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【早見表付】不動産の仲介手数料の計算方法!安くなるポイントも紹介

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不動産の売買や賃貸借契約において、不動産会社に支払う仲介手数料。その仕組みや計算方法を正しく理解していますか?

「お客様に聞かれてもうまく説明できない」「提示額が妥当か自信がない」という営業担当者も多いでしょう。また、購入・賃貸を検討する人にとっても仲介手数料は大きな支出です。事前に相場や計算方法を知っておくことで、安心して取引を進められます。

この記事では、不動産仲介手数料の基本から法律で定められた上限額、具体的な計算方法、高く・安くなるケースまで、実務に役立つポイントをわかりやすく解説します。

不動産の仲介手数料とは?

仲介手数料とは、不動産会社が売主と買主または貸主と借主の間に立ち、取引を成立させるために支払われる報酬のことです。

物件紹介や内見調整、条件交渉、契約書の作成など、契約成立までに行う幅広いサポートへの対価として支払われます。

この仲介手数料は成功報酬制であり、契約が成立したときにのみ発生するものです。契約に至らなければ、どれだけサポートを受けても支払う必要はありません。

つまり、仲介手数料は不動産会社が取引成功に向けて全力を尽くすための重要なモチベーションなのです。

法律で定められた仲介手数料の上限額

不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法第46条に基づく国土交通省告示(昭和45年建設省告示第1552号ほか)で定められています。これは、消費者が不当に高額な手数料を請求されないための重要な規定です。

売買契約の場合、物件価格が400万円を超える際の速算式として「(売買価格×3%+6万円)+消費税」が上限となります。

賃貸契約の場合は、原則として「家賃1か月分+消費税」が上限です。

ただし、その費用を貸主と借主のどちらが負担するか、またはどの割合で負担するかは契約内容によって異なります。半分ずつ負担するケースもあれば、どちらか一方が全額を支払うケースもあるのです。

精算のタイミングと一般的な流れ

仲介手数料は、基本的に売買契約または賃貸契約が成立した時点で支払い義務が発生します。ただし、実際の支払い時期は契約内容によって異なり、媒介契約で定めます。

売買の支払い時期の一般的な例として「契約時半金+引渡時半金」「契約時一括」「引渡時一括」などがあります。

賃貸契約の場合は、入居契約を結ぶ際に、敷金や礼金などと合わせて一括で支払うことがほとんどです。

近年では、電子契約の普及に伴い、オンラインでの決済や銀行振り込みによる精算も増えています。トラブルを避けるためには、支払いの時期や方法を契約前に確認しておきましょう。

不動産仲介手数料の計算方法

不動産の仲介手数料は、取引の種類や金額によって計算方法が異なります。特に、売買契約と賃貸契約では基準がまったく異なるため、それぞれの仕組みに対する正しい理解が不可欠です。

ここでは、売買価格に応じた手数料の料率の仕組みや、賃貸契約での計算方法を、具体的な計算式を交えながら詳しく解説します。

売買価格ごとの料率と計算式

不動産売買の仲介手数料の上限額は、売買価格に応じて料率が変動する段階的な計算方法が宅地建物取引業法で定められています。

具体的には、以下の3つの区分です。

売買価格(税抜)仲介手数料の上限(税込)
200万円以下の部分売買価格(税抜)×5.5%
200万円超~400万円以下の部分売買価格(税抜)×4.4%
400万円超の部分売買価格(税抜)×3.3%

参照:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ

例えば、1,000万円の物件を取引した場合、200万円までの部分、200万円超400万円までの部分、400万円超1,000万円までの部分に分けてそれぞれ計算し、合算する必要があります。

200万円以下の部分:200万円×5.5%=11万円
200万円~400万円以下の部分:200万円×4.4%=8.8万円
400万円~1000万円の部分:600万円×3.3%=19.8万円

これらを合計すると39.6万円が、この取引で支払える仲介手数料の上限額です。

しかし、この計算は複雑なため、売買価格に応じて、一般的に以下の速算式が用いられます。

売買価格(税抜)速算式での仲介手数料の上限(税込)
200万円以下売買価格(税抜)×5%+消費税
200万円超〜400万円以下売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税
400万円超売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税

この速算式を使えば、煩雑な計算をせず簡単に上限額を算出できます。

賃貸の場合

賃貸物件の仲介手数料は、宅地建物取引業法によって「家賃1か月分+消費税」が上限と定められています。

ただし、この「1か月分」は貸主・借主双方の合計であり、どちらか片方の依頼者からのみ手数料を受け取る場合は1か月分以内、双方から受け取る場合はそれぞれ0.5か月分以内(合計1か月分)までとなります。

また、借主から1か月分を受領する場合は、借主の承諾が必要です。承諾がない状態で1か月分を請求することは宅建業法違反となります。

不動産会社が自社管理している物件やキャンペーン対象の物件では、貸主が手数料を負担することで借主が無料になるケースもあります。こうした条件も含め、契約前に負担割合をしっかり確認しておくことが大切です。

不動産仲介手数料の早見表

不動産の売買価格に応じた仲介手数料の上限額(税抜・税込)を一覧でまとめました。この早見表を取引価格と照らし合わせて、おおよその手数料を把握する際の参考にしてください。

売買価格(税抜)仲介手数料の上限額(税抜仲介手数料の上限額(税込)
200万円10万円11万円
400万円18万円19.8万円
800万円30万円33万円
1,000万円36万円39万6,000円
2,000万円66万円72万6,000円
3,000万円96万円105万6,000円
4,000万円126万円138万6,000円
5,000万円156万円171万6,000円
6,000万円186万円204万6,000円
7,000万円
216万円237万6,000円
8,000万円
246万円270万6,000円
9,000万円276万円303万6,000円
1億円306万円336万6,000円

※この早見表は、以下の速算式で計算しています。
200万円以下:売買価格(税抜)×5%+消費税
200万円超〜400万円以下:売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税
400万円超:売買価格(税抜)×3% + 6万円+消費税
※800万円以下の低廉な空き家等の取引では、特例により上限額が異なる場合があります。

仲介手数料が高くなるケース

不動産の仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限が定められているものです。しかし特定の条件下では、その上限を超える報酬が認められる例外的なケースがあります。

これらの特例は、通常の仲介業務の範囲を超える特別な手間や費用が発生する場合に適用されます。依頼者の利益を損なわないよう、適用には明確な条件と同意が必要です。

【売買】低廉な空き家に適用される特例

近年、社会問題化している空き家の流通促進を目的として、令和6年7月1日施行の報酬告示改正により「低廉な空き家等」に関する仲介手数料の特例が見直されました。

対象となるのは、売買価格が800万円以下の物です。通常の上限を超えて、最大で30万円(税抜)=税込33万円まで仲介手数料の受け取りが認められています。

この背景には、低価格帯の物件は正規の手数料では採算が合わず、不動産会社が仲介に消極的になりがちであるという課題がありました。

この特例を適用する場合、媒介・代理契約を結ぶ際に、上限額の範囲内で報酬額をあらかじめ説明・合意するように義務付けられています。

なお、特例が認められるのは「現地調査」「清掃・荷物整理」など、通常の仲介を超える実務が伴う場合のみです。

参照:国土交通省HP「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し

【賃貸】長期の空き家等に関する特例

賃貸取引でも、空き家・空き店舗の流通を促進する目的で「長期空家等に係る媒介報酬の特例」が設けられています。

要件を満たす物件では、通常の上限である「1か月分の賃料×1.1倍の金額」を超えて、最大で賃料×2.2倍(税込)までの仲介手数料を受け取ることが可能です。

ただし、こちらも貸主・借主双方の合意と、国土交通省の定める要件(一定期間空き家であること、居住用・非居住用の別など)を満たす必要があります。

参照:国土交通省HP「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し

依頼者の特別な要望による追加費用

通常の仲介業務の範囲を超えて、依頼者から特別な要望があった場合にも、合意のうえで追加費用の請求が認められています。

例えば「遠隔地にいる購入希望者のもとへ出張して交渉してほしい」「テレビCMや新聞の全国版など、特別な広告を出してほしい」「専門家による詳細な建物調査に立ち会ってほしい」といったケースがこれに該当します。

これらの業務は、通常の販売活動では発生しない特別な手間や実費を伴うため、仲介手数料とは別に請求されるものです。この場合も、不動産会社は契約を締結する前に、追加費用の発生理由、具体的な金額、業務の範囲について依頼者に書面で説明し、明確な合意を得なければなりません。

不動産の仲介手数料が安くなる可能性があるケース

法律で定められている仲介手数料はあくまで「上限」であり、不動産会社の判断によっては、この上限額よりも低い金額で契約が可能です。

特に、不動産会社にとってリスクが低く、利益を確保しやすい特定の条件下では、手数料の割引交渉がしやすい傾向にあります。

ここでは、仲介手数料が安くなる可能性のある代表的なケースを5つ紹介します。

高価格物件の売却

売買価格が高額な物件ほど、仲介手数料の総額も大きくなります。例えば、1億円の物件であれば、上限である約300万円の手数料が見込めます。

不動産会社にとっては、一つの取引で大きな収益を確保できるため、多少の割引を行っても十分に利益を出すことが可能です。そのため、高価格帯の物件を売却する際は、手数料の割引交渉が比較的有利に進む可能性があります。

人気物件・希少物件の売却

購入希望者が多く、短期間での成約が見込める人気エリアの物件や、希少価値の高い物件も、手数料が安くなる可能性があります。こうした物件は、不動産会社が広告活動に多くのコストや時間をかける必要がなく、効率的に契約へと結びつけられるためです。

営業コストを抑えられる分、その一部を顧客に還元する形で、手数料の割引に応じてくれる場合があります。

住み替えで1社に依頼

自宅の売却と新しい住まいの購入を同じ不動産会社に依頼する「住み替え」は、仲介手数料の交渉がしやすいケースです。例えば、現在の住まいを売却し、同時に中古マンションや新築・中古一戸建てなどを購入する場合、どちらの取引にも仲介手数料が発生します。

不動産会社にとっては売却と購入の両方で手数料を得られるため、取引全体の利益が増えるのが特徴です。

そのため、顧客との信頼関係を深める目的で、手数料の一部を割引する、サービスを充実させるといった提案を行うことがあります。

媒介契約の直前

不動産会社と媒介契約を結ぶ直前は、仲介手数料の交渉を行う絶好のタイミングです。

特に、複数の会社に査定を依頼して比較検討している段階では、他社に負けないために手数料の割引や特典を提示してくるケースも少なくありません。不動産会社としても「自社で契約を取りたい」という思いが強く働くため、柔軟な対応が期待できます。

媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」と3種類ありますが、専任または専属専任媒介契約を選ぶと、値引き交渉に応じてもらいやすくなる傾向にあります。

これは、一般媒介のように複数社が競合する形ではなく、1社のみが仲介を担当できる契約形態のため、不動産会社へ確実に仲介手数料が入る見込みがあるからです。

閑散期の交渉

不動産業界には、取引が集中する繁忙期と、比較的落ち着く閑散期があります。

一般的に、新生活が始まる前の1月~3月がもっとも忙しく、8月や年末年始を挟む12月などは取引が少なくなるものです。

こうした閑散期には、不動産会社も成約件数を確保するために、手数料の割引キャンペーンを行うなどして契約を獲得しようと試みます。そのため、閑散期を狙った交渉も有効な手段の一つです。

ただし、閑散期は広告予算の削減や販売期間の長期化が起こる場合もあり、全体のコストや販売計画を見据えた判断が大切です。

不動産の仲介手数料の計算に関するよくある質問

ここでは、不動産の仲介手数料の計算に関して、よくある質問を紹介します。

  • Q1. 仲介手数料の速算式に出てくる「+6万円」とは何ですか?
  • Q2. 仲介手数料に消費税はかかりますか?
  • Q3. 400万円を下回る物件の仲介手数料はいくらですか?
  • Q4. 仲介手数料が無料の会社があるのはなぜですか?

Q1. 仲介手数料の速算式に出てくる「+6万円」とは何ですか?

売買価格400万円超の物件で使われる速算式「(売買価格×3%+6万円)+消費税」に含まれる「+6万円」は、計算を簡略化するための調整額です。

本来の計算方法では、売買価格を「200万円以下の部分」「200万円超400万円以下の部分」「400万円超の部分」の3段階に分けて、それぞれ異なる料率(5.5%, 4.4%, 3.3%)を掛けて合算します。

この複雑な計算に対し、一括で「3%」をかける形に簡略化すると差額が生じます。それを補正するのが「+6万円」の役割です。速算式を使っても、本来の計算方法と上限額は同額になります。

Q2. 仲介手数料に消費税はかかりますか?

仲介手数料は、不動産会社が提供する仲介サービスという役務に対する対価であり、消費税の課税対象となります。したがって、計算された仲介手数料の金額に、現行の消費税率(10%)を加えた額が最終的な支払額です。

見積もりや契約書を確認する際は、税抜価格か税込価格かを必ず確認しましょう。

Q3. 400万円を下回る物件の仲介手数料はいくらですか?

400万円を下回る物件は、以下の速算式で計算できます。

売買価格仲介手数料の上限
200万円以下売買価格(税抜)×5%+消費税
200万円超〜400万円以下売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税

例えば、300万円の物件であれば「(300万円× 4%+2万円)+消費税」で計算し、15万4,000円(税込)が上限額となります。

Q4. 仲介手数料が無料の会社があるのはなぜですか?

仲介手数料が無料になる主なケースは2種類あります。一つは不動産会社が売主からのみ手数料を受け取る「片手取引」、もう一つは不動産会社自身が物件の売主である「売主物件」です。

特に後者の場合、不動産会社は仲介ではなく直接販売しているため、仲介手数料自体が発生しません。また、集客戦略の一環として、期間限定のキャンペーンなどで手数料を無料にしているケースもあります。

ただし、手数料が無料であっても、他の名目で費用が請求されないかなど、契約内容は十分に確認する必要があります。

不動産の仲介手数料を計算してみよう

不動産の仲介手数料は、宅地建物取引業法に基づき上限が定められた正当な報酬です。売買契約の場合は、速算式「(売買価格×3%+6万円)+消費税」を覚えておけば、取引ごとのおおよその上限額を簡単に確認できます。

また、居住用賃貸の仲介手数料の上限は「家賃1か月分+消費税」です。

手数料は「上限」であって「固定額」ではありません。取引条件や物件の特性によっては、割引交渉や無料になるケースもあります。一方で、過度な値引き交渉は信頼関係を損ねる恐れもあるため、内容を理解したうえで誠実に相談することが大切です。

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