不動産の仲介手数料を解説!計算方法・上限・注意点も紹介
不動産の仲介手数料とは、売主と買主、または貸主と借主の間に立って取引を仲介した不動産会社へ支払う報酬のことです。手数料には上限が法律で定められており、売買と賃貸でそれぞれ算定式は異なります。
この仕組みを理解しておくことで、営業担当者はお客様に正確な説明ができます。また、購入・賃貸を検討している方も費用の妥当性を判断しやすくなります。
この記事では、仲介手数料の仕組みや計算方法、注意点、費用を抑えるコツまでをわかりやすく解説しました。正しい知識を身につけて、安心・納得の不動産取引を進めましょう。
不動産の仲介手数料とは?
不動産の仲介手数料とは、不動産会社が売主と買主、または貸主と借主の間に立ち、取引成立までをサポートした対価として支払われる報酬のことです。
不動産会社の業務は幅広く、市場調査や法的チェック、広告掲載による集客、内見の調整・案内、契約書の作成、価格や条件の交渉など、専門知識を活かした多面的な支援を行います。
仲介手数料は「成功報酬制」が基本で、契約が成立して初めて発生するものです。そのため、どれだけサポートを受けても、最終的に取引が成立しなければ手数料は発生しません。
この仕組みは、不動産会社が取引成功に向けて全力を尽くすための重要なモチベーションになっています。営業担当者が顧客の希望に向き合い、最適な物件マッチングや条件交渉に努めるのも、この成功報酬制があるからこそといえるでしょう。
売買
不動産売買における仲介手数料は、宅地建物取引業法第46条に基づく国交省告示で上限が明確に定められています。これは、消費者が不当に高額な手数料を請求されないための法的な仕組みです。
上限額は、取引価格に応じた段階計算を簡略化した「(価格×3%+6万円)+消費税」の速算式で把握できます(段階計算の詳細は後述)。取引金額が数千万円規模になる不動産売買では、手数料が数十万円から100万円を超えるケースも珍しくありません。
また、取引の仲介形態には「片手仲介」と「両手仲介」の2種類があります。片手仲介は、不動産会社が売主または買主のどちらか一方の依頼を受け、その依頼主からのみ手数料を受け取る形態です。
両手仲介は両者から仲介手数料を受け取れます。これは1社の不動産会社が売主・買主の双方から依頼を受けて取引を成立させる形を取るためです。
どちらの仲介形態を選ぶかは、依頼先の不動産会社の方針や契約内容によって変わります。
賃貸
賃貸契約の仲介手数料は、売買と比べて金額が小さく、仕組みも異なります。
居住用の賃貸では、宅地建物取引業法第46条に基づく国交省告示により、仲介手数料の上限は「家賃1か月分+消費税」までと定められています。
誰が手数料を負担するかは契約内容によって変わり、一般的には借主が全額を負担するケースが多いです。ただし、入居者を集めやすくするために、貸主が一部または全額を負担することもあります。
また、近年は不動産会社が手数料を半額にしたり、無料キャンペーンを実施したりする例も増えており、特に自社管理物件では借主の負担がゼロになることもあるでしょう。
契約前には、仲介手数料の金額と負担割合をしっかり確認し、トラブルを防ぐことが大切です。
不動産仲介の報酬や仲介手数料の仕組みに関して詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
⇒不動産仲介の報酬はどれくらい?仲介手数料の計算方法と金額一覧表も紹介
不動産仲介手数料の計算方法
ここでは不動産仲介手数料の具体的な計算方法について、売買と賃貸の場合に分けて実例を交えながら解説します。
売買の仲介手数料の上限額
不動産売買の仲介手数料は、取引価格ごとに段階的な上限が設定されており、一般的に以下の速算式を用いて求めます。
| 売買価格(税抜) | 速算式で求めた仲介手数料の上限(税込) |
| 200万円以下 | 売買価格(税抜)×5%+消費税 |
| 200万円超〜400万円以下 | 売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
| 400万円超 | 売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
この速算式は、宅地建物取引業法で定められた上限額を簡単に求められる便利な計算方法です。
例えば、3,000万円の物件を売却した場合を考えてみましょう。速算式に当てはめると、
3,000万円×3%+6万円=96万円(税抜)
96万円×1.1(消費税10%)= 105万6,000円(税込)
つまり、105万6,000円が仲介手数料の上限額となります。
不動産の売買価格ごとに、仲介手数料の上限額(税抜・税込)を一覧にまとめました。取引予定の価格に近い項目を参考に、手数料のおおよその目安としてご利用ください。
| 売買価格(税抜) | 仲介手数料の上限額(税抜) | 仲介手数料の上限額(税込) |
| 200万円 | 10万円 | 11万円 |
| 400万円 | 18万円 | 19.8万円 |
| 800万円 | 30万円 | 33万円 |
| 1,000万円 | 36万円 | 39万6,000円 |
| 2,000万円 | 66万円 | 72万6,000円 |
| 3,000万円 | 96万円 | 105万6,000円 |
| 4,000万円 | 126万円 | 138万6,000円 |
| 5,000万円 | 156万円 | 171万6,000円 |
| 6,000万円 | 186万円 | 204万6,000円 |
| 7,000万円 | 216万円 | 237万6,000円 |
| 8,000万円 | 246万円 | 270万6,000円 |
| 9,000万円 | 276万円 | 303万6,000円 |
| 1億円 | 306万円 | 336万6,000円 |
※この早見表は、上記の速算式を基に計算しています。
※800万円以下の低廉な空き家等の取引においては、特例により上限額が異なることがあります。
このように、物件価格が高額になるほど仲介手数料も比例して増加する仕組みです。
賃貸の仲介手数料の上限額
賃貸の場合はよりシンプルで、不動産会社が受け取れる手数料の上限は「家賃1か月分+消費税」です。
具体的には、宅地建物取引業法により次のような上限ルールが定められています。
| 区分 | 負担者 | 条件・補足 |
| ① 貸主・借主の双方から受領 | 貸主:家賃の0.5か月分 借主:家賃の0.5か月分 | 双方が負担する一般的なケース |
| ② 貸主のみから受領 | 家賃の1か月分+消費税 | 借主は無料(貸主負担型) |
| ③ 借主のみから受領 | 家賃の1か月分+消費税 | 借主の事前承諾が必要(承諾がなければ0.5か月分まで) |
例えば、月額家賃10万円の居住用物件であれば、仲介手数料の上限は11万円(税込)ですので以下のようなパターンが考えられます。
- 双方から合計:10万円×1.1(消費税)=11万円(税込)[例:貸主5.5万+借主5.5万]
- 貸主のみ:10万円×1.1(消費税)=11万円(税込)
- 借主の承諾なし:10万円×0.5×1.1(消費税)=5.5万円(税込)
- 借主の承諾あり:10万円×1.1(消費税)=11万円(税込)
賃貸の仲介手数料の負担は契約内容により異なり、貸主・借主のいずれかが全額を支払う場合や、折半するケースもあります。
不動産の仲介手数料の計算について、より詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
⇒【早見表付】不動産の仲介手数料の計算方法!安くなるポイントも紹介
仲介手数料以外に不動産取引でかかる諸費用
不動産取引では仲介手数料以外にもさまざまな諸費用が発生します。資金計画を立てる際は、仲介手数料だけでなく、これらの費用も含めて総額を把握しておくことが大切です。
主な費用は、消費税がかかるもの(課税項目)と、かからないもの(非課税・不課税項目)に分けられます。
| 項目 | 仲介手数料以外にかかる主な費用 |
| 課税 | 司法書士への報酬(登記手続きなどのサービス) |
| 住宅ローン関連の事務手数料 | |
| 非課税 | 火災保険料 |
| ローン保証料 | |
| 不課税 | 印紙税 |
| 登録免許税 | |
| 不動産取得税 |
このような課税・非課税・不課税の違いを理解し、どの費用に消費税がかかるのかを正確に把握しておきましょう。
司法書士への報酬
所有権移転登記や抵当権設定登記は専門性が高いため、多くの場合は司法書士に依頼します。司法書士への報酬は法人によって異なり、一般的には10万円から20万円程度が相場です。
登記の複雑さや物件の条件によって報酬額は変動するため、あらかじめ見積もりを取る必要があります。司法書士選びは料金の安さだけでなく、経験豊富で信頼できる専門家を選ぶことが重要です。
住宅ローン関連の事務手数料
住宅ローンを利用する際には、金融機関が融資手続きを行うための融資事務手数料がかかります。この手数料には「定額制」と「定率制」の2種類があります。
- 定額制:メガバンクなどに多く、金額はおおむね3万円〜5万円前後。
- 定率制:ネット銀行などに多く、借入金額の約2.2%が目安。
一般的に、定率制のローンでは保証料が金利に含まれることが多く、定額制では保証料を別途支払うケースが一般的です。事務手数料の設定方式によって、初期費用や総返済額が変わる点に注意しましょう。
ローン保証料
多くの住宅ローンでは、金融機関が提携する保証会社の保証を受けることが融資条件となっています。このとき支払う費用がローン保証料です。支払い方法は以下の2種類になります。
- 一括前払い方式
契約時に借入金額1,000万円あたり約20万円〜30万円を支払います。
例:3,000万円を借り入れる場合、保証料は60万円〜90万円程度。初期費用は高いものの、総返済額を抑えられるのが特徴です。
- 金利上乗せ方式
基準金利に年0.2%程度を上乗せし、月々の返済と一緒に支払う方法。初期費用を抑えられる一方で、総返済額はやや多くなります。
繰上返済を予定している場合は、一括前払いが有利になるケースが多いでしょう。返済期間が長い場合は金利上乗せ型を選ぶなど、ライフプランに合わせた選択が大切です。
火災保険料
住宅購入時には火災保険への加入が必須となります。住宅ローンを利用する場合は金融機関から火災保険の加入を義務付けられ、建物の評価額を基準とした保険金額での契約が必要です。
保険料は建物の構造・所在地・契約期間によって大きく異なります。木造住宅よりも鉄筋コンクリート造の方が安く、地震リスクの高いエリアでは地震保険料が高額になるでしょう。
火災保険料の相場は、木造戸建て住宅で年間3万円〜5万円程度、マンションで年間5,000円〜2万円程度です。
印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書や住宅ローン契約書など、一定金額が記載された文書を作成する際に課される国税です。契約金額が10万円を超える場合に課税され、金額に応じて税額が決まります。
契約書を2通作成し、売主・買主がそれぞれ原本を保管する場合は、双方が印紙税を負担します。
平成26年4月1日~令和9年3月31日までに作成された契約書は軽減措置の対象です。例えば、1,000万円超5,000万円以下の契約では1万円、5,000万円超1億円以下では3万円が課税額となります。
契約金額ごとの印紙税率は、下記のとおりです。
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
| 10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
| 50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 | 500円 |
| 100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超過から1,000万円以下のもの | 10,000円 | 5,000円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 20,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円を超え1億円以下のもの | 60,000円 | 30,000円 |
| 1億円を超え5億円以下のもの | 100,000円 | 60,000円 |
| 5億円を超え10億円以下のもの | 200,000円 | 160,000円 |
| 10億円を超え50億円以下のもの | 400,000円 | 320,000円 |
| 50億円を超えるもの | 600,000円 | 480,000円 |
出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
なお、電子契約の場合は印紙税が課されません。電子契約の導入により、1件あたり数千円〜数万円のコスト削減につながります。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の権利関係を法的に証明する「登記」を行う際に課される国税です。課税の基準は、登記対象となる不動産の固定資産税評価額で、登記の種類によって税率が異なります。
不動産売買では、一般的に「所有権移転登記」と「抵当権抹消登記」の2つが必要になります。所有権移転登記は買主が行うのが通常で、物件の名義を正式に自分のものとするための手続きです。
一方、売主が住宅ローンを完済している場合には、抵当権(担保権)を外すために抵当権抹消登記を行い、この際にも登録免許税がかかります。
税率は登記の種類によって異なり、例えば土地の売買による所有権移転登記では本則税率2.0%(1,000分の20)が適用されます。ただし、一定の条件を満たす場合には軽減措置があり、税率が引き下げられるケースもあるでしょう。
軽減の対象要件や期限は国税庁ホームページにて確認できます。
参照:国税庁「登録免許税の概要」
不動産取得税
不動産取得税は不動産を取得した際、都道府県へ納付する税金で、取得から数か月後に納税通知書が送付されます。
税額は、固定資産税評価額×4%が原則です。ただし、住宅用家屋や住宅用土地については軽減措置が適用され、実質的な負担は軽減されることが多いでしょう。
不動産仲介にかかる税金を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
⇒不動産仲介にかかる税金とは?シミュレーションや安く抑える方法も紹介
不動産取引の仲介手数料の注意点
仲介手数料の支払いや取り扱いには、知っておくべき注意点がいくつか存在します。予期しないトラブルや追加費用の発生を避けるためにも、契約前にしっかりと確認しておきましょう。
精算するタイミング
売買取引では「契約成立時」または「引渡し時」に仲介手数料を支払うのが一般的です。
多くの不動産会社では、売買契約締結時に手数料の50%、物件引渡し時に残りの50%を支払う分割方式を採用しています。この分割払いは、契約から引渡しまで1〜2か月程度の期間があることを考慮した合理的な仕組みといえるでしょう。
賃貸契約では「契約締結時」に家賃や敷金と合わせて仲介手数料を支払うケースが一般的です。賃貸の場合は売買と異なり引渡しまでの期間が短いため、初期費用として一括で精算するケースが多くなっています。
契約解除時に仲介手数料が必要
契約後に買主・売主の都合で解除した場合、契約が「成立済み」であれば仲介手数料は発生するという点は特に注意が必要です。
例えば、売買契約を締結した後に住宅ローンの審査に落ちて契約解除となった場合でも、ローン特約が適用されない限り仲介手数料の支払い義務は残ります。
キャンセルタイミングによって手数料が返還されない場合や、契約解除による違約金が発生する場合もあるため、契約書の条項を十分に確認することが重要です。
特に手付金の放棄や違約金の条項については、契約前に詳細な説明を受け、リスクを理解したうえで契約を進める必要があります。契約を検討している段階で不安な点があれば、必ず不動産会社へ事前確認しておきましょう。
規定よりも増額になるパターン
不動産取引では、通常の仲介業務を超える特別な対応が必要な場合、法定上限を超える費用を請求できるケースがあります。
依頼者の特別な要望による追加費用
遠方への出張や地盤・建物診断といった専門調査など、通常業務の範囲を超える作業が発生した場合に限り、依頼者の同意を得たうえで実費の追加請求が認められています。
ただし、これらの費用を請求するには、事前の説明と書面での同意が欠かせません。依頼者の同意なしで増額請求を行うのは、宅地建物取引業法違反となるため注意が必要です。
低廉な空家等の媒介の特例
近年は空き家対策の一環として「低廉な空家等の媒介の特例」が設けられています。
これは、売買価格が800万円以下の空き家や土地の取引で、現地調査など追加作業が必要な場合に限り、上限30万円(税抜)までの仲介手数料を受け取れる制度です。
この特例を適用する際は、不動産会社が報酬の金額・算定根拠・理由を明示し、依頼者の同意を得る義務があります。追加費用の提案を受けた場合は、金額や作業内容の妥当性を確認しなければなりません。
参照:国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」
長期の空家等の媒介の特例
2024年7月1日から、長期間空き家となっている住宅を賃貸する場合に適用できる「長期の空家等に関する特例」が新設されました。これは、空き家活用を促す目的で、不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限を通常より引き上げられる制度です。
従来は貸主・借主合わせて「家賃1か月分+消費税」まででしたが、特例を利用すると合計で「家賃2か月分(税抜)=家賃×2.2(税込)」まで受領可能になります。
上乗せ分は主に貸主側から受け取る想定で、借主からは通常どおり原則0.5か月分(承諾がある場合1か月分)を超えた請求はできません。
対象となるのは、1年以上使われていないなど「長期の空家等」に該当する住宅です。特例を適用するには、媒介契約時に上限金額や算定根拠を説明し、依頼者の合意を得ることが必須です。
参照:国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」
不動産取引の仲介手数料を抑える方法
仲介手数料は大きな出費となるため、適切な方法で費用を抑えられれば、資金計画に余裕が生まれます。ただし、単純に安いだけでなく、サービスの質とのバランスが重要です。
ここでは実践的な手数料削減の方法をご紹介します。
複数の不動産会社に見積もりを依頼する
仲介手数料を抑えるもっとも基本的な方法は、複数の不動産会社に見積もりを取り、条件を比較することです。
仲介手数料は法律で上限が定められていますが、下限はなく各社が自由に設定できます。
大手不動産会社では上限での請求が一般的です。しかし地域密着型の会社やインターネット系の会社では、割引やキャッシュバックキャンペーンが多く、半額や無料のケースもあります。
ただし、手数料が安い分、サービス内容が限定的になったり、物件情報の質や数に差が出たりすることも否めません。
見積もりを取る際は、手数料だけでなく広告費や手続き代行費などを含めた総額で比較しましょう。競合他社の見積もりを提示して交渉すれば、手数料の減額に応じてもらえる可能性もあります。
専任媒介契約を条件に交渉する
仲介手数料を抑えたい場合は、不動産会社にもメリットがある形での交渉が大切です。その一つに「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」の締結を条件にする方法が挙げられます。
不動産の媒介契約は「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類です。このうち後者2つは、1社のみに売却を依頼する契約であり、他社への依頼ができません。
つまり、不動産会社は他社に案件を奪われる心配がなく、安定して売却活動に専念できるメリットがあります。そのため、仲介手数料の値引きに応じてもらいやすいのです。
特に「専属専任媒介契約」は、売主が自分で買主を見つけて直接取引することも禁止されています。不動産会社にとってはより確実な取引で、その分多少の手数料を値引きしても利益を確保しやすいといえます。
ただし、「値引きしてくれないなら契約しない」と強く迫るのは逆効果です。教育費や収入面の事情などを正直に伝え、他社の見積もりも参考に誠実な姿勢で交渉します。そうすることで、信頼関係を保ちながら納得できる条件を引き出せるでしょう。
不動産の媒介契約の種類はこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒不動産の媒介契約の種類|仲介との違い・一般・専任・専属専任を解説
売却・購入を同一会社で依頼する
売却・購入を同一会社に依頼して交渉する方法も効果的です。不動産会社にとって売却と購入の両方を担当できることは大きなメリットであり、手数料の減額交渉に応じてもらいやすくなります。
特に買い替えの場合は、売却益を購入資金に充てることを前提として、トータルでの手数料割引を提案してもらえることも。
住み替えを検討している方にとって、同一会社での売却・購入は手数料面だけでなく、手続きの簡素化や情報共有の効率化といったメリットもあります。売却物件の査定額と購入希望物件の価格帯をふまえ、資金計画を立てやすくなるからです。
また、売却のタイミングと購入のタイミングを調整しやすく、仮住まいの必要性を減らせる場合もあります。ただし、1つの会社に依存することで選択肢が狭まる可能性もあるでしょう。売却価格や購入条件が適正かどうかは、第三者の意見も参考にしてください。
閑散期に交渉する
不動産の取引時期を工夫することで、仲介手数料の値引き交渉に応じてもらいやすくなるケースもあります。
繁忙期である3月(引越しシーズン)や9月(転勤シーズン)は需要が高く、不動産会社も忙しいため、手数料の割引にはあまり応じてもらえません。
一方で、4月〜8月の閑散期は取引件数が減るため、営業担当者も顧客獲得に対して積極的になります。この時期であれば、手数料交渉や条件面の相談に対応してもらえる可能性が高まるでしょう。
また、会社によっては年度末(3月)や四半期末に売上目標を達成するべく、期間限定の手数料割引キャンペーンを実施する場合もあります。タイミングを見極めて動くことで、より好条件を引き出せるチャンスが増えるかもしれません。
ただし、閑散期は市場全体の物件数が減るため、希望条件に合う物件が見つかりにくい点には注意が必要です。
手数料を抑えることも大切ですが、信頼できる営業担当者から質の高いサービスを受ける価値も忘れずに検討しましょう。
不動産の仲介手数料が無料になる仕組みや方法を知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてください。
⇒不動産の仲介手数料が無料の仕組みとは?交渉方法や依頼時の注意点を解説
不動産の仲介手数料に関するよくある質問
ここでは、不動産の仲介手数料に関するよくある質問を紹介します。
- Q1. 不動産仲介手数料無料は怪しいですか?
- Q2. 仲介手数料を安く済ませる方法はありますか?
- Q3. 不動産の仲介手数料の計算式は?
- Q4. 売買の仲介手数料は最大いくらまでですか?
- Q5. 低廉な空き家の仲介手数料が30万円になるのはいつからですか?
Q1. 不動産仲介手数料無料は怪しいですか?
必ずしも怪しいとは限りませんが、無料にできる理由の確認が大切です。
仲介手数料無料の仕組みとしてもっとも多いのは、売主・買主の両方から手数料を受け取る「両手仲介」でしょう。買主の手数料を無料にし、売主からの手数料のみで収益を確保するパターンです。
また、住宅ローンや火災保険の代理店手数料、リフォーム紹介料など、他のサービスで収益を確保している場合があります。
ただし手数料無料の場合は、物件調査や契約書作成などのサービスが簡素化されたり、対応時間が制限されたりする場合があります。重要なのは、無料にできる理由を明確に説明してもらい、提供されるサービス内容を十分に理解したうえで判断することです。
Q2. 仲介手数料を安く済ませる方法はありますか?
仲介手数料を抑える方法として効果的なのは、まず複数の不動産会社から見積もりを取って交渉することです。会社によって手数料体系は大きく異なり、中には半額割引やキャッシュバックキャンペーンを実施しているケースもあります。
また、住み替えの場合は売却と購入を同一会社に依頼することで、トータルでの手数料割引を交渉できる可能性が高まるでしょう。
時期的には3月・9月の繁忙期を避け、比較的余裕のある時期に交渉することで、より柔軟な対応を期待できます。
ただし、手数料の安さだけに注目せず、営業担当者の経験や会社の信頼性、提供されるサービス内容を総合的に評価して選択すること欠かせません。結果的に満足度の高い取引につながります。
Q3. 不動産の仲介手数料の計算式は?
売買の場合は「(売買価格×3%+6万円)+消費税」で求められます。例えば、2,000万円の物件なら2,000万円×3%+6万円=66万円(税抜)となり、消費税を加えると72万6,000円が仲介手数料の上限額です。
賃貸の仲介手数料は借主・貸主合わせて「家賃1か月分+消費税」が上限です。どちらがどの程度負担するかは契約内容によって異なります。
これらは法律で定められた上限額であり、実際の手数料はこれ以下で設定されることもあります。
Q4. 売買の仲介手数料は最大いくらまでですか?
絶対額の上限はなく、上限は速算式「(売買価格×3%+6万円)+消費税」に基づき価格に比例して決まります。
例えば、1億円の物件であれば、仲介手数料の上限は336万6,000円(税込)です。
理論的には物件価格が高額になればなるほど仲介手数料も高くなりますが、実際の高額物件取引では割引交渉を行うことが多いです。
一般的な住宅購入では3,000万円〜5,000万円の価格帯が多く、この場合の仲介手数料は106万円〜172万円(税込)程度となります。購入予算の3〜5%程度を手数料として見込んでおくとよいでしょう。
Q5. 低廉な空き家の仲介手数料が30万円になるのはいつからですか?
2024年7月1日から、低廉な空き家等の仲介手数料に関する特例が拡充されました。国土交通省が定める「低廉な空き家等の売買・媒介に関する特例」では、物件価格(税抜)が800万円以下の住宅・土地・建物を対象としています。
この特例により、売主・買主ともに仲介手数料の上限額が1件あたり最大「30万円(税抜)」、税込でおおよそ「33万円」まで受領できるようになりました。
以前は、対象価格が400万円以下・上限18万円(税抜)などに限られていました。2024年7月1日以降の改正により、対象範囲と上限額が引き上げられた形です。
空き家問題の深刻化を受け、不動産会社がより積極的に低廉な物件の仲介に取り組めるよう制度設計されています。ただし、この特例は売主・買主のいずれかの依頼による売却仲介のみが対象で、賃貸には適用されません。
不動産の仲介手数料を理解してスムーズな運営をしよう
不動産の仲介手数料は、取引に欠かせない重要なコストです。その仕組みや計算方法を正しく理解することで、営業担当者は顧客に信頼性のある説明ができます。また、購入検討者も安心して取引を進められるでしょう。
仲介手数料は成功報酬制で、契約が成立したときにのみ発生します。法律で上限が定められており、必要に応じて交渉や特例制度を活用すれば費用を抑えることも可能です。
さらに、登記費用や税金など手数料以外の諸費用も含めて、全体の資金計画を立てることが円滑な取引につながります。
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