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不動産購入申込書(買付証明書)とは?書き方・記入例・値引き交渉・キャンセルまで完全解説

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目次

不動産購入申込書(買付証明書)は、法的拘束力を持たない意思表示書類だが、記載内容と提出タイミングが売買の成否を左右する。購入希望価格・手付金・ローン特約・有効期限の書き方ひとつで、値引き交渉の結果も一番手の獲得も変わる。本記事では購入申込書の記載項目・OK/NG記入例・指値のコツ・キャンセル時のリスク・提出後の流れまでを網羅的に解説する。

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不動産購入申込書(買付証明書)とは?基本と役割

購入申込書とは、買主が「この物件をこの条件で購入したい」という意思を売主に伝える書類である。法的拘束力はなく、提出後の撤回も可能だが、売主に購入意思を正式に示す最初のステップとして不動産売買の実務に欠かせない。

購入申込書と買付証明書は同じ書類

不動産購入申込書と買付証明書は呼び方が異なるだけで、同一の書類を指す。不動産会社によって「買付証明書」「購入申込書」「買付申込書」「不動産購入申込書」など名称が異なるが、いずれも買主の購入意思と希望条件を書面にしたものである。

本記事では「購入申込書」の表記で統一するが、買付証明書もまったく同じ意味として読んでほしい。

売買契約書との違い

購入申込書と売買契約書は役割が根本的に異なる。両者を混同すると「申込書を出したら買わなければならない」と誤解してしまうため、違いを正確に理解しておく必要がある。

項目購入申込書(買付証明書)売買契約書
法的拘束力なしあり
キャンセル原則可能(ペナルティなし)手付金の放棄・違約金が発生
手付金不要(購入申込金を求められる場合あり)物件価格の5〜10%が相場
役割購入意思と希望条件の表明売買条件の確定・法的合意
署名・押印認印で可実印が一般的
作成者買主(仲介会社が書式を提供)仲介会社または売主側

法的拘束力はあるのか

購入申込書に法的拘束力はない。判例でも、購入申込書と売渡承諾書が取り交わされた段階であっても売買契約は成立しないとされている(大阪高裁平成2年4月26日判決は「買付証明書と売渡承諾書の交換だけでは売買契約は成立しない」と判示)。

ただし「契約締結上の過失」が認められるケースがある。購入申込書を提出し、売主が他の購入希望者を断り、契約準備を進めた段階で一方的に撤回すると、売主側に損害賠償が認められた判例がある。つまり、法的拘束力がないからといって安易に提出・撤回を繰り返すことは避けるべきだ。

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不動産購入申込書の記載項目と書き方

購入申込書の記載項目は、買主情報・物件情報・購入希望価格・手付金・契約希望日・融資利用・その他条件・有効期限の8項目が基本である。特に重要なのは購入希望価格・融資利用(ローン特約)・有効期限の3点で、この3項目の書き方が交渉結果を大きく左右する。

#項目記載内容記入のポイント
1買主情報氏名・住所・連絡先・生年月日住民票の記載と一致させる
2物件情報所在地・面積・構造・地番物件資料や登記情報をそのまま転記
3購入希望価格希望する購入金額指値の場合はここに希望額を記載
4手付金契約時に支払う金額物件価格の5〜10%が目安
5契約希望日売買契約を締結したい日申込から1〜2週間後が一般的
6引き渡し希望日物件の引き渡しを受けたい日売主の都合も考慮する
7融資利用の有無ローンの利用有無と金額ローン特約の条件を必ず明記
8有効期限申込書の有効期間1〜2週間が一般的

買主情報(氏名・住所・連絡先)

氏名はフルネームを自筆で記入し、住所は住民票の記載通りに書く。連名で購入する場合(夫婦共有名義など)は、購入者全員の氏名・住所を記載する。押印は認印で構わないが、実印を求められるケースもある。

物件情報(所在地・面積・構造)

物件の所在地・面積・構造・地番などを記載する。仲介会社が提供する物件資料や登記簿謄本の記載をそのまま転記するのが確実だ。マンションの場合は棟名・部屋番号も忘れずに記入する。

購入希望価格

売出価格で購入する場合はそのまま記載する。値引き交渉(指値)をしたい場合は、希望する金額をここに書く。たとえば売出価格4,500万円の物件を4,300万円で購入したい場合、購入希望価格の欄に「4,300万円」と記入する。

手付金・中間金

手付金は売買契約時に支払う金額で、物件価格の5〜10%が相場である。4,000万円の物件なら200万〜400万円が目安だ。手付金の金額が低すぎると売主に購入意思を疑われることがあるため、相場の範囲内で設定する。中間金は設定しないケースが一般的だ。

契約希望日・引き渡し希望日

契約希望日は購入申込書の提出から1〜2週間後、引き渡し希望日は契約から1〜2ヶ月後が一般的である。売主の転居先が決まっていない場合など、引き渡し時期に制約がある場合は、仲介会社を通じて事前に確認しておく。

融資利用の有無とローン特約

住宅ローンを利用する場合は「融資利用あり」にチェックし、借入予定額・借入先金融機関名を記載する。ローン特約(融資特約)は必ず設定する。ローン特約とは、住宅ローンの本審査が否決された場合に売買契約を白紙解除できる条件のことだ。ローン特約がなければ、ローンが通らなくても手付金を放棄して契約解除しなければならない。

その他の条件(測量・境界確定・建物取り壊し等)

土地の購入では測量・境界確定の希望を記載する。古家付き土地の場合は建物の取り壊し(更地渡し)を希望するかどうかも明記する。インスペクション(建物状況調査)の実施希望がある場合もここに記載するとよい。

有効期限

購入申込書の有効期限は1〜2週間が一般的だ。有効期限が過ぎると申込書は無効となる。短すぎると売主の検討時間が足りず、長すぎると売主が他の購入希望者への対応を保留することになるため、適切な期間を設定する。

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購入申込書の記入例|OK例とNG例で学ぶ

購入申込書の書き方は書式の記入欄を埋めるだけだが、何をどう書くかで交渉の成否が変わる。ここでは居住用マンション購入の完全記入例と、値引き交渉時のカスタマイズ例、そしてよくある「惜しいNG」を対比形式で紹介する。

居住用マンション購入の記入例(完全版)

以下は、売出価格4,500万円の中古マンションを売出価格通りに購入する場合の記入例である。

項目記入例
申込日令和8年7月1日
買主氏名山田 太郎
住所東京都世田谷区○○1-2-3
連絡先090-1234-5678
物件所在地東京都港区○○2-3-4 ○○マンション 801号室
購入希望価格金 4,500万円
手付金金 300万円
契約希望日令和8年7月15日
引き渡し希望日令和8年8月31日
融資利用あり(○○銀行、借入予定額3,500万円)
ローン特約あり(融資承認期限:令和8年8月15日)
その他条件インスペクション実施希望
有効期限令和8年7月14日

値引き交渉ありの記入例(差分のみ)

売出価格4,500万円の物件を4,300万円で購入したい場合、完全版から以下の項目だけを変更する。

項目変更内容
購入希望価格金 4,300万円(売出価格4,500万円に対して約4.4%の指値)
その他条件「購入希望価格は値引き後の金額です。価格についてご相談させてください」と付記

指値の理由を補足する一文があると、売主の心証がよくなる。「急いでいるので早期決済が可能です」「現金購入のため融資リスクがありません」など、売主にとってのメリットを添える。

やってはいけないNG記入例

「惜しいNG」と呼ばれる、初めての購入で実際にやりがちなミスを紹介する。

項目NG例なぜNGかOK例
購入希望価格「4,000万円くらい」曖昧な表現は交渉にならない。具体的な金額を明記する「金 4,000万円」
有効期限空欄期限がないと売主が判断できず放置される「令和8年7月14日」(1〜2週間後)
ローン特約融資利用「あり」だがローン特約の記載なし審査否決時に手付金を失うリスクがある「ローン特約あり(融資承認期限:○月○日)」
手付金「50万円」(物件価格4,500万円に対して約1.1%)低すぎると購入意思を疑われ、売主が他の買主を優先する可能性がある「300万円」(約6.7%)
契約希望日「3ヶ月後」売主に不信感を与える。特段の事情がなければ1〜2週間後に設定する「令和8年7月15日」

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購入申込書のテンプレート・雛形

購入申込書のテンプレートは、自分で用意する必要はない。仲介会社が書式を持っているのが一般的で、担当者から渡されたフォーマットに記入する形になる。

テンプレートの入手方法

購入申込書のテンプレートは、以下の方法で入手できる。

  • 仲介会社から受け取る(最も一般的):担当の仲介会社がA4・1枚程度の書式を用意しているのが通常。仲介会社ごとに書式が異なるが、記載項目は概ね共通している
  • 不動産団体のサイトからダウンロード:全日本不動産協会や全国宅地建物取引業協会のサイトで書式が公開されている場合がある
  • インターネット上のテンプレートを利用:Word・Excel形式のテンプレートが無料で公開されているサイトもある。ただし記載項目が不十分な場合があるため、仲介会社に確認してから使うのが安全だ
項目名記載例備考
表題不動産購入申込書 / 買付証明書名称は会社により異なる
申込日令和○年○月○日提出日を記入
宛先売主名 or 仲介会社名書式による
買主情報欄氏名・住所・連絡先・生年月日住民票の記載と一致させる
物件情報欄所在地・面積・構造登記簿・物件資料から転記
購入条件欄価格・手付金・契約日・引渡日中核の交渉条件
融資条件欄利用有無・金融機関・ローン特約ローン利用時は必須
その他条件欄測量・インスペクション等必要に応じて
有効期限令和○年○月○日1〜2週間が一般的
署名・押印欄自筆署名+認印実印を求められる場合も

テンプレートを使う際の注意点

テンプレートの記載項目はあくまで一般的な構成である。物件の種類や取引条件によっては追加項目が必要になるケースがある。たとえば古家付き土地の売買では「建物取り壊し(更地渡し)の希望」、事業用物件では「用途制限の確認事項」などを追記する。テンプレートに項目がない場合は「その他条件」欄に手書きで追記するか、仲介会社に相談する。

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購入申込書を提出するタイミングと一番手争いの実態

購入申込書は住宅ローンの事前審査が通過した段階で提出するのが基本だ。一番手は原則として申込の提出順だが、売主が価格・融資条件・引き渡し時期を総合判断して決めるケースも多い。

住宅ローン事前審査との関係

住宅ローンを利用する場合、事前審査(仮審査)に通過してから購入申込書を提出するのが一般的な流れだ。事前審査に通過していない状態で購入申込書を出しても、融資が下りなければ売買契約に進めない。売主や仲介会社からの信頼を得るためにも、事前審査の通過は事実上の前提条件と考えてよい。

事前審査には通常3日〜1週間ほどかかる。気になる物件が見つかったら、内見と並行して事前審査を進めておくと、購入申込のタイミングを逃さない。

一番手はどう決まるのか?

不動産取引では、先に購入申込書を提出した人を「一番手」と呼ぶ。一般的には申込の到着順(時間順)で優先されるが、売主が最終的に誰と契約するかを決める権利を持っている。つまり、提出が早くても条件面で他の購入希望者に劣る場合は二番手以降になることがある。

公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)『首都圏不動産流通市場の動向(2025年)』によると、2025年の首都圏中古マンション成約件数は49,114件(前年比31.9%増)と市場は活況にあり、人気物件での一番手争いは激しさを増している。

複数の買付が入った場合の優先順位

人気物件では複数の購入申込書が同時期に入ることがある。この場合、売主は以下の要素を総合的に判断して優先順位を決める。

判断要素優先されやすい条件不利になりやすい条件
購入希望価格売出価格以上(満額 or 上乗せ)大幅な指値(10%超の値引き)
融資条件現金購入 or 事前審査通過済み事前審査未了
契約・引き渡し時期売主の希望に合致長期間の猶予を要求
手付金の金額相場の範囲内(5〜10%)極端に低い金額
購入目的居住用(実需)売主の希望条件によっては投資・転売目的が不利になる場合がある

現金購入やローン事前審査通過済みの買主は融資リスクがないため、売主にとって安心感が大きい。同じ価格であれば、融資条件が確実な買主が優先されるケースが多い。

購入申込書を提出する前のチェックリスト:

  • 住宅ローンの事前審査に通過しているか
  • 購入希望価格は根拠のある金額か(周辺相場と比較済みか)
  • 手付金は相場の範囲内(物件価格の5〜10%)で設定しているか
  • ローン特約の条件を明記しているか
  • 有効期限は1〜2週間で設定しているか
  • 契約希望日・引き渡し希望日は現実的か
  • 物件情報は登記簿や物件資料と一致しているか

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値引き交渉(指値)のコツと注意点

値引き交渉は購入申込書の「購入希望価格」欄に希望金額を記載することで行う。売出価格より低い金額を提示することを「指値(さしね)」と呼ぶ。指値が通るかどうかは、金額の妥当性・物件の売出期間・市場環境・売主の事情によって大きく変わる。

指値の目安は何%まで?

一般的に、売出価格の5%以内の指値であれば交渉のテーブルに乗りやすい。東日本レインズ『首都圏不動産流通市場の動向(2025年)』によると、中古マンションの新規登録価格と成約価格には5〜10%程度の差があり、5%以内の指値は市場実態に即した水準といえる。10%を超える大幅な指値は、よほどの事情がない限り断られるケースが多い。

指値幅交渉成立の見込み備考
売出価格通り(指値なし)◎ ほぼ確実一番手を確保しやすい
1〜3%○ 通りやすい端数調整レベル。4,500万円→4,380万円など
3〜5%△ 条件次第売出期間が長い物件なら検討される
5〜10%▲ 厳しい売主の事情(急ぎの売却等)がある場合のみ
10%超× ほぼ通らない売主の心証を損ね、交渉自体が打ち切られるリスク

値引き交渉が通りやすいケース

以下のような物件は、売主が価格交渉に応じやすい傾向がある。

  • 売出から3ヶ月以上経過している物件:長期間売れ残っている物件は、売主側にも「価格を下げてでも売りたい」という心理が働く
  • 売主が買い替え(住み替え)を予定している物件:新居の引き渡し時期に合わせて売却を急いでいる場合がある
  • 相続した物件:相続人が遠方に住んでおり、管理が負担になっているケース
  • 周辺相場より割高な設定の物件:近隣の成約事例と比較して価格が高めに設定されている場合、根拠を示して交渉しやすい

指値で失敗する典型パターン

  • 根拠のない大幅値引き:「とりあえず500万円引きで」のような根拠のない指値は売主の不信感を招く。周辺の成約事例や物件の状態を根拠にする
  • 複数物件への同時指値:複数の物件に同時に購入申込書を出すと、仲介会社間で情報が共有されて信用を失う
  • 一番手なのに指値を入れる:人気物件で一番手を確保しているのに指値を入れると、満額で申し込む二番手に逆転されるリスクがある
  • 指値の理由を説明しない:「この価格なら即決できます」「住宅ローンの審査額に合わせた金額です」など、理由を添えると売主が検討しやすくなる

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購入申込書のキャンセル|撤回は可能?リスクは?

購入申込書は法的拘束力がないため、原則として撤回(キャンセル)は可能だ。ただし、実務上のリスクがある。安易なキャンセルは仲介会社との信頼関係を損ない、今後の物件紹介に影響する可能性がある。

キャンセルは法的に可能

購入申込書は売買契約書とは異なり、法的な拘束力を持たない。そのため、購入申込書を提出した後でも、売買契約の締結前であればキャンセルすること自体は可能である。キャンセルに伴う違約金や損害賠償は原則として発生しない。

購入申込金(申込証拠金)を預けている場合は、キャンセル時に全額返金されるのが原則だ。宅地建物取引業法第47条の2第3項(施行規則第16条の12第2号)では、申込の撤回があった場合に「受領した預り金を返還することを拒む行為」を禁止している。

キャンセルの実務上のリスク

法的にはキャンセル可能でも、実務上は以下のリスクがある。

  • 仲介会社との信頼関係の悪化:キャンセルが繰り返されると、仲介会社から「本気で買う気がない客」と判断され、優良物件の紹介が受けられなくなる可能性がある
  • 売主への損害賠償リスク(極端なケース):購入申込書の提出後に売主が他の買主を断り、契約準備を進めていた場合、「契約締結上の過失」として損害賠償を請求される可能性がゼロではない
  • 購入申込金の返金トラブル:法的には全額返金が原則だが、実務上は仲介会社から引き止められたり、返金手続きに時間がかかるケースがある

キャンセルを避けるためにやるべきこと

購入申込書を提出した後のキャンセルを防ぐには、提出前の段階で十分な検討を済ませておくことが重要である。

  • 内見を複数回行う:1回の内見で決断せず、異なる時間帯や曜日に再度確認する
  • 住宅ローンの事前審査を済ませる:融資が通るか不確定な段階で購入申込書を出さない
  • 周辺相場を調べてから価格を決める:「やっぱり高かった」と後悔しないよう、近隣の成約事例を確認する
  • 家族と十分に相談する:配偶者や家族の同意を得てから申込書を提出する
  • 重要事項説明の前に気になる点を仲介会社に質問する:管理費・修繕積立金・管理組合の運営状況など、契約前に確認すべき事項をリストアップしておく

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購入申込書を提出した後の流れ

購入申込書を提出してから物件の引き渡しまでは、一般的に1〜2ヶ月程度かかる。売主の受諾・条件交渉→重要事項説明・売買契約→住宅ローン本審査→決済・引き渡しという順で進む。

売主の受諾・条件交渉

購入申込書を受け取った売主は、条件を検討したうえで受諾・条件変更・拒否のいずれかを回答する。売出価格通りの申込であれば受諾されることが多いが、指値が入っている場合は条件交渉が行われる。

条件交渉は仲介会社を通じて行うのが一般的だ。買主が仲介会社Aに、売主が仲介会社Bに依頼しているケース(片手取引)では、A社とB社が間に入って条件を調整する。交渉期間は通常3日〜1週間程度だ。

重要事項説明・売買契約の締結

売主が購入申込書の条件を受諾したら、売買契約に向けた準備が始まる。売買契約の前に宅地建物取引士による重要事項説明が行われ、物件の権利関係・法令上の制限・契約条件などが詳しく説明される。

重要事項説明の内容に問題がなければ、売買契約を締結する。契約時に手付金を支払い、署名・押印(通常は実印)を行う。ここから法的拘束力が発生し、買主都合のキャンセルには手付金の放棄が必要になる。

住宅ローン本審査・決済・引き渡し

売買契約の締結後、住宅ローンの本審査を申し込む。本審査には通常1〜3週間かかる。審査に通過すれば、金銭消費貸借契約(ローン契約)を締結し、決済(残代金の支払い)・物件の引き渡しへと進む。

ローン特約を設定していれば、本審査が否決された場合でも売買契約を白紙解除でき、手付金は全額返還される。

ステップ内容所要期間
1. 購入申込書の提出購入意思と条件を売主に伝える即日
2. 売主の受諾・条件交渉価格・引渡時期等の調整3日〜1週間
3. 重要事項説明宅建士による物件・契約条件の説明契約日の直前
4. 売買契約の締結手付金支払い・署名押印申込から1〜2週間後
5. 住宅ローン本審査金融機関による融資判断1〜3週間
6. 決済・引き渡し残代金支払い・鍵の受け渡し契約から1〜2ヶ月後

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仲介営業が押さえるべき購入申込書の実務ポイント

ここまでは買主向けに購入申込書の書き方を解説してきたが、仲介営業にとっては「書いてもらう側」「受け付ける側」としての実務知識も重要だ。購入申込書の受付から売主への報告、複数申し込みが入った場合の対応まで、実務で押さえるべきポイントを整理する。

買付の受付から売主への報告までの流れ

買主から購入申込書を受け取ったら、以下の手順で売主に報告する。

  1. 記載内容の確認:購入希望価格・手付金・ローン利用の有無・有効期限など、記載漏れがないか確認する
  2. 事前審査の通過状況を確認:ローン利用ありの場合、事前審査が通過しているか確認する。未通過の場合はその旨を売主に伝える必要がある
  3. 売主(または売主側仲介会社)への報告:購入申込書の内容を正確に伝える。価格・条件だけでなく、買主の属性(居住用か投資用か)や融資状況も報告する
  4. 売主の回答を待ち、買主に伝達:売主の回答(受諾・条件変更・拒否)を受け取り、買主にフィードバックする

買付の受付から売主への報告までのスピードが、仲介営業の信頼性に直結する。報告が遅れると売主の不信感を招き、他の仲介会社経由の買主が優先されるリスクがある。

複数申し込みが入った場合の対応

人気物件では複数の購入申込書が同時期に届くことがある。この場合、売主側の仲介営業は以下のポイントを押さえて対応する。

  • 全ての申込書の内容を正確に売主に報告する:一番手・二番手の順番だけでなく、各申込の価格・融資条件・引き渡し希望時期を一覧で比較できる形で報告する
  • 売主の判断を尊重する:最終的に誰と契約するかは売主が決める。仲介営業が勝手に優先順位をつけて一部の申込を握りつぶすことは宅建業法上の問題になりうる
  • 断る買主にも丁寧に対応する:断られた買主に対しても誠実にフィードバックし、代替物件の提案につなげる

複数の買主の検討状況や温度感を把握するには、顧客管理ツールの活用が有効だ。たとえばFaciloのようなツールでは、マイページの閲覧ログで買主がどの物件をいつ・何回見ているかを把握でき、買付のタイミングや温度感の見極めに役立つ。案件ごとの進捗管理も一元化できるため、複数の購入申込が入った場合の対応もスムーズになる。

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よくある質問(FAQ)

複数の物件に同時に購入申込書を出してもよい?

法的には複数物件への同時申込を禁止するルールはない。ただし実務上は推奨されない。同一の仲介会社を通じて複数申込を出すと「本気度が低い」と判断され、優良物件の紹介が受けられなくなるリスクがある。異なる仲介会社経由であっても、同じエリアの物件であれば仲介会社間で情報が共有されることもある。購入の優先順位を決めてから申込書を提出するのが基本だ。

購入申込書に印鑑は必要?

認印で提出できるケースが多い。ただし、不動産会社や取引の状況によっては実印を求められる場合もある。事前に仲介会社に確認しておくとよい。

購入申込金(申込証拠金)は必要?

仲介会社によっては、購入申込書の提出時に購入申込金(5万円〜10万円程度)を求められることがある。購入申込金は売買代金に充当されるか、キャンセル時に全額返金されるのが原則だ。宅地建物取引業法第47条の2第3項(施行規則第16条の12第2号)により、申込の撤回があった場合に「受領した預り金を返還することを拒む行為」は禁止されている。返金を拒まれた場合は、各都道府県の不動産適正取引推進機構や宅建業の監督部署に相談できる。

手付金の相場はいくら?

手付金は物件価格の5〜10%が相場である。4,000万円の物件なら200万〜400万円が目安だ。手付金の金額は売買契約時に支払うものであり、購入申込書の段階では実際の支払いは発生しない。

購入申込書は夫婦連名で出すべき?

住宅ローンを連帯債務やペアローンで組む場合、購入申込書は夫婦連名で提出するのが一般的だ。単独名義で購入する場合は1人の署名で構わない。共有名義にする予定がある場合は、仲介会社に事前に相談する。

購入申込書の有効期限はどのくらい?

有効期限は1〜2週間が一般的だ。期限を過ぎると申込書は無効になる。有効期限を設定しないと売主の検討が長引き、他の物件を探す機会を逃すことになるため、適切な期限の設定が必要だ。

購入申込後に物件価格が下がったらどうなる?

購入申込書の提出後に売主が売出価格を引き下げた場合、すでに提出した購入申込書の条件が自動的に変更されるわけではない。購入希望価格を変更したい場合は、改めて仲介会社を通じて条件変更を申し出る必要がある。

電子(オンライン)で提出できる?

近年は電子契約や電子署名の普及に伴い、購入申込書もオンラインで提出できるケースが増えている。ただし対応は不動産会社によって異なり、紙の書面を求められることも多い。電子提出に対応しているかどうかは、事前に仲介会社に確認する。

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まとめ

不動産購入申込書(買付証明書)は法的拘束力のない書類だが、購入の成否を左右する重要なステップだ。

記載項目は買主情報・物件情報・購入希望価格・手付金・契約日・融資利用・有効期限が基本であり、特にローン特約の設定は必須である。値引き交渉をする場合は売出価格の5%以内が目安で、根拠を添えて申し出ると成立しやすい。キャンセルは法的に可能だが、仲介会社との信頼関係に影響するため、十分に検討してから提出する。

購入の流れは、物件探し→内見→購入申込書の提出→条件交渉→売買契約→ローン本審査→決済・引き渡しとなる。購入申込書は「この物件を買いたい」という意思を形にする最初の一歩であり、記載内容に不備がないよう丁寧に作成してほしい。

仲介会社にとっては、購入申込書の受付・管理の質がそのまま成約率と顧客満足度に直結する。物件提案から購入申込・成約までの一連のプロセスを効率化するには、顧客管理ツールの活用も検討する価値がある。

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