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不動産の仲介とは?仕組み・流れ・費用・契約の種類を解説

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目次

不動産仲介とは、売主と買主、貸主と借主をつなぎ、査定・広告・内見・交渉・契約・引渡しまでを一気通貫で支援する専門業務です。

販売(自社物件の直接販売)や買取、管理とは役割も収益構造も異なり、宅建業法に基づく高い透明性と公正さが求められます。

この記事では、売買仲介と賃貸仲介の違い、仲介手数料の上限、一般・専任・専属専任の媒介契約の選び方、そして契約までの具体的な流れを、初めての方にも分かりやすく解説します。

不動産会社の担当者から取引を検討している方まで、仕組みを正しく理解して、納得度の高い取引をするための参考にしてください。

不動産の仲介とは?

不動産仲介とは、不動産の売主と買主、または貸主と借主の間に立ち、専門家として円滑な取引をサポートする業務です。物件の紹介や調査、契約書の作成、条件交渉、引渡しまでの一連の手続きを担い、契約が成立した際に成功報酬として仲介手数料を受け取ります。

宅地建物取引業法に基づき、取引の透明性と公正さが厳しく求められる、高い専門知識と倫理観が必要な仕事です。

不動産売買仲介と不動産賃貸仲介

不動産仲介は、大きく「売買仲介」と「賃貸仲介」の2つに分けられます

売買仲介は、マンションや戸建て、土地などの「売却」と「購入」をサポートする業務です。取引金額が大きいため、一度の取引で得られる報酬も高額になる傾向があります。

一方、賃貸仲介は、アパートやマンションなどの「部屋を貸したい人」と「部屋を借りたい人」をつなぐ業務です。売買に比べて単価は低いものの、取引件数が多く回転率が高いのを特徴とします。

どちらも、契約を成立させて初めて報酬が発生する成果報酬型のビジネスモデルです。

不動産仲介の報酬に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
⇒不動産仲介の報酬はどれくらい?仲介手数料の計算方法と金額一覧表も紹介

不動産販売との違い

「仲介」と「販売」は混同されがちですが、役割がまったく異なります。

不動産販売とは、不動産会社が自社で保有する物件を直接売ることで、会社自身が「売主」となります。新築マンションを販売するディベロッパーや、買取再販業者によるリノベーション物件の販売が典型例です。

この場合の収益源は「仲介手数料」ではなく、仕入れ価格と販売価格の差額で得る「販売利益」となります。

一方の不動産仲介は、売主と買主(または貸主と借主)という第三者同士の取引をつなぐ立場で、双方の合意形成をサポートすることが主な役割です。利益の形態も販売とは異なり、契約成立時に発生する「仲介手数料」が報酬となります。

不動産買取との違い

「買取」も仲介とは異なる取引形態です。不動産買取は、不動産会社が個人や法人から物件を直接買い取るビジネスモデルを指します。買い取った物件は、リフォームなどで価値を高め、再販や賃貸物件としての運用により利益を生み出します。

売主の視点から見ると、違いは以下の通りです。

  • 仲介:市場価格に近い価格での売却が期待できる一方、買主が見つかるまでに時間がかかる場合がある(価格重視)。
  • 買取:不動産会社が直接買い取るため、スピーディーに現金化できるが、売却価格は市場価格の7~8割程度になることが多い(スピード重視)。

すぐに現金化したい、周囲に知られずに売却したいといった事情がある場合は「買取」が選ばれ、少し時間がかかっても高く売りたい場合は「仲介」が選ばれる傾向にあります。

不動産管理との違い

不動産管理は、物件のオーナーに代わり、入居者の対応や家賃の徴収、建物の修繕手配、定期的なメンテナンスなどを行う継続的な業務です。入居者がいる限り業務は続くので「ストック型」のビジネスモデルといえます。

一方、仲介は契約が成立するまでをサポートする単発の業務であり、契約が完了すればその役割を終える「フロー型」のビジネスです。

同じ不動産会社が両方のサービスを提供している場合でも、多くは「仲介部門」と「管理部門」として分業化されています。求められるスキルや業務内容も明確に区別されるでしょう。

不動産開発との違い

不動産開発は、土地を造成したり、マンションや商業施設を建設したりと、更地の状態から新たな価値となる物件を「生み出す」仕事です。デベロッパーとも呼ばれます。

これに対し、仲介はすでに存在する物件の取引を「成立させる」仕事であり、不動産流通の最終段階を担う役割といえるでしょう。

開発事業は、多額の資金調達や行政の許認可が必要であり、事業期間も長期にわたります。一方の仲介業は、宅地建物取引業の免許を取得すれば比較的少ない初期費用で開業できます。その点も大きな違いです。

不動産の開業をお考えの方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
⇒【一覧表付】不動産の開業の流れ!失敗しないポイントも解説

売買における不動産仲介

不動産の売買仲介は、売主と買主の間に立ち、査定・販売計画、広告・内見対応、条件交渉、契約書作成、決済・引渡しまでを一貫支援する業務です。法律・税務の知見でリスクを抑え、安心で公平な取引を実現します。

そのため、仲介手数料の上限や、一般・専任・専属専任など媒介契約の違い、成約までの流れを理解しておくことが重要です。

仕事・サポート内容

売買仲介の仕事は、売主と買主、それぞれに対して多岐にわたるものです。

売主に対しては、物件の査定や販売価格の提案をはじめ、広告掲載や内見対応、買主との交渉、契約書作成、引渡しまで一連の流れをサポートします。

一方、買主に対しては、希望条件のヒアリングから物件の紹介、現地への案内、住宅ローンの手続き支援、専門家による重要事項説明、契約条件の調整などを行います。

取引の公平性を保つため、どちらの立場であっても宅地建物取引士による専門的な説明が不可欠です。これは、法律で義務付けられています。

仲介手数料の仕組み

仲介手数料は、不動産会社に支払う成功報酬です。取引が成立したときのみ発生し、相談や案内段階では費用はかかりません。

金額の上限は宅地建物取引業法で定められており、次のように区分されています。

売買価格(税抜)
仲介手数料の上限(税込)
200万円以下の部分
売買価格(税抜)×5%+消費税
200万円超〜400万円以下の部分
売買価格(税抜)×4%+消費税
400万円超の部分
売買価格(税抜)×3%+消費税

計算が煩雑なため、400万円を超える場合は「(売買価格×3%+6万円)+消費税」という速算式を使うのが一般的です。

「+6万円」は、200万円超~400万円以下部分の2%と、400万円超部分に移る際の1%の合算(200万円×2%+200万円×1%=6万円)に由来します。

また、不動産会社が売主と買主の双方を仲介する「両手仲介」と、どちらか一方のみを担当する「片手仲介」があります。

両手仲介では、双方から上限範囲で報酬を受け取り、結果として片手の約2件分相当となることも。その際は利益相反の懸念があるため、情報開示と透明性の確保が求められます。

不動産の仲介手数料について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
⇒不動産の仲介手数料を解説!計算方法・上限・注意点を解説

媒介契約の種類

不動産の売却を仲介会社に依頼する際は、売主と不動産会社の間で「媒介契約」を結びます。この契約には次の3つの種類があり、それぞれ不動産会社の報告義務や売主の自由度が異なります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約
契約の種類一般媒介契約専任媒介契約
専属専任媒介契約
複数の不動産会社との契約◯(複数社と契約可)×(1社のみ)×(1社のみ)
自分で買主を見つけた場合(自己発見取引◯(直接契約可能)◯(直接契約可能)×(不動産会社の仲介が必須)
契約期間の上限法令上の規定なし(行政指導では3か月が一般的)3か月3か月
不動産流通機構(レインズ)への登録義務×(登録は任意)◯(契約から7日以内)◯(契約から5日以内)
売主への販売状況報告の頻度規定なし14日に1回以上7日に1回以上

どの契約を選ぶかによって売却活動の進め方が変わるため、特徴を理解した選択がポイントです。各契約の違いについて詳しく見てみましょう。

一般媒介契約

一般媒介契約は、複数の不動産会社へ同時に仲介を依頼できる、もっとも自由度の高い契約形態です。売主は、より多くの販売チャネルを通じて物件を宣伝できるため、買主を見つける機会が広がります。

しかし、不動産会社からすると他社で契約が決まってしまうリスクがあり、広告費などをかけた積極的な営業活動の優先度が下がりやすい側面も。人気エリアの物件など、比較的売れやすい物件に向いているしょう。

専任媒介契約

専任媒介契約は、仲介を1社の不動産会社に限定して依頼する契約です。不動産会社は、14日に1回以上、売主に対して販売活動の状況を文書またはメールで報告する義務を負います。

1社に任せることで営業リソースを集中してもらいやすい点がメリットです。不動産会社も責任を持って販売活動に取り組むため、早期の成約が期待できるでしょう。

また、売主自身が買主を見つけて直接契約する「自己発見取引」も可能です。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、専任媒介契約よりもさらに制限が厳しい契約形態です。仲介を1社に限定するだけでなく、「自己発見取引」も認められません。

その分、不動産会社の責任はより重くなり、7日に1回以上の頻度で業務報告が義務付けられています。手厚く密なサポートを受けながら、売却活動を全面的に任せたい場合に適した契約です。

不動産の媒介契約の種類についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
⇒不動産の媒介契約の種類|仲介との違い・一般・専任・専属専任を解説

【売買仲介】売主に対する流れ 

仲介担当者が売主をサポートする場合、一般的に次のステップで業務を進めます。

  1. 物件査定・販売価格の設定
  2. 媒介契約の締結
  3. 広告掲載・販売活動
  4. 内見・交渉・条件調整
  5. 契約締結
  6. 決済・引渡し

1. 物件査定・販売価格の設定

物件査定・販売価格の設定:売主からの売却相談を受け、物件の市場価値を査定。周辺の取引事例や市場動向を分析し、根拠のある販売価格を設定します。

2. 媒介契約の締結

売却の意思が固まったら、売主と媒介契約を締結します。契約の種類(一般・専任・専属専任)ごとの特徴を丁寧に説明し、売主の意向に合った契約形態を提案しましょう。

3. 広告掲載・販売活動

契約内容に基づき、販売活動計画を立案・実行します。不動産ポータルサイトへの情報掲載やチラシ作成、レインズへの登録などを通じて、購入希望者を広く募ります。

4. 内見・交渉・条件調整

問い合わせがあれば、購入希望者へ物件をご案内。購入申込が入れば、価格や引渡し時期などの条件交渉を売主の代理として行います。

5. 契約締結

双方の条件が合意に至ったら、重要事項説明書と売買契約書を作成し、契約を締結します。宅地建物取引士が法的要件を満たした正確な書類を作成し、内容を分かりやすく説明します。

6. 決済・引渡し

残代金の決済と物件の引渡しに立ち会います。司法書士と連携し、所有権移転登記などがスムーズに進むようサポート。最後まで責任を持って取引を完了させます。

売主の希望(売却価格、スピードなど)を正確に把握し、実現に向けた最適な戦略を提案・実行する能力が求められます。

【売買仲介】買主に対する流れ 

仲介担当者が買主をサポートする場合、次のステップで業務を進めます。

  1. 希望条件のヒアリング
  2. 物件紹介・現地案内
  3. 重要事項説明・契約手続き
  4. ローン申請
  5. 決済・引渡し

1. 希望条件のヒアリング

買主の希望条件(予算、エリア、間取りなど)を丁寧に確認し、ライフプランに合った物件の方向性を一緒に検討します。併せて、提携金融機関の紹介や住宅ローンの事前審査、資金計画のシミュレーションを行い、無理のない購入プランを立てましょう。

2. 物件紹介・現地案内

ヒアリング内容をもとに、市場から条件に合う物件を複数提案します。気になる物件があれば現地を案内し、建物の状態や周辺環境、将来性などを客観的な視点で説明しましょう。メリットだけでなく注意点も伝え、買主が納得して判断できるようサポートします。

3. 重要事項説明・契約手続き

購入したい物件が決まったら、まず売主側へ購入申込書を提出します。その後、契約締結前に宅地建物取引士が物件の法的状況や契約条件などを詳しく説明(重要事項説明)し、内容に納得した上で売買契約を締結。疑問点や不安を残さないよう、丁寧な説明が求められるでしょう。

4. ローン申請

事前審査を通過した金融機関に対して本審査を申し込み、承認後に金銭消費貸借契約(ローン契約)を締結します。必要に応じて仲介担当者が同席し、手続きがスムーズに進むよう支援します。

5. 決済・引渡し

決済当日は、売主・買主・金融機関担当者・司法書士・仲介業者が金融機関に集まり、立ち会いのもとで残代金の支払いと登記手続きを同時に進めます。

代金の受け渡しが完了した時点で所有権が移転し、通常はその場で売主から鍵を受け取る流れです。状況によっては、鍵の引渡し日を後日に調整することもあるでしょう。

また、後々のトラブルを防ぐため、物件価格だけでなく諸費用を含めた総額で資金計画を提示し、買主の不安を解消することが信頼構築につながります。

賃貸における不動産仲介

賃貸における不動産仲介は、物件を貸したいオーナー(貸主)と、部屋を借りたい入居希望者(借主)の間を取り持ち、賃貸借契約の成立をサポートする業務です。住居用のマンションやアパートだけでなく、店舗や事務所など事業用の物件も幅広く扱います。

入居者の入れ替わりが早いため、契約までのスピード感と、双方の要望を的確に調整する対応力が求められます。

仕事・サポート内容

賃貸仲介の業務は、貸主と借主の双方を支援する形で行われます。

貸主に対しては、適正な家賃設定のアドバイスをはじめ、入居者募集や広告掲載、内見対応、契約書作成までを担当。さらに、入居後のトラブルを防ぐための管理上の提案も行い、安心できる賃貸運営を支えます。

一方の借主には、希望条件のヒアリングをもとに最適な物件を紹介し、現地案内や契約内容の説明、鍵の受け渡しまでの手続きを一貫してサポート。

売買仲介と同様に、取引の公正を保つため宅地建物取引士による「重要事項説明」が法律で義務付けられています。

仲介手数料の仕組み

賃貸仲介における仲介手数料は、宅地建物取引業法により「家賃の1か月分+消費税」が上限として定められています。

賃貸の仲介手数料の負担は契約内容で異なり、貸主・借主のいずれかが全額を支払う場合や、折半するケースもあります

居住用物件の場合、借主から受け取れる手数料は原則として「家賃の0.5か月分+消費税」まで。借主の事前承諾がある場合に限り「家賃の1か月分+消費税」まで受領できます。

また、貸主・借主の双方から受け取る場合でも、合計で「家賃の1か月分+消費税」が上限です。

この「0.5か月原則+承諾で1か月分まで」のルールは居住用物件限定で、事業用物件には適用されません。

仲介手数料は契約成立時に発生する成功報酬であり、物件案内や相談の段階では費用はかかりません。一般的には、敷金・礼金・前家賃・火災保険料などの初期費用と合わせて不動産会社に支払います。

不動産の仲介手数料については、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒不動産の仲介手数料を解説!計算方法・上限・注意点を解説

【賃貸仲介】貸主に対する流れ

仲介担当者が貸主(オーナー)をサポートする場合、空室期間を短縮し、信頼できる入居者を見つけることが目的となります。一般的な流れは次の通りです。

  1. 賃料査定・募集条件の設定
  2. 媒介契約の締結(一般/専任)
  3. 広告掲載・内見対応
  4. 入居希望者の審査・契約調整
  5. 契約締結・鍵の引渡し

1. 賃料査定・募集条件の設定 

オーナーから物件の状況や希望をヒアリングし、周辺の家賃相場や競合物件を調査します。そのデータに基づき、最適な賃料や敷金、管理費などの募集条件を提案します。

2. 媒介契約の締結(一般/専任)

複数社に依頼できる「一般媒介契約」もしくは1社に絞る「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」のいずれかを選択してもらい、契約を締結します。それぞれのメリット・デメリットを事前に説明し、オーナーの意向に沿った形で進めましょう。

3. 広告掲載・内見対応

物件の魅力を引き出す写真や紹介文を作成し、不動産ポータルサイトおよび自社ウェブサイトへ掲載。他の仲介会社にも情報を共有(レインズ登録など)して、広く入居者を募ります。

問い合わせがあった入居希望者を現地へ案内します。物件の長所を的確に伝え、質問に丁寧に答えることで、相手の意欲を高めましょう。

4. 入居希望者の審査・契約調整

申込者の勤務先や年収、人柄などを確認し、家賃の支払い能力やトラブルのリスクがないか審査します。必要に応じて家賃保証会社の審査も手配し、オーナーが安心して物件を貸し出せるようサポートします。

5. 契約締結・鍵の引渡し

審査を通過したら、賃貸借契約書と重要事項説明書の作成です。契約内容を双方に分かりやすく説明し、署名・捺印の手続きを進めましょう。

契約金の入金を確認後、入居日までに鍵を借主に引渡します。入居後のトラブルを避けるため、入居者と一緒に室内の状況を確認(入居時チェック)することもあります。

【賃貸仲介】借主に対する流れ 

借主(入居希望者)をサポートする際は、希望条件に合った物件を迅速に提案し、安心して契約できるよう導くことが大切です。

賃貸市場は物件情報の入れ替わりが早く、人気物件はすぐに埋まってしまうため、スピード感を持った対応と、信頼できる情報提供が成功のポイントとなります。

  1. 希望条件のヒアリング
  2. 物件紹介・現地案内
  3. 申込・入居審査
  4. 重要事項説明・契約手続き
  5. 初期費用の支払い・鍵の受け取り

1. 希望条件のヒアリング

まず、顧客の希望条件(家賃、エリア、間取りなど)を丁寧にヒアリングします。単に条件を聞くだけでなく、ライフスタイルや将来設計まで踏み込んでカウンセリングを行いましょう。潜在的なニーズを掘り起こし、より的確な物件提案につなげます。

2. 物件紹介・現地案内

ヒアリング内容をもとに、データベースから最適な物件を複数紹介。興味を持った物件があれば現地へ案内し、日当たりや周辺環境など、資料では分かりにくい点を説明します。実際の生活イメージを持てるよう、丁寧なサポートが大切です。

3. 申込・入居審査

借りたい物件が決まったら、入居申込書の記入をサポート。申込内容はオーナーや管理会社が審査を行う際の重要な資料となります。誤りのないよう確認しながら進め、スムーズな審査通過を目指します。

4. 重要事項説明・契約手続き

審査通過後、宅地建物取引士が契約内容や禁止事項などを定めた「重要事項説明」を行います。顧客の疑問を解消し、納得の上で賃貸借契約を締結できるよう、分かりやすい説明が欠かせません。

5. 初期費用の支払い・鍵の受け取り

契約時には、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用の内訳と合計額を明示し、支払い手続きを案内します。すべての手続きが完了した後、入居日に合わせて鍵を引渡し、安心して新生活を始められるよう見届けてください。

不動産仲介を成功させるポイント 

不動産仲介で成果を上げるには、物件を紹介するだけではありません。顧客との信頼関係と戦略的な事業展開が不可欠です。

変化の激しい市場で競合に差をつけるためには、集客力の向上や業務の効率化、そして長期的な顧客とのつながりを意識した取り組みが求められます。

ここでは、不動産仲介業を成功へ導くために押さえておきたい4つのポイントを紹介します。

  • 信頼関係の構築
  • 情報発信と集客力
  • DXの活用
  • アフターフォローとリピート施策

信頼関係の構築

不動産取引は、顧客にとって人生を左右する大きな決断です。そのため、何よりもまず顧客との信頼関係を築くことが成功の基盤となります。

問い合わせへの迅速な対応や、専門知識に基づく誠実な説明は必須といえるでしょう。さらにメリットだけでなくデメリットも包み隠さず伝える情報開示の姿勢が、顧客満足度を高め、安心感を与えます。

信頼を深めるには、契約内容の正しい理解も大切です。不動産の契約の種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
⇒不動産の媒介契約の種類|仲介との違い・一般・専任・専属専任を解説

情報発信と集客力

不動産仲介で成果を上げるには、効果的な集客戦略が欠かせません。現在は多くの人がインターネットで物件を探すため、大手ポータルサイトへの掲載が基本となります。

さらに、自社サイトやSNS、ブログを通じて専門的な情報を発信し、信頼性を高めながら見込み客を獲得する仕組みづくりが重要です。既存顧客からの紹介や口コミも大きな集客力を持ちます。日頃から丁寧な対応と良好な関係を保つことが、継続的な成果につながるでしょう。

DXの活用

不動産業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が進み、業務効率化と顧客満足度の向上が求められています。

電子契約システムを活用すれば、遠方の顧客とも非対面で契約を完結できるので、手続きのスピードが大幅に向上するでしょう。さらに、オンライン内見を取り入れることで、顧客は自宅にいながら物件を確認でき、利便性と満足度が高まります。

加えて、顧客や物件情報をクラウドで一元管理すると、社内での情報共有がスムーズになり、より迅速で的確な提案が可能です。こうしたDXの活用が、業務効率化と競争力強化につながります。

不動産業界で活用きるDXツールを具体的に知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
⇒不動産DXツールの種類や機能、導入方法を解説 

アフターフォローとリピート施策

不動産仲介は一度の取引で終わることが多いものの、安定した収益を確保するには、リピートや紹介につなげる視点が欠かせません。

取引後も顧客情報をきちんと管理し、定期的に連絡を取るなど、継続的なアフターフォローをしましょう。将来的な売却・購入や知人の紹介といった新たなビジネスチャンスが生まれます。

顧客管理(CRM)システムを活用して長期的な信頼関係を築くことが、安定した経営基盤の構築に直結するのです。

不動産仲介業を開業するなら「売買」と「賃貸」どっちがおすすめ?

不動産仲介業で独立開業を目指す際、「売買」と「賃貸」のどちらを主軸にすべきかは多くの人が悩むポイントです。それぞれにメリット・デメリットがあり、自身の経験や資金計画に合わせた慎重な選択が必要となります。

売買仲介は、1件あたりの取引額が数千万円から数億円と高額になるため、得られる仲介手数料も大きく、高い利益率が魅力です。

しかし、顧客が購入を決断するまでに時間がかかる傾向があります。成約までの期間が長期化しやすいため、開業初期の収入が不安定になるリスクがつきものです。

一方の賃貸仲介は、取引単価は低いものの、比較的短期間で契約が成立しやすく、回転が早いのを特徴とします。そのため、開業初期のキャッシュフローを安定させやすい点が大きなメリットです。

まずは賃貸仲介で安定した収益基盤を築き、その後、売買仲介にも事業を拡大していくという戦略も有効でしょう。

不動産仲介に関するよくある質問

ここでは、不動産仲介に関するよくある質問を紹介します。

  • Q1. 不動産の仲介手数料とは何ですか?
  • Q2. 不動産売却の仲介手数料の計算方法は?
  • Q3. 不動産仲介業は誰でもできますか?
  • Q4. 不動産を売却するなら、仲介と買取どちらがいいですか?

Q1. 不動産の仲介手数料とは何ですか?

不動産会社に支払う成功報酬のことです。不動産の売買や賃貸の契約が成立した際に、仲介業務への対価として支払います。この手数料には、物件の広告費用や案内、契約書類の作成など、取引完了までの一連のサポート業務が含まれています。

あくまで成功報酬であり、物件の案内や相談の段階で費用が発生することはありません。手数料の上限額は宅地建物取引業法で定められており、事業者はこれを超えて請求しないのがルールです。

Q2. 不動産売却の仲介手数料の計算方法は?

不動産売却の仲介手数料は、売買価格に応じて上限が法律で定められています。一般的に、400万円を超える物件の場合は「(売買価格×3%+ 6万円)+消費税」という速算式で計算します。

例えば、3,000万円の物件を売却した場合、「(3,000万円×3%+6万円)+消費税=105.6万円(税込)」が上限です。これは、本来は価格帯ごとに異なる料率(200万円以下は5%、400万円以下は4%など)を簡易的に計算するための速算式となります。

不動産会社によっては、この上限額の範囲内で割引を行う場合もありますが、契約前に手数料の金額と内訳の確認が必要です。

Q3. 不動産仲介業は誰でもできますか?

不動産仲介業は誰でも簡単に始められるわけではありません。事業を営むには、まず都道府県知事または国土交通大臣へ申請し、「宅地建物取引業」の免許を取得する必要があります。

免許取得には、事務所の設置や一定額の営業保証金の供託などが求められます。さらに、事務所には従業員5人につき1人以上の割合で、国家資格である「専任の宅地建物取引士」の設置が必須です。これは法律で義務付けられています。

Q4. 不動産を売却するなら、仲介と買取どちらがいいですか?

「仲介」と「買取」は、売却目的によって選択すべき方法が異なります。

「仲介」は不動産会社が買主を探す方法で、市場価格に近い価格で売却できる可能性がある一方、売れるまでに時間がかかるケースがあります。

「買取」は不動産会社が直接物件を買い取るため、最短数日で現金化できるスピードが魅力といえるでしょう。ただし、買取価格は相場の7~8割程度になるのが一般的です。

高く売りたいなら「仲介」、早く確実に売りたいなら「買取」が向いています。ご自身の資金計画やスケジュール、何をもっとも優先したいかを明確にした選択が重要です。

不動産仲介の仕組みを理解して後悔のない選択をしよう

不動産仲介は、売主と買主、貸主と借主の間に立ち、査定から契約・引渡しまでを一貫して支援する専門業務になります。

売買仲介は取引額が大きく、手数料の上限は「(価格×3%+6万円)+消費税」です。成約までに時間がかかる一方、専門知識を活かしてトラブルを防ぎ、高額な取引を安全に進めることが求められます。

一方、賃貸仲介は契約までのスピードが早く、比較的短期間で成約に至るのが特徴です。居住用物件では、仲介手数料は「家賃の1か月分+消費税」が上限と定められています。

いずれも信頼関係の構築とDX活用による効率化が、安定した成果を生む鍵となるでしょう。


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