文だけで済ませたと考えず、自社の手順に沿って対象・方法・利用目的を確認します。顧客に複数の連絡を送る場合も、最新の案内と必要な対応が分かる状態にしておきましょう。

賃貸仲介のご担当者へ|物件提案も、お客様が確認しやすい形に

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担当者、開始前の確認、トラブル時の切り替えを決める

営業担当者が事前案内を担う場合も、当日の宅建士が書類・接続・顧客の意向を確認できるよう、引き継ぐ情報を決めておきましょう。「連絡を送った」と「顧客が受け取り、実施できる状態になった」は同じではありません。

次の表は、社内で役割と記録をそろえるための運用例です。担当の分け方は自社に合わせて調整し、法令・国土交通省の実施マニュアルで求められる確認は別途満たします。

場面・担当の例

確認すること

引き継ぐ記録の例

案内/営業担当者

対応範囲、日時、利用ツール、ほかの手続きの方法を伝えたか

最新の案内内容、顧客からの質問、連絡先

意向・承諾/担当者と宅建士

IT重説の意向、電子交付を行う場合の承諾内容を確認したか

対象取引・書面・方法、確認した日時・内容

書類/送付担当者と宅建士

必要な書類を事前に提供し、顧客が利用できる状態か

交付した書類、方法、受領・閲覧に関する確認

接続/支援担当者と宅建士

映像・音声・資料の見え方と、代替の連絡手段を確かめたか

使用端末、テスト結果、必要な支援

当日/説明する宅建士

本人・代理人の確認状況、開始前の環境、宅建士証の視認、途中の支障や意向の変化を確認したか

本人・代理人を確認した担当者・日時・方法、実施内容、質問、中断・中止した場合の理由と対応

終了後/宅建士と営業担当者

未解消の質問と次の手続きを引き継いだか

回答が必要な事項、次の担当者・期限、再調整の内容

国土交通省のマニュアルでは、賃貸などの売買以外の取引について、説明を受ける相手が契約当事者本人(代理人を含む)であることを実施までに確認する旨を、留意事項として示しています。売買取引では、犯罪収益移転防止法に基づく本人確認が必要です。取引に応じた確認方法を用い、事前に確認を済ませた場合も、その担当者・日時・方法を当日の宅建士へ引き継ぎましょう。国土交通省「実施マニュアル」35ページ

機器や回線の支障では、説明を中断し、解消を確認してから再開します。解消できない場合や顧客がIT重説での継続を望まない場合の中止、対面等への切り替えについても、担当者が判断・連絡できる手順を用意しましょう。

録画・録音を行う運用なら、双方の了解、目的、保存先、アクセス権限、共有方法などを決めておきます。録画・録音データの保存期間について、宅建業法上の一律の期間が定められているわけではありません。説明を受ける相手の同意を得たうえで、利用目的や取引の内容に応じて設定します。ほかの書類に関する保存義務と混同せず、利用目的に必要な範囲を超えて保存し続けないことも大切です。国土交通省「FAQ」Q37〜40

録画・録音を行っている際に、同意を得た相手以外が同席した場合は、いったんIT重説を中止し、追加の参加者から同意を得るなどの対応を行うか、離席してもらいます。説明を受ける本人の同意が、ほかの同席者にも及ぶわけではありません。国土交通省「FAQ」Q41

問い合わせ・中断・再調整の理由を振り返る

運用の見直しでは、所要時間の短縮だけを目標にせず、顧客が理解し、質問できていたかも確認しましょう。例えば、接続方法の問い合わせが多ければ案内を見直し、書類が見つからず開始が遅れるなら、送付後の確認方法を改善します。

振り返りの項目としては、事前の問い合わせ内容、開始できなかった理由、中断・中止の理由、対面への変更理由、説明後に残った質問などが考えられます。数字を比較する場合は、「その月に予定したIT重説のうち、何件が日程再調整になったか」のように、対象期間と母数をそろえて記録します。

件数だけでは原因は分かりません。顧客の希望変更、端末の設定、書類の準備不足などを区別し、次回の案内や支援に反映すると、必要な対応を見つけやすくなります。

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執筆:Facilo編集部/制度・製品情報の確認日:2026年10月1日