不動産DXとは?活用事例・ツールの選び方と導入の進め方

DX・システム

不動産DXの活用例、ツール選び、導入の進め方を解説
目次

不動産DXとは、データやデジタル技術を使い、不動産業務の進め方や顧客へのサービスを変える取り組みです。紙をなくす、システムを導入するといった手段に加え、物件情報を探す時間を減らす、希望に合う提案を早く届ける、担当者が不在でも対応を引き継げる、といった変化を目指します。

何から始めるか迷う場合は、手戻り・対応漏れ・顧客の待ち時間が生じている業務を一つ選ぶことから着手しましょう。改善の影響と導入・運用の負担を比べ、小さな範囲で試すと、自社に必要な仕組みを判断しやすくなります。

この記事では、売買仲介・賃貸仲介・賃貸管理・開発・運営の活用例を整理したうえで、仲介会社の実務と事例、ツールの選び方、導入・定着の手順を解説します。自社の課題を整理したい方にも、導入候補を比較したい方にも使える判断表を用意しました。

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不動産DXとは?IT化・不動産テックとの違い

不動産DXで目指すのは、デジタル技術を使って、業務の流れと顧客への価値を変えることです。導入したシステムの数だけでは、取り組みが進んだかどうかを判断できません。

IPAが紹介する経済産業省のDXの定義でも、データや技術の活用とともに、顧客のニーズを踏まえたサービス・業務・組織などの変革が重視されています。不動産会社では、日々の業務を改善し、その成果を顧客対応や事業の強みに結び付ける視点が必要です。参考:IPA「DXをわかりやすく解説」

紙をデータにすることと、業務の流れを変えることの違い

たとえば、紙の販売図面をPDFにすれば、保管や送付はしやすくなります。しかし、担当者が毎回資料を探し、加工し、メールに添付しているなら、提案までの手順は大きく変わりません。

物件と顧客の情報を共有し、過去に提案した物件や顧客の反応を確認して次の提案を考えられるようになると、作業の方法に加えて判断の仕方も変わります。次の表は、同じ物件提案業務を見直す例です。

見直す対象

取り組みの例

確認したい変化

情報の形式

紙の図面をPDFにする

資料を保管・送付しやすくなったか

作業の手順

物件情報を共有し、資料準備や提案の重複を減らす

探す・作り直す時間が減ったか

顧客対応と判断

提案履歴や反応を確認し、次の連絡・提案を選ぶ

顧客の検討状況に合う対応ができたか

この三つは、必ず順番に通過する段階ではありません。すでにデータがあれば、その活用から始められます。一方、情報が整理されていなければ、入力項目や保管先をそろえることが改善の土台になります。

不動産テックは技術・サービス、DXはそれを使った業務や事業の変革

不動産テックは、不動産分野に技術を取り入れたサービスや取り組みを広く指す言葉です。物件検索、VR内見、電子契約、AI査定などが含まれます。IT化は、こうした情報技術を業務へ取り入れることとして使われます。

これらの言葉の範囲は重なりますが、導入を考えるときには「何を使うか」と「それによって何を変えるか」を分けると整理しやすくなります。電子契約サービスを契約することと、顧客の移動や書類の差し戻しを減らすことは、別々に確認すべき項目です。

日本の仲介業務でDXを進める際の特徴も知りたい方へ。日米の業界構造とDX推進の違いをまとめた比較レポートをご用意しています。

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不動産業界でDXが求められる3つの背景

不動産DXを検討する背景は、社内の効率化だけではありません。限られた人員で業務を回すこと、顧客が比較・判断しやすいサービスを提供すること、変化した制度や技術を活かすことを、あわせて考える必要があります。

限られた人員で、顧客対応に使う時間を確保する

営業担当者の仕事には、顧客との商談以外にも、物件確認、入力、資料加工、社内報告、日程調整などがあります。人を増やしても、同じ情報を繰り返し入力する仕組みが残れば、その分だけ作業も増えます。

そこで着目したいのが、専門的な判断を必要とする仕事と、繰り返し作業の切り分けです。資料の転記や定型的な共有を減らせれば、希望条件の聞き取りや、物件の比較説明に時間を振り向けられます。削減した時間を何に使うかまで決めておくと、現場にも導入の目的が伝わります。

顧客が比較・検討しやすい情報提供が求められる

物件の情報量が多くても、メールや添付資料に分散していると、顧客は候補を比較しにくくなります。家族と相談するときに情報を探し直したり、前に聞いたことをもう一度確認したりする負担も生じます。

Faciloが2024年3月に不動産購入経験者1,652人へ行ったインターネット調査では、仲介会社のデジタル化の取り組みが会社選びの決め手になったとの回答が52.8%でした。これは購入経験者の回答に基づく結果であり、DXの導入によって成約が増えたことを示す実験ではありません。ただ、顧客が選びやすい接客・情報提供を考えるうえでの手掛かりになります。出典:Facilo「顧客満足度のメカニズム調査」(2024年3月25〜29日調査、資料記載p.18)

業務効率とあわせて、購入者がどのような対応を評価しているかを確認したい方へ。不動産購入経験者を対象に、仲介会社に対する顧客満足度のメカニズムを調べた資料をご用意しています。

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IT重説・書面電子化など、取引をデジタルで進める環境が整う

重要事項説明をオンラインで行うIT重説と、契約関係書面の電子化は、別の仕組みです。制度の開始時期も異なります。

制度・運用

開始時期

何が変わったか

賃貸取引のIT重説の本格運用

2017年10月1日

一定の条件のもと、対面と同様にオンラインで重要事項説明を行えるようになった

売買取引のIT重説の本格運用

2021年3月30日

売買取引でもIT重説を本格運用できるようになった

宅地建物取引業法に基づく書面の電子化

2022年5月18日

相手方の承諾などの要件を満たせば、重要事項説明書等を電磁的方法で提供できるようになった

出典:国土交通省「賃貸取引のIT重説」「売買取引のIT重説」「書面の電子化・実施マニュアル」

IT重説を実施できることだけで、すべての書面や契約手続きが電子化されるわけではありません。説明に必要な通信環境や書面の確認、電子交付への承諾など、対象となる手続きごとの条件を確認しましょう。具体的な進め方は、IT重説の対応条件と不動産の電子契約・書面電子化で解説しています。

業態別に見る不動産DXの活用例

DXの対象業務は、売買仲介・賃貸仲介・賃貸管理・開発・運営で異なります。同じ「物件管理」という言葉でも、広告に使う物件情報の管理と、入居後の家賃・修繕の管理は分けて考えましょう。

以下は一般的な活用例です。特定の企業で達成された成果や、単一製品ですべて対応できる機能を表すものではありません。

売買仲介、賃貸仲介、賃貸管理、開発・運営で異なるDXの対象業務。仲介の詳細は物件情報管理、顧客管理、物件提案に分けて整理します。
一般的な対象業務の例です。単一の製品がすべてに対応することを示す図ではありません。

業態

主な対象業務

改善の方向

売買仲介

物件提案、追客、売却活動の報告

顧客の検討状況に合う提案・説明を行う

賃貸仲介

募集状況の確認、物件提案、内見調整、申込受付

情報確認とやり取りの待ち時間を減らす

賃貸管理

家賃・契約管理、入居者対応、修繕、オーナー報告

受付から処理・報告までの進捗を共有する

開発・運営

土地・周辺環境の調査、設計情報の共有、建物運用

関係者が判断に使うデータを扱いやすくする

売買仲介:買主への提案と、売主への販売活動の共有

買主への対応では、希望条件や資金計画、提案済みの物件、内見後の感想を踏まえて次の候補を選びます。こうした情報が担当者の手元だけにあると、別の担当者が応対するたびに確認が必要です。

顧客情報と提案履歴を共有すれば、過去のやり取りを確認してから対応できます。顧客側にも候補を比較できるページを用意すれば、家族で相談しやすくなります。

一方、売主に必要なのは、自分の物件にどのような反応があり、どんな販売活動が行われたかという情報です。反響や内見の状況、周辺の競合物件の動きなどを共有すると、販売方針を話し合う材料がそろいます。

賃貸仲介:物件確認・提案・内見調整のスピードを上げる

賃貸仲介では、紹介可能な物件かどうかの確認から、内見の予約、申込情報の引き継ぎまで、社内外の調整が続きます。確認のたびに電話をかけ、返答を待って顧客へ連絡する流れでは、待ち時間が積み重なります。

募集情報を確認する仕組み、内見予約、Web申込などを業務に合わせて使うと、繰り返しの確認を減らせます。ただし、管理会社が使っている仕組みや対象物件によって対応範囲は異なります。自社だけで完結する物件提案の改善と、取引先の対応が必要な手続きの改善を分けると進めやすくなります。

賃貸仲介で、反響後の物件提案をより早く進めたい方へ。物件検索・提案準備・顧客との情報共有を支えるFacilo賃貸クラウドをご確認ください。

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賃貸管理:入居者・オーナー対応と管理業務をつなぐ

賃貸管理では、募集情報の整理に加えて、家賃の請求・入金、契約更新、退去、設備の修繕などを継続的に扱います。入居者からの問い合わせを記録しても、修繕担当や協力会社への依頼状況が別の場所にあると、対応が止まっていることに気付きにくくなります。

問い合わせと物件・契約の情報を結び付け、担当者、対応期限、完了状況を共有する運用が重要です。入居者・オーナー向けのポータルやアプリを使う場合も、連絡を受け付けるだけでなく、社内の処理や報告へどう引き継ぐかを設計しましょう。

物件開発・運営:調査・開発・建物運用のデータを活かす

開発・運営では、土地や周辺環境の情報、建物の設計データ、設備の稼働状況などが判断材料になります。たとえば、3D都市モデルで周辺環境を把握する、BIMを用いて建物の情報を関係者で共有する、といった活用が考えられます。

国土交通省も、PLATEAUの3D都市モデル、BIM、不動産IDなどの連携を進める方針を示しています。ただし、公的なデータ基盤があることと、自社の業務ですぐに使えることは同じではありません。対象地域、情報の更新時期、自社データとの対応関係を確認する必要があります。参考:国土交通省「建築・都市のDX」

企業ごとの取り組みを確認したい方は、不動産DXの成功事例をまとめた記事をご覧ください。次の2章では、主に売買仲介の実務と事例を掘り下げます。その後の優先順位・選定・導入の考え方は、他の業態にも置き換えて使えます。

不動産仲介のDXは、物件・顧客・提案の情報をつなぐ

仲介業務では、物件情報管理・顧客管理・物件提案を分けて整理すると、改善点を見つけやすくなります。大切なのは、必要な物件情報と顧客情報を使って提案し、その反応を次の対応へ戻せることです。

物件情報管理:入力・更新・資料準備の重複を減らす

物件情報管理は、価格、所在地、間取り、写真、募集状況などを整理し、掲載や提案に使える状態にする仕事です。複数の掲載先へ同じ内容を入力している場合は、入力元をそろえるだけでも見直す意味があります。

ただし、最初の登録だけが簡単になっても、価格変更や掲載終了を各所で直す必要があれば、更新負担は残ります。入力・更新・停止までを一続きで確認しましょう。売主や管理会社への確認が必要な情報は、データがあることだけで最新・正確だと判断しないことも大切です。

Facilo AI駆動コンバーターは、物件情報の複数ポータルへの一括入稿を支援するサービスです。顧客の希望条件や連絡履歴を扱うCRMとは役割が異なります。対応ポータル、取り込む資料、出力する項目、オプションの範囲は導入前に確認してください。参考:Facilo AI駆動コンバーター公式情報

顧客管理:希望条件・連絡履歴・対応状況を共有する

顧客管理では、氏名や連絡先だけでなく、希望条件、検討時期、連絡方法、前回の会話、次の対応予定を扱います。希望条件が変わったときに、誰がどこへ記録するかまで決めておくと、古い条件で提案し続けることを防ぎやすくなります。

CRMは顧客との関係や履歴を管理する仕組み、SFAは商談の進捗など営業活動を支援する仕組みとして使われる言葉です。実際のサービスでは機能が重なるため、名称よりも、自社で共有したい情報が入るかどうかを確認しましょう。

メール、電話、LINE、顧客とのチャットなど、連絡手段が増えるほど履歴は分散しやすくなります。自動で取り込める履歴と、担当者が記録する情報を区別し、社内チャットへ貼り付けただけで顧客台帳の更新が終わったことにしない運用が必要です。詳しい比較軸は不動産CRMの機能と選び方で解説しています。

顧客情報と連絡履歴を、チームで使える状態に

希望条件や前回の会話が担当者ごとに分かれている場合は、顧客管理の仕組みから見直せます。Facilo AI駆動CRMは、顧客情報・対応履歴の共有や、LINE・メールなどの連絡を支援します。

  • 対応の履歴を確認し、担当者が変わっても経緯を把握する。
  • 顧客への連絡と社内での情報共有を、日々の業務に組み込む。

現在の運用と比べたい方は、資料で機能と対象業務をご確認ください。利用できる機能や連携条件は導入時に確認できます。

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買主への物件提案と売主への活動共有を進めやすくする

買主への物件提案では、候補を送ることに加え、「なぜこの物件を勧めるのか」「他の候補と何が違うのか」を伝えます。情報を一つのページで比較できれば、顧客はメールを探し直さずに検討できます。

提案後の閲覧や問い合わせの記録は、次の連絡を考える材料になります。ただし、閲覧が多いことだけで購入意思が固まったと決め付けるべきではありません。家族で確認しているのか、条件に迷っているのかは、対話で確かめる必要があります。

売主への情報共有では、販売活動と顧客からの反応を整理し、今後の方針を話し合います。たとえばFaciloの物件購入クラウドは買主向けのマイページでの物件提案を、物件売却クラウドは売主向けの活動状況や資料の共有を支援します。対象となる顧客と共有する情報が異なるため、必要なサービスを分けて検討しましょう。参考:物件購入クラウド、物件売却クラウド

買主への提案・閲覧状況の把握を改善したい方へ。 物件購入クラウドの機能を資料で確認できます。

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売主への販売活動の共有を見直したい方へ。 物件売却クラウドの資料で、活動報告や情報共有の方法をご確認ください。

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分散した物件情報と顧客情報を共有し、提案・共有、反応の確認、次の対応へつなげる仲介業務の概念図。
閲覧状況だけで顧客の意思を断定せず、対話も踏まえて次の対応を考えます。矢印は業務の流れを示し、全項目の自動連携や成果を保証するものではありません。

内見・申込・契約へ、必要な情報を引き継ぐ

提案から先の工程でも、情報の引き継ぎが必要です。内見時に確認したいこと、日程の希望、申込に必要な情報、契約までの未解決事項が担当者ごとに分かれていると、顧客は同じ説明を繰り返すことになります。

現場の課題

見直す業務

確認する指標の例

図面や写真を探し直している

保管先と物件の識別方法をそろえる

提案準備にかかった時間

前回の会話が分からない

連絡履歴と次の対応を共有する

対応期限を過ぎた未処理件数

顧客が候補を比較しにくい

提案情報をまとめ、比較する理由を伝える

再送依頼、比較に関する問い合わせ

内見・契約担当に情報が届かない

引き継ぐ項目と確認する担当を決める

情報不足による再確認・差し戻し件数

表の指標は運用を点検する例です。すべてが自動集計されるとは限りません。また、同じ会社の製品同士でも、どの項目がどのタイミングで連携するかは確認が必要です。情報をつなぐ設計と、製品間の自動連携は区別してください。顧客の状況に応じた連絡方法は、不動産の追客方法と運用のポイントでも紹介しています。

不動産DXの成功事例|売買仲介2社に学ぶ導入と運用の工夫

ここでは、企業規模や導入前の課題が異なる売買仲介2社の取り組みを紹介します。事例は成果の数字だけでなく、変えた業務と、使い続けるための工夫まで読むと、自社へ応用しやすくなります。いずれもFaciloが公開する導入インタビューに基づく内容です。

ハローホーム:物件提案の準備時間を減らし、顧客の反応を次の対応へ

株式会社ハローホームでは、販売図面の加工とメールへの添付に手間がかかり、返信がない顧客の状況も分からないことが課題でした。物件購入クラウドの導入後、担当者は提案メール1件の作成が約30分から約10分になったと説明しています。

同社は既存の基幹システム「DO NETWORK!」を顧客・物件情報の管理と契約処理に使い、日々の物件提案と追客はFaciloで行っています。既存システムを残し、それぞれが担う業務を分けた運用です。

また、顧客の閲覧状況を確認して次の連絡を考えるようになりました。導入当初の利用の差に対しては、責任者による活用の働きかけや、営業活動へのフィードバック、カスタマーサクセスによる勉強会が行われています。数値は同社のインタビューで報告された個別の結果で、すべての導入企業に同じ短縮を約束するものではありません。出典:ハローホーム導入事例

三井不動産リアルティ:物件情報の共有と顧客の利便性を改善

三井不動産リアルティの導入事例では、顧客が物件情報を確認しているか分からないことや、手作業による帯替えが課題として挙げられています。

導入後は、顧客による物件情報の確認を通知で把握し、帯替えや内見依頼の作業を効率化したと紹介されています。顧客が複数の物件をマイページで確認できる点も、利便性として挙げられています。この公開事例の概要には削減時間の数値は示されていないため、効果を数値で横比較することはできません。出典:三井不動産リアルティ導入事例

事例を自社に当てはめるときに確認したい条件

企業

導入前の課題

公開事例から確認できる変化

ハローホーム(事例掲載上の規模区分:11〜30名)

提案準備の負担と、顧客の反応の把握

提案メール作成時間の短縮、閲覧情報を使った対応、社内での活用促進

三井不動産リアルティ(事例掲載上の規模区分:100名以上)

物件閲覧の把握と、手作業による資料加工

顧客の確認状況の把握、帯替え等の効率化、マイページでの情報共有

自社と比べる際には、元の作業手順、利用者の範囲、既存システムの役割、現場への支援体制を確認しましょう。同じ機能を導入しても、対象業務や運用が違えば結果は変わります。売買仲介以外の取り組みは、業態・企業別の不動産DX事例を参照してください。

自社に近い会社の取り組みを、導入事例集で確認

自社に近い会社の導入後の姿を知りたい方へ。Facilo導入事例集では、導入前の課題と取り組み、営業成果や顧客体験の変化を紹介しています。事例の条件を比較しながら、自社で見直す業務を考える材料にできます。

→ Facilo導入事例集をダウンロードする

自社の不動産DXは何から始める?優先順位の決め方

最初に導入すべきツールは、企業規模や業態だけでは決まりません。実際に起きている困りごとを確認し、改善したときの影響と、導入・運用にかかる負担を比べて対象を絞りましょう。

ここからは、仲介以外の業態でも使える選定・導入の考え方を扱います。具体例は、自社の担当業務へ置き換えて検討してください。

現場の手戻り・対応漏れ・顧客の待ち時間を洗い出す

「営業が忙しい」「管理業務が煩雑」といった課題は、そのままでは解決策を選びにくい状態です。「同じ情報をどの画面へ入れ直しているか」「誰の確認を待っているか」「顧客から再度連絡が来たのはなぜか」まで具体化しましょう。

売買仲介なら、提案の準備から顧客への連絡までを一件ずつ追う方法があります。賃貸管理なら、問い合わせの受付から修繕完了・報告までの流れを確認します。担当者への聞き取りと実際の履歴を組み合わせると、記憶に残った一件だけで判断することを避けられます。

記録するのは、作業時間だけではありません。やり直しの回数、返答までの時間、情報を確認する相手も残しておくと、どこを変えるべきか見えやすくなります。

改善の影響と導入・運用の負担を比べる

次の表は、課題を検討するための例です。特定の件数や点数を超えたら導入すべき、という一律の基準ではありません。

業務上の課題の例

まず確認する事実

改善で目指す変化

導入・運用の負担

売買仲介:提案準備に時間がかかる

資料を探す・加工する時間と頻度

顧客へ提案するまでの時間を短くする

物件情報の移行、使い方の習得

仲介:追客の対応漏れがある

担当未定・期限超過が起きる場面

次の対応を担当者間で共有する

顧客情報の整理、記録ルールの統一

賃貸管理:修繕の進捗が分からない

受付後に情報が途切れる箇所

入居者へ状況を説明できるようにする

協力会社との連絡方法、進捗更新の担当

開発・運営:関係者が古い資料を使う

資料の保管先と更新・配布の方法

判断に使う版をそろえる

データ形式の統一、閲覧権限の整理

たとえば、「提案準備に時間がかかる」ことと「追客の対応漏れ」が同時に課題になっている仲介会社を考えます。対応漏れによって顧客を待たせる状況が続いているなら、担当者と対応期限の共有から試す方法があります。一方、対応漏れが少なく、資料加工が提案を遅らせているなら、提案準備の見直しを先に試せます。同じ業態でも、発生状況と顧客への影響、変更に必要な負担によって順序は変わります。

最初に試す業務と、改善を判断する指標を決める

優先する課題を選んだら、「誰が、どの業務を、何のために変えるか」を一文にします。たとえば売買仲介なら、「提案担当者が資料加工の重複を減らし、問い合わせ当日に候補物件を案内できるようにする」といった形です。

そのうえで、導入前の実態と、試行後に判断する条件を決めます。業務時間が減っても、物件情報の間違いや顧客の不便が増えていれば、改善したとは言い切れません。時間と品質を組み合わせて確認しましょう。

顧客管理と物件提案のどこから見直すか迷う場合は、現在の業務を踏まえて相談できます。Faciloで対応できる範囲や、今のシステムとの使い分けを確認したい方はこちらからお問い合わせください。

→ 自社の仲介業務について導入相談をする

不動産DXツールの種類と、自社に合う選び方

ツールは、自社が変えたい業務を決めてから、対応範囲・連携・使いやすさ・費用を比較すると選びやすくなります。用途が異なるサービスを一列のランキングに並べても、自社に合うかどうかは分かりません。

以下はFacilo編集部による用途別の整理です。Faciloのサービスも含め、公式情報で確認できる機能の例を紹介します。優劣の順位や、各区分をすべて導入すべきという推奨ではありません。

仲介・賃貸管理・査定など、用途別にツールの種類を比較する

種類

主に変える業務

サービス例

選定時に確認したいこと

物件入力・掲載/情報管理

物件登録、複数ポータルへの入稿・更新

Facilo AI駆動コンバーター、いえらぶCLOUD

対応する掲載先、更新・掲載停止、移行する項目

顧客管理・追客

希望条件、連絡履歴、対応状況の共有

Facilo AI駆動CRM、いえらぶCLOUDの顧客管理

記録できる連絡手段、次の対応、権限、提供中の機能

物件提案・顧客との情報共有

買主への提案と、検討状況の把握

Facilo 物件購入クラウド

マイページの見やすさ、履歴、CRMとの役割分担

賃貸の募集・内見予約・申込受付

募集情報の共有、予約と申込のやり取り

ITANDI BB、ITANDI 賃貸管理の内見・申込システム

管理会社側の対応、予約できる物件、申込情報の引き継ぎ

契約の電子化

書類の送付、署名、締結状況の確認

クラウドサイン

対象書面、相手方の対応、社内承認、保存方法

内見・物件情報の伝え方

現地訪問前の空間把握、オンラインでの物件紹介

スペースリー

パノラマVRの撮影・更新、共有方法、閲覧環境

賃貸管理・入居者/オーナー対応

家賃請求・入金、契約、問い合わせ・修繕の管理

賃貸革命

管理情報と連絡履歴の関係、関連アプリとの連携、追加費用

査定・価格検討

価格の参考情報の取得、査定書作成、物件分析

PriceHubbleの査定書作成・物件分析ツール

対象地域・物件、参照データ、更新時期、価格の根拠

オンライン相談・問い合わせ受付

遠隔相談、定型的な質問対応、営業時間外の受付

Web会議、チャット、チャットボット、電話自動応答など

有人対応への引き継ぎ、応対履歴、個人情報の扱い

他社サービスの出典:公式のいえらぶCLOUD機能一覧、ITANDIの内見・申込等の導入発表、クラウドサイン不動産向け案内、スペースリー不動産VR、賃貸革命の管理業務機能、PriceHubbleの不動産会社向け案内。掲載機能は2026年10月6日に確認しています。

Facilo AI駆動CRMの公式ページでは、顧客情報・対応履歴の管理やLINE・メール等の連絡機能が紹介される一方、AIによる一部の機能には「開発中」と記載されています。製品名にAIが含まれることだけで、紹介されるすべてのAI機能がすぐ使えるとは判断せず、必要な機能の提供状況を確認してください。参考:Facilo AI駆動CRM公式情報

同じ区分の中にも違いがあります。たとえば、物件のポータル掲載と、賃貸管理の入金処理・修繕管理は別の業務です。入居者・オーナー向けアプリを追加する場合も、どの情報が管理システムへ戻るか、どの機能が別契約かを確認します。

査定ツールでは、算出された価格がどの物件・データをもとにしているかを確認しましょう。室内の状態、個別の権利関係、売却条件など、入力や参照データに含まれていない事情もあります。AIの査定額は成約価格の保証ではなく、担当者が現地の状況や市場の情報と照合して説明するための材料です。

オンライン相談とIT重説も分けて考えます。一般の相談にWeb会議を使えることだけでは、法定の説明に必要な条件を満たしたことにはなりません。チャットボットは定型回答型と生成AIを使うものなど方式が異なり、電話自動応答も受付後の折り返し担当・期限まで決めて初めて運用がつながります。

既存システムとの連携・データ移行・重複入力を確認する

「連携できます」という説明を受けたら、連携する項目と方向、頻度を確かめましょう。顧客名だけが引き継がれる場合と、連絡履歴・担当者・希望条件まで反映される場合では、残る作業が異なります。

  • データ移行: 顧客、物件、過去の連絡履歴のうち、何を移せるか。重複や空欄を誰が整理するか。
  • 日々の連携: 自動連携か、CSVの取り込みか、手入力か。更新がいつ反映されるか。
  • 情報の管理元: 同じ項目が複数のシステムにあるとき、どちらを最新情報として扱うか。
  • エラーと終了時の対応: 連携に失敗したことを誰が確認するか。利用終了時にデータをどの形式で取り出せるか。

デモでは、普段起きる変更を試すと判断しやすくなります。希望条件の変更や担当替え、物件価格の変更を想定し、どの画面まで更新が届くかを見せてもらいましょう。

現場で使える操作性・サポート・権限管理を確認する

選定担当者だけでなく、日常的に使う営業・事務・管理担当者にも操作を確認してもらいます。顧客を探す、前回の履歴を見る、次の対応を記録する、といった実際の仕事を試すと、使いにくい箇所を見つけやすくなります。

サポートは、導入時の説明会だけでなく、運用中の問い合わせ方法、対応時間、新しく入った社員への説明も確認します。社内で誰に聞けばよいかも決めておきましょう。

顧客情報を扱うため、閲覧・編集・出力の権限、退職や異動時のアカウント停止、操作履歴の確認方法も選定項目です。複数店舗で使う場合は、店舗をまたぐ共有範囲と担当者の権限が、自社の管理ルールに合うかを確かめてください。

料金は初期費用・従量課金・追加機能を含めて比べる

月額料金の表示だけで判断すると、移行費用や必要なオプションを見落とすことがあります。利用人数、店舗数、管理戸数、保存容量、送信件数など、どの単位で課金されるかをそろえて比較しましょう。

たとえばFacilo AI駆動コンバーターでは、基本的な入稿機能は無料と案内され、AIによる資料の読み取りや自動入力などは有料オプションと説明されています。「無料で使える部分」と「自社が必要とする範囲」を分けて確認することが大切です。出典:Facilo AI駆動コンバーターのFAQ

料金が個別見積もりの場合は、必要な機能・人数・支援範囲を同じ条件で提示します。詳細が未確認の価格を横並びにするより、導入から運用までの総額と、含まれる作業を明確にしたほうが判断しやすくなります。

比較したい業務に合うFaciloの資料を選べます。

Faciloの対象業務と機能を、選定条件に照らして確かめたい方へ。顧客管理・物件提案など関心のあるサービスの資料を選び、現在の業務で使う場面を確認できます。

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不動産DXを導入し、現場に定着させる6つのステップ

導入は、ツール選定から始めるのではなく、課題と目標を決め、試行の結果を見ながら運用を直す流れで進めましょう。以下は実務を整理するための6ステップです。すべての会社に同じ期間や実施順を義務付けるものではなく、既存の仕組みや対象業務に応じて調整できます。

課題・目標、要件、選定・試行設計、準備、試行・改善、効果測定・展開判断の6ステップ。改善が必要なら試行・改善へ戻る流れ。
導入の進め方を整理した概念図です。既存の仕組みや対象業務に合わせて、順序や範囲を調整します。

① 課題と目標を決め、担当者と対象業務を絞る

最初に、改善する業務と、困っている人を明確にします。「DXを進める」だけでは、担当者ごとに目指すものが変わります。「顧客への提案準備を短くする」「修繕の進捗を回答できるようにする」など、現場が判断できる目標にしましょう。

責任者、日々の運用担当、現場から意見を集める人を決めます。少人数の会社なら兼任でも構いませんが、課題が出たときに誰が決めるのかは曖昧にしないことが大切です。

この段階で残すもの: 対象業務、改善前の状態、目標、責任者・担当者をまとめた計画。

② 必要な機能・データ・権限を整理する

現在の業務を簡単な流れにし、使っている情報と受け渡し先を書き出します。どの工程で二重入力や確認待ちがあるかを見たうえで、必要な機能を選びます。

要件は「必須」「あると望ましい」「今回は対象外」に分けると、比較しやすくなります。便利そうな機能をすべて必須にすると、導入が重くなり、最初の課題が見えにくくなります。移すデータの範囲と、誰が閲覧・編集するかもここで整理します。

この段階で残すもの: 業務の流れ、機能要件、データ項目、権限の整理表。

③ ツールを選び、試す範囲と判断基準を決める

要件に合う候補を比較し、デモや試用で実務に当てはめます。対象店舗、担当者、案件の範囲を絞り、どの状態なら継続・展開するかを決めましょう。

試行の期間は、一律に短くすればよいわけではありません。日々の提案と、月次の請求・オーナー報告では、確認に必要な業務の一巡が異なります。件数が少ない場合は、通常業務に加えて、担当変更や差し戻しなどの場面も試します。

この段階で残すもの: 比較結果、試行範囲、実施期間、確認指標、継続・見直しの判断条件。

④ データ移行・業務ルール・社内説明を準備する

移行するデータの重複、古い情報、必須項目の欠落を確認します。移行前のデータを保存し、一部を試してから全体を移すと、問題が起きたときの確認がしやすくなります。

あわせて、情報を更新するタイミング、対応期限、担当者が休む場合の引き継ぎを決めます。新しいツールを導入しても、以前の管理表へ同じ内容を入力し続けると、現場の負担は増えます。残す記録と終了する記録を明確にし、必要な併用期間も決めましょう。

社内説明では、操作手順に加えて、何の作業が減り、何を新しく担当するかを伝えます。顧客への案内が変わる場合は、その説明文も準備します。

この段階で残すもの: 移行確認結果、運用ルール、社内・顧客向けの説明、トラブル時の対応方法。

⑤ 小規模で試し、現場の疑問や使われない理由を直す

試行中は、使った回数だけでなく、予定した仕事が進んでいるかを確認します。「入力に時間がかかる」「既存の作業と重複する」「どの機能を使えばよいか分からない」など、使われない理由を具体的に集めましょう。

現場の疑問は、短い操作説明で解消できるものと、運用そのものを変える必要があるものに分けます。たとえば顧客情報の入力が重複しているなら、研修を増やすだけでは解決しません。管理元や連携する項目の見直しが必要です。

この段階で残すもの: 問い合わせ・問題点、変更したルール、変更後に確認した結果。

導入後にどう使い続けてもらうかを考えるなら、ハローホームの事例も参考になります。提案準備の効率化だけでなく、顧客の反応を営業活動に活かし、社内で活用を進めた取り組みを紹介しています。

→ ハローホームの導入・活用事例を読む

⑥ 効果を測り、継続・改善・展開を判断する

導入前に決めた指標を確認し、現場の負担や顧客への影響とあわせて判断します。時間が短くなった部分と、増えた作業を両方集めると、実態を捉えやすくなります。

試行で効果があっても、店舗や部署が違えば、担当範囲や取り扱う案件は変わります。全社へ広げる前に、必要な運用ルールと教育方法を整理しましょう。期待した結果が出なければ、対象業務・設定・運用を見直すか、導入範囲を縮める判断もあります。

この段階で残すもの: 指標の前後比較、現場・顧客の反応、継続・改善・展開の判断と理由。

不動産DXの費用と効果をどう測るか

費用は導入・運用の総額で捉え、効果は時間・対応品質・営業成果を分けて確認しましょう。削減できた時間のすべてが人件費の減少になるわけではなく、成約の増加もツールだけで説明できるとは限りません。

初期設定・移行・教育・利用・運用にかかる費用を洗い出す

導入費用を比べる際は、外部へ支払う金額と、社内で必要になる作業を分けて整理します。

費用項目

確認する内容

初期設定

アカウント・権限・項目の設定、個別の設定支援

データ整理・移行

データ抽出、重複整理、移行作業、移行後の照合

連携・追加機能

外部システムとの接続、必要なオプション、個別開発

教育・社内準備

操作説明、運用ルールの作成、現場の練習時間

継続利用

月額料金、従量課金、人数・拠点等の追加料金

運用・保守

管理担当の作業、データ更新、問い合わせ対応

変更・終了

プラン変更、解約条件、データ出力・保管・移行

社内担当者の時間は、すぐに追加の現金支出にならなくても、ほかの仕事に使えなくなる時間です。導入直後だけ必要な作業と、毎月続く作業を分けておくと、継続後の負担を見積もれます。

業務時間・対応漏れ・顧客の待ち時間・営業成果を分けて測る

ツールを使った件数だけでは、改善の結果は分かりません。自社の課題に合わせて、次のような指標から選びます。

観点

指標の例

測定時にそろえる条件

業務時間

提案1件あたりの準備時間

計測の開始・終了、提案物件数、対象者

対応漏れ

期限を過ぎた未対応件数・割合

対応期限の定義、期限が来た対象件数

顧客の待ち時間

問い合わせから最初の有効な返答まで

自動受付を返答に含めるか、営業時間外の扱い

対応品質

再確認、再送、差し戻しの件数・割合

対象案件、数える理由、同一案件の重複

営業成果

内見化率、申込率、成約率など

分母の定義、流入経路、案件を追う期間

たとえば問い合わせから成約まで時間がかかる売買仲介では、今月の反響数と今月の成約数を単純に割ると、異なる時期の案件が混ざります。同じ時期に受け付けた案件を一定期間追うなど、分母と観測期間をそろえましょう。

導入前後の条件を揃え、試算と実績を区別する

季節、広告、取り扱い物件、担当者の経験が変わると、数値にも影響します。導入前後だけで因果関係を断定せず、案件の条件や現場で変わった作業も確認します。

説明用の仮定による試算例として、提案準備を1件10分短縮でき、対象となる作業が月120件あるとします。

  • 確保できる時間:10分 × 120件 ÷ 60分 = 月20時間
  • その時間を1時間3,000円で評価する場合:20時間 × 3,000円 = 月6万円相当

これは特定サービスの実績や市場の平均値ではありません。また、月6万円相当の時間を確保できても、給与などの支出が実際に6万円減るとは限りません。顧客へのヒアリングに時間を使うなら、その活動が増えたかを別に確認します。

金銭的な投資対効果を計算する場合は、比較する期間をそろえ、初期費用・運用費と、実際に減った支出や増えた利益を整理します。成約増を評価するときは売上をそのまま利益として扱わず、増加に伴う費用も差し引きます。同じ時間を「人件費削減」と「営業に振り向けた成果」の両方へ重複して計上しないことも大切です。

自社でFaciloを利用する場合の費用を確認したい方へ。対象サービスや利用のご希望を伝え、見積もりをご依頼いただけます。

→ Faciloの利用料金の見積もりを依頼する

生成AIを不動産DXに活かすときの注意点

生成AIは、文章の下書きや情報の整理などに活用できます。作業を支援する用途と、物件・契約・顧客に関する確認や判断を分け、誰が正確性を確かめるかを決めて使いましょう。

文章の下書き・情報整理・対応支援に活用する

たとえば、確認済みの物件情報から紹介文の下書きを作る、面談メモを要約する、問い合わせへの返信案を考える、といった用途があります。いずれも、利用する製品の機能やデータの扱いに応じて検討する例です。

AIに渡す情報が不足していると、もっともらしい説明で空白を補ってしまうことがあります。「情報にない設備や条件を追加しない」「不明な箇所は不明として残す」といった指示に加え、出力を元資料と照合する工程を設けます。社内で使う下書きと、顧客へ自動送信する回答では、必要な確認の方法も異なります。

物件情報・個人情報・判断根拠を確認する運用を決める

生成AIへ顧客情報を入力する場合には、利用目的、外部への送信、学習への利用、保存や削除の条件を確認します。個人情報保護委員会も、個人情報の入力を利用目的に必要な範囲にとどめることや、個人データが機械学習等に使われないかを十分に確認することを注意喚起しています。出典:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」

業務では、次の項目を確認ルールにすると具体化しやすくなります。

  • 入力してよい情報と、入力しない情報を決める。
  • 利用を認めるサービス・契約・設定を確認する。
  • 物件の価格、面積、設備、所在地、取引条件を元資料と照合する。
  • 法令や制度に関する説明は、適用時点と一次資料を確認する。
  • 誤った回答が出たときに、送信を止め、訂正する担当を決める。

顧客への説明や重要な判断は、担当者が責任を持つ

Faciloと中央大学研究開発機構の共同研究では、直近5年以内に不動産の購入・売却を経験した20〜50代1,244人を対象に、AIと人に期待する役割を調査しています。2026年7月の調査結果では、検討対象となった21の行動すべてで、担当者主導への期待が6割以上と報告されています。出典:Facilo・中央大学研究開発機構の共同研究発表

これは顧客の期待に関する調査であり、AIの実際の処理能力を測ったものではありません。実務では、情報を整理する作業をAIに手伝わせながら、顧客の事情を聞き、物件のリスクや選択肢を説明する役割を担当者が担う、といった分担を考えられます。具体的な活用領域は、不動産業界でのAI活用も参照してください。

お客様はAIと営業担当者に、それぞれ何を期待しているのでしょうか。購入・売却経験者を対象に調査した「AI時代の仲介力」では、AIに委ねたい領域と、人に求められる役割を整理しています。

→ 「AI時代の仲介力」調査レポートをダウンロードする

不動産DXでよくある疑問

専任者の有無や、紙・電話を希望する顧客がいることだけで、DXを諦める必要はありません。担当と対象範囲を明確にし、自社の体制に合わせて進めます。

専任のDX担当者がいなくても進められる?

進められます。最初は一つの業務に絞り、判断する責任者と、現場の意見を集める担当者を決めましょう。ベンダーに設定や操作説明を支援してもらうことも選択肢です。

ただし、通常業務に担当を追加するだけでは、改善の時間を確保しにくくなります。見直す作業や試行に使う時間を決め、権限・個人情報・契約条件などの専門的な確認は、社内の担当部門や必要な専門家へ相談できる体制を用意します。

紙や電話を希望するお客様にはどう対応する?

顧客が使える手段を用意し、そのやり取りを社内で共有します。紙を渡した、電話で条件を確認した、といった履歴も残せば、デジタルを使わない顧客への対応を引き継げます。

電子交付への承諾が必要な手続きで、顧客の意思を確認せず一律に切り替えることは避けましょう。電話の自動受付を使う場合も、急ぎの用件や有人対応を希望する顧客が、どう連絡を取れるかを案内します。

既存の基幹システムをすべて入れ替える必要はある?

必ずしも必要ありません。現在のシステムで続ける業務と、新しいサービスで変える業務を分けて検討できます。ただし、併用するだけで情報が自動連携するわけではありません。

顧客・物件・契約のどの情報をどちらで管理するか、重複入力が残るか、データを移せるかを確認してください。すべてを入れ替える案と、必要な業務だけ追加する案を、費用と運用負担の両面で比べましょう。

既存システムやお客様への対応方法を踏まえて検討したい方へ。Faciloをどの業務で使うか、運用上の疑問も含めてご相談いただけます。

→ 現在の業務を踏まえてFaciloの導入を相談する

不動産DXは、自社の課題と顧客体験から始めよう

不動産DXの入口は、使いたいツールを並べることよりも、自社で起きている手戻り、対応漏れ、顧客の待ち時間を把握することにあります。対象業務を一つ選び、目標と担当を決め、小さく試すところから始められます。

業務時間が減ったかに加えて、顧客が情報を比較しやすくなったか、必要な対応を受けられるようになったかまで確認しましょう。物件情報・顧客情報・提案履歴を使いやすくし、現場の運用を整えることが、継続的な改善につながります。

物件・顧客の情報を、次の提案につなげませんか

Faciloは、不動産仲介の業務を支えるサービスを提供しています。顧客管理・物件提案・情報共有など、自社の課題に合うサービスから検討できます。

  • 顧客情報・連絡履歴・対応状況を共有し、担当者任せの管理を見直す
  • 物件提案や資料準備にかかる手間を減らし、お客様への対応に時間を使う
  • マイページなどを通じて情報を共有し、顧客の反応を次の対応に活かす

使いたい機能と対象業務を確かめたい方は、関心のあるサービスの資料を選んでご覧ください。対応する機能・対象業務はサービスによって異なります。

→ Faciloのサービス資料を選んでダウンロードする

現在のシステムとの使い分けや、自社での運用方法を検討したい方は、導入相談をご利用ください。

→ 自社に合う活用方法を相談する

執筆:Facilo編集部/制度・製品・資料情報の確認日:2026年10月6日