レントロールとは?【テンプレート付】項目やチェックポイントを解説
レントロールとは、収益物件の賃貸条件や入居状況を一覧にまとめた資料です。物件の収益性やリスクを見極める際に欠かせないものですが、数字の裏側を正しく読み解けなければ、高値圏での購入や購入直後の空室増加を招くおそれがあります。
この記事では、レントロールの基本項目から、購入時・売却時それぞれのチェックポイント、さらにレントロールだけではわからない注意点まで解説します。テンプレートも用意しましたので、ぜひ実務にお役立てください。
レントロールとは?
レントロールとは、収益物件に入居しているテナントの賃料、入居状況、契約条件などを一覧にまとめた資料です。一棟マンションやアパート、テナントビルなどにおいて、複数の借主がいる物件で作成されます。
収益物件の売買や融資、物件管理の場面で、購入希望者が収益状況を確認するために用いられ、投資判断の基礎となります。
英単語の「rent roll」に由来し、rent(賃借料)とroll(目録)を組み合わせた言葉です。「賃貸条件一覧表」や「家賃明細表」と呼ばれることもあります。
戸建て賃貸や区分ワンルームマンションのように借主が1人だけの場合は、賃貸借契約書を確認すれば足りるため、レントロールが不要なケースもあります。一方、借主が複数になると、契約書を個別に照合するだけでは全体像を把握しにくいでしょう。
そのため、投資判断に必要な情報を抽出し、一覧化した資料としてレントロールが活用されます。
レントロールの役割
レントロールには、主に以下の3つの役割があります。
| 役割 | 内容 |
| 収益性の把握 | 現在の賃料収入と稼働状況から、収益の見込みを確認する |
| リスクの発見 | 空室の有無、賃料のばらつき、契約満了時期の集中などから注意点を洗い出す |
| 融資審査の資料 | 金融機関が融資審査で、賃料収入や入居状況など物件の収益性を確認するために提出を求めることがある |
レントロールだけでは「よい物件」と判断できません。ただし、空室や賃料水準、契約満了の偏りなどの論点を早い段階で整理できるため、購入検討の優先順位づけに役立ちます。
レントロールは誰が作成するのか
レントロールは、原則として売主側が用意するものです。売主本人が作成するほか、賃貸管理を委託している管理会社が情報を取りまとめるケースもあります。管理会社は不動産会社が兼ねている場合もあれば、管理専門会社やグループ会社が担う場合もあるでしょう。
なお、レントロールに法令で定められた書式や必須フォーマットはありません。作成者によって記載項目や形式が異なるため、内容を鵜呑みにせず、抜けや不明点は売主や管理会社に確認しましょう。
また、売却側なら開示依頼に備えて、買主側なら内容の妥当性を見極めるべく、それぞれ最低限の記載項目と作成手順(どの資料・台帳から何を転記するか)を把握しておくと安心です。
レントロールに記載する項目・内容
レントロールの記載項目に抜けがあったり、内容が正確でなかったりすると、投資判断や融資審査に影響します。
ここでは、売主や不動産管理会社が作成時に押さえるべき代表的な記載項目と確認ポイントを整理します。購入を検討している方は、チェックの観点として活用してください。
物件情報(物件名・所在地)
物件を特定するための基本情報で、レントロールのヘッダーに入れる運用が一般的です。物件名と所在地は正式表記で統一し、登記簿や販売図面との不整合がないか必ずチェックしましょう。
管理物件が複数ある場合は、物件コードを併記すると識別性が高まります。
部屋番号・区画番号
部屋番号・区画番号は、各賃貸区画を識別する番号です。管理台帳と同一のルールで記載し、欠番や重複がないか確認しましょう。
ゲン担ぎで4号室を欠番にしている物件もあり、号室番号だけで総部屋数を算出すると実際と異なる場合があります。駐車場区画や店舗区画も漏れなく含めてください。
用途
用途は、住居・事務所・店舗など、テナントの使用目的を示す項目です。用途によって賃料水準や契約条件が変わるため、収益の内訳を把握するうえで欠かせません。
また、建築基準法上の用途制限に抵触していないかを確認する際にも役立ちます。
賃貸マンションの各部屋が事務所・店舗として利用されている場合、家賃は消費税の課税対象となります。契約が税込(内税)か税抜(外税)かもあわせて確認しましょう。
面積・間取り
専有面積と間取りは、賃料水準の妥当性や競争力を判断する情報です。図面や賃貸借契約書の数値と一致しているか照合しましょう。
面積の表記は㎡と坪が混在するケースもあり、単位をそろえて比較するのが望ましいです。
- 1㎡=0.3025坪
- 1坪=3.3058㎡
増改築や間取り変更を行っている場合は、レントロールが最新の内容に更新されているかも確認してください。
賃借人情報(氏名・法人名)
賃借人(契約者)を特定するための項目です。個人契約か法人契約かの区分も明記します。表記揺れを防ぐため、契約書と同一の名義で記載されているか確認しましょう。
個人情報保護の観点から、開示範囲には十分な配慮が必要です。
賃料
月額賃料は、税込(内税)か税抜(外税)かを明記し、収益計算の前提をそろえます。前述の通り、事務所・店舗など住居以外の用途で貸し付ける賃料は、原則として消費税の課税対象です。一方、住宅としての貸付けは一定の場合を除き非課税となるため、用途とあわせて税区分も確認しましょう。
フリーレント期間中の場合は注記し、減額交渉中や滞納の有無もあわせて把握しておきます。
同じ間取り・同じ階数の部屋で賃料に大きな差がある場合は、差が生じている理由を売主や管理会社に確認してください。
共益費・管理費
事務所や店舗等では、共益費・管理費は賃料と分けて記載し、月額の総収入と内訳がわかるようにします。課税・非課税の区分を整理しておくと、会計処理の誤りを防げます。免除や減額の特約がある場合は、備考欄にて記載と補足が必要です。
なお、住宅用途では、共益費や管理費を別途請求しないケースもあります。
敷金・保証金
敷金・保証金は、オーナーが入居者やテナントから事前に受け取る預り金です。賃料滞納時の補填や退去時の原状回復費用に充てられ、問題なく退去した場合は原則として返還義務が生じます。
敷金は、物件の所有者が変わると返還義務も買主に引き継がれるものです。そのためレントロールを確認すれば、購入後に返還が必要となる敷金の総額を把握できます。
あわせて、敷金が賃料の何か月分に相当するかも確認しておきましょう。月数がわかれば、万一賃料の未払いが起きた場合に、敷金で何か月分まで補填できるかの目安になります。
契約開始日・更新日
契約開始日は、現入居者・テナントとの賃貸借契約が始まった日です。レントロールによっては「当初契約開始日」と「現行契約開始日(更新後)」を分けて記載する場合もあります。
また、契約期間の満了日(次回更新のタイミング)が併記されることもあります。定期借家は更新がなく期間満了で終了する契約のため、満了日の扱いは特に重要です。
普通借家か定期借家か、更新条件(自動更新の有無など)は、レントロールに契約種類や特約の記載がある場合に確認できます。記載がない場合は、契約書などで把握しましょう。
満了・更新の時期が特定の月に偏っていると、退去や再募集の対応が同時期に集中します。更新時期の分散状況も確認しましょう。
現況(入居中・空室)
現況は、賃貸の稼働状況を示す項目です。「入居中」「空室」「入居予定(〇月〇日)」「退去予定(〇月〇日)」などを記載し、内容は随時更新しなければなりません。
また、「原状回復中」「募集停止」なども区別して管理すると、状況を正確に把握できます。
空室が多い場合は、想定通りの賃料収入を得られない可能性があります。仲介業者へのヒアリングなどで、当該エリアの賃貸需要も確認しましょう。
備考(特約・条件等)
備考は、フリーレント、賃料減額、用途制限、ペット飼育の可否など、個別の特記事項を記載する欄です。口頭での合意事項は記載漏れが起きやすいため、トラブル防止やリスク開示の観点からも、明記が望まれます。
購入を検討している方は備考欄を確認し、気になる点があれば売主や管理会社へ事前に確認しておきましょう。
レントロールのテンプレート
レントロールには法律で定められた統一書式がありません。ここでは、実務で使いやすい2種類のテンプレートを紹介します。自社の管理スタイルにあわせてカスタマイズしてお使いください。
戸建て用テンプレート
戸建て賃貸は借主が1名のケースが多いため、項目を縦に並べるレイアウトが見やすいです。
アパート・マンション用テンプレート

一棟物件では部屋ごとの比較が求められるため、横一列で並べる表形式が適しています。ExcelやGoogleスプレッドシートで管理すれば、賃料合計・稼働率の自動計算も可能です。
テンプレートを活用する際のコツは、物件の特性にあわせて項目を増減させる点にあります。例えば、テナントビルであれば「用途」「坪単価」の列を追加し、駐車場付き物件であれば「駐車場収入」の列を設けると、実態に即した管理が可能です。
また、レントロールの作成日を必ず記録し、常に最新の状態を維持するよう心がけましょう。売却を検討しているオーナーは、買主が求めるであろう情報を先回りで記載しておくことで、スムーズな取引につながります。
国土交通省では、無料でダウンロードできるレントロールのひな型を配布しています。中小ビルオーナー用ですので、必要に応じて項目を調整してご活用ください。
出典:国土交通省「レントロール様式」
レントロールでチェックしたいポイント【購入編】
レントロールは、収益不動産の実態を把握するための重要資料です。表面利回りだけでは見えないリスクや収益の持続性を読み取る必要があります。
ここでは、物件購入を検討する際に必ず確認すべきポイントを整理します。
- 稼働率・入居率
- 賃料相場との乖離
- 長期空室・高空室率
- 入居者属性の偏向性
- 契約形態(普通借家・定期借家)
- 契約開始日・更新日・満了日
- フリーレント・賃料減額
稼働率・入居率
満室想定の利回りだけで投資判断をするのは危険です。レントロールの「現況」欄から入居状況を把握し、収益の安定度を評価しましょう。
確認したいのは、「現在の満室が一時的なものか、安定的に稼働している状態か」です。契約開始日が特定の時期に集中している場合は、直近で埋めた可能性もあるため、背景を確認してください。
レントロールは基本的に現時点の一覧のため、可能であれば過去1〜2年の稼働率(または入退去履歴)の提示を売主に求めましょう。低稼働が続いている場合は、立地だけでなく、賃料設定・設備・募集条件・管理体制なども含めて原因を切り分ける必要があります。
稼働率の目安は物件条件で変わります。全国データでは入居率が90%台前半〜後半で推移する例が多いです。90%を下回る状態が続く場合は要注意として、賃料設定や募集力、管理体制など原因を精査しましょう。
参照:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会日管協総合研究所「第28回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』 2023年4月~2024年3月」
賃料相場との乖離
レントロール上の賃料は、周辺相場と照合して妥当性を確認しましょう。
| 賃料 | 特徴 |
| 相場より高い | 退去後の再募集で賃料が下がり、収入が減る可能性がある |
| 相場より低い | 賃上げ余地がある反面、物件や募集条件に課題を抱えている可能性がある |
相場を比べるときは、ポータルサイトの「募集賃料」ではなく、実際に契約が成立した「成約賃料」を基準にしてください。募集賃料はオーナーの希望が上乗せされることが多く、実際に決まる家賃より高めに設定されるケースがあります。
また、同じ間取りの部屋で新しい入居者ほど賃料が下がっている場合は、賃料下落が進んでいるかもしれません。将来の再募集を想定した賃料で利回りを再計算し、それでも収支が成り立つか確認しましょう。
長期空室・高空室率
空室が複数ある物件では、空室の「継続期間」に注目します。
| 空室の継続期間 | 特徴 |
| 3か月以内 | 退去後の原状回復や繁忙期待ちで説明がつく場合がある |
| 6か月以上 | 設備の老朽化、間取りの需要不一致、立地の弱さなど構造的な問題の可能性がある |
長期空室がある場合は、これまでに実施した空室対策(家賃の見直し、設備追加、広告費の増額など)も確認してください。対策を打っても埋まらない状態であれば、購入後も同じ状況が続くリスクがあります。
あわせて、空室になっている区画の傾向も見ておきましょう。1階や北向きの部屋に空室が偏っている場合は、日当たりや防犯面が敬遠されているかもしれません。反対に条件のよい部屋が空いている場合は、賃料設定や募集方法に見直し余地があります。
空室の原因を「物件の構造に起因するもの」と「運用で改善できるもの」に分けて整理すると、購入後の改善策を検討しやすくなるでしょう。
入居者属性の偏り
入居者の属性が偏っている物件は、退去が同時期に重なるリスクを抱えます。
例えば、同じ法人が複数の部屋を社宅として借り上げているケースです。法人契約は滞納リスクが低く、入居期間が長い傾向にあります。一方で、その法人が契約を終了すると空室が一気に増える可能性があるのです。賃料の見直し交渉がまとまって入る場合もあるため、法人名を含めて確認しましょう。
学生や単身者ばかりの物件は入退去サイクルが短く、原状回復コストがかさみやすい点も考慮が必要です。
契約形態(普通借家・定期借家)
普通借家契約と定期借家契約では、オーナー側の運用自由度が異なります。
| 空室の継続期間 | 特徴 |
| 普通借家 | 更新が前提となるため収入の見通しは立てやすい一方、原則として正当事由がなければ更新を拒めない |
| 定期借家 | 期間満了で契約終了となるため、賃料改定や建て替え計画を立てやすい |
両方が混在する物件では、契約管理や更新対応が複雑になりがちです。将来の売却や建て替えまで見据えるなら、定期借家の割合も確認しておきましょう。
契約開始日・更新日・満了日
契約開始日が特定の時期に集中していないかを確認してください。3月〜4月の引越しシーズン以外で入居時期が不自然に集中している場合は、募集状況や入居経緯を含めて背景の確認が必要です。
売却にあわせて短期入居が増えると、見かけ上の稼働率が高く見えることがあります。入居日が直近数か月に集中している場合は、周辺の仲介店舗にヒアリングし、当該物件に十分な賃貸需要があるか確認してください。
更新日や満了日が同じ時期に偏っていると、退去や賃料改定の対応が一度に重なる可能性があります。時期の分散状況を把握し、収支シミュレーションに反映しましょう。
フリーレント・賃料減額
フリーレントが設定されている部屋は、レントロール上の賃料がそのまま実際の収入になりません。フリーレント期間を加味した「実効賃料」で利回りを計算しましょう。
例えば、月額10万円で2か月フリーレントの場合、年間収入は10万円×10か月=100万円となり、満額の120万円とは差が生じます。実効賃料を基準に、収益性を評価することが大切です。
賃料減額の履歴がある場合は、市況の変化や物件の競争力低下が背景にあるかもしれません。キャンペーンによる一時的な措置なのか、相場にあわせた見直しなのかを切り分け、将来の収益見通しを立てましょう。
特定の入居者だけが減額されている場合は、理由を確認し、同様の減額要求が他の入居者に広がるリスクがないかも検討すべきです。
レントロールでチェックしたいポイント【売却編】
レントロールは、売却時に買主が重視する収益判断資料です。数値の信頼性と整合性によって、売却価格や交渉の進めやすさ、成約までのスピードが変わります。
購入編では「リスクを見抜く視点」を中心に扱いました。一方、売却編で求められるのは「買主に信頼される資料を整える視点」です。レントロールを正確に整備しておけば、買主の不安を減らし、条件交渉を優位に進められます。
ここでは、売却前に確認しておきたいチェック項目を整理します。
- 賃料設定と市場相場の整合性
- 稼働率・空室状況の安定性
- 契約条件・特約の整理
賃料設定と市場相場の整合性
賃料が相場とかけ離れていると、買主に賃料下落リスクを懸念され、価格交渉で不利になる可能性があります。売却前に周辺の成約賃料と照合し、差がある場合は理由を説明できる材料を用意しておきましょう。
相場より低い賃料で入居している部屋がある場合は、賃上げ余地として示すこともできます。ただし、将来の賃上げを保証するものではないため、見込みとして扱うのが適切です。
稼働率・空室状況の安定性
買主が確認するのは「今、満室かどうか」だけではありません。継続して高い稼働を維持できるかまで含めて評価します。
空室がある場合は、空室の理由と、実施している入居促進策を説明できるよう整理しておくとやりとりがスムーズです。
契約条件・特約の整理
フリーレントや賃料減額の特約は、実際の収益に直結します。口頭で合意しただけの条件がある場合は書面に残し、備考欄に反映しておきましょう。
条件が曖昧なままだと、買主が購入前に内容を確認する際にやり取りが長引いたり、認識違いからトラブルになったりするおそれがあります。
レントロールに記載されない項目
レントロールは収益状況を一覧で確認できる便利な資料ですが、すべての情報が記載されるわけではありません。表面上の数値だけで判断すると、購入後に想定外のコストやリスクが発覚する可能性があります。
ここでは、見落としやすい「記載されない代表的な項目」を紹介します。
滞納・未収金の有無
レントロールの「入居中」表記は、賃料が正常に支払われていることを保証するものではありません。滞納が発生していても、レントロールには入居中と記載されるケースが大半です。
保証会社に加入している入居者であれば賃料の立替払いを受けられますが、未加入の入居者が滞納している場合はオーナーの持ち出しになります。支払状況は管理会社の滞納履歴や収支明細書で別途確認が必要です。
敷地外駐車場の契約
元オーナーが物件の敷地外に駐車場を借り、入居者に転貸しているケースがあります。この契約はレントロールに反映されないことも多いため、オーナーチェンジ後に契約が承継されるか確認が必要です。
駐車場収入を収益に含める場合は、以下をチェックします。
- 契約名義の切り替えが可能か
- 転貸が契約上認められているか
- 期間・更新・解約条件
承継できない場合の取り扱い(収益から除外する、価格調整する等)も売買条件に反映しましょう。
建物の修繕履歴・劣化状況
外壁塗装や屋上防水工事、給排水管の更新などの修繕履歴は、レントロールに記載されないことが一般的です。購入後に大規模修繕が必要になると、キャッシュフローが悪化する要因になります。
そのため、長期修繕計画書や点検報告書を入手し、想定される将来支出を見積もっておきましょう。
設備の故障歴・交換履歴
エアコン、給湯器、エレベーターなどの主要設備について、故障履歴や交換時期はレントロールからは把握できません。別途、修理記録や交換履歴を確認しましょう。
特にエレベーターは保守・修繕費が高額になりやすいため、保守契約の内容に加え、点検・メンテナンスの履歴も確認しておくと安心です。
近隣トラブル・騒音問題
騒音クレームや近隣住民とのトラブルは、稼働率や退去率に影響する潜在リスクです。管理会社にヒアリングし、可能であればクレーム対応の履歴も確認しましょう。
過去にトラブルが頻発していた物件は、仮に現在の稼働率が高くても、将来的に退去が増えるおそれがあります。現地を訪問し、共用部の清掃状態やゴミ置き場の管理、掲示板の注意喚起などから管理の質を推測できます。
入居者の属性詳細・信用情報
職業や収入、与信評価などの詳細情報はレントロールには記載されません。賃料の支払能力や長期入居の見込みを判断するためには、管理会社を通じて守秘義務の範囲内で確認する必要があります。
売主の資金事情・売却理由
なぜ売却するのかという動機は、レントロールからは読み取れません。しかし、売却理由は価格交渉や条件の柔軟性に直結する情報です。
急いで資金化したい場合は価格を下げてでも早期成約を優先する可能性があるため、仲介会社経由でヒアリングしてください。
レントロールからは把握できないこと
レントロールは賃貸条件を一覧で確認できる資料ですが、投資判断やリスク評価に必要な情報がすべて含まれているわけではありません。
ここでは、レントロールだけでは把握できない項目を補足します。
空室の退去時期
レントロールに「空室」と記載されていても、いつ退去が発生したのかまでは通常記載されません。1か月前の退去か1年前の退去かで、物件の評価は大きく変わります。
解約通知書や募集開始日を確認し、空室の継続期間を把握しましょう。
支出の内訳・支出額
レントロールは収入側の情報に特化した資料です。管理費、修繕積立金、広告費、固定資産税などの支出はカバーされません。
表面利回りだけでは見えない実質利回りを正しく把握するには、別途収支明細書や過去の運用実績を精査する必要があります。
入居者の生活態度・トラブル歴
騒音、ゴミ出しマナー、ペットの無断飼育、近隣トラブルなどの履歴は、レントロールでは確認できません。管理会社へヒアリングし、クレーム対応の履歴を確認しましょう。
トラブルが常態化している物件は、他の入居者の退去を招くリスクがあります。
建物・設備の物理的な劣化状況
築年数だけでは建物の状態は判断できません。躯体や設備の劣化状況は、現地調査と建物調査報告書(インスペクション)などで把握しましょう。
将来の修繕や更新に大きな費用が見込まれる場合は、キャッシュフローを圧迫する要因になります。
周辺環境の変化
再開発計画、競合物件の増加、人口動態の変動など、賃料水準や空室率に影響する中長期的な要因はレントロールに含まれません。自治体の都市計画情報やマーケットレポートを参照し、将来の環境変化を織り込んだうえで判断しましょう。
レントロールとあわせて活用したい不動産ツール
レントロールは投資判断の土台となる資料です。一方で、関連資料が散らばると比較検討や社内共有に手間がかかり、見落としも起きやすくなります。物件情報の整理や顧客への提案を効率化できるツールを併用すると、判断の精度とスピードを両立できるでしょう。
不動産業務に特化したコミュニケーションクラウド「Facilo(ファシロ)」は、物件情報・顧客情報を一元管理し、提案業務を支援するツールです。
Faciloの「お客様マイページ」では、レントロールを含む資料をまとめて共有でき、顧客の比較検討や進捗管理をオンライン上で進められます。
買主側にとっては、複数物件のレントロールや関連資料を一か所で管理でき、比較の手間を減らせる点がメリットです。
また、売主側(仲介会社)も情報の提示を一本化できるため、説明の抜け漏れを防ぎやすくなります。物件の強みや収益性を根拠とともに提示できる環境を整えれば、買主からの信頼も得やすくなるでしょう。
詳しくは、Faciloのサービス資料で機能をご確認ください。
⇒Faciloのサービス資料をダウンロードはこちら
不動産ツール導入の成功事例
ここでは、不動産ツール「Facilo」を導入して顧客満足度や成約率を向上させた企業事例を2社紹介します。
ウスイホーム株式会社
湘南エリアを中心に16店舗を展開するウスイホーム株式会社は、顧客と物件の希望条件をすりあわせる工程に時間と手間がかかり、再案内率の低さが課題でした。
Facilo導入後は、初回接点から案内までの間に、マイページ上で顧客自身が物件を精査できる仕組みを構築しています。顧客は、気になる物件をお気に入りに登録し、興味のない物件は除外できます。
担当者側も類似物件を追加して選択肢を広げ、「次回までに物件を追加するので確認してください」と伝えることで、顧客がFacilo上で比較検討を進めやすい状態を整えました。
その結果、案内する物件の精度が上がり、初回案内の時点で「あと1〜2件見れば成約に近づけそうだ」という手応えを持てるようになりました。
再案内率は、従来の11%から約20%へ改善。顧客から「もう他の不動産屋さんに行く必要ないよね」といわれるほど、物件購入の相談窓口としての信頼にもつながっています。
参照:Facilo導入事例「ウスイホーム株式会社」
株式会社永大ハウス工業
永大ハウス工業では、繁忙期に営業1人が100名以上の顧客を担当することもあり、アナログな提案や追客に限界を感じていました。紙の資料管理や頻繁な電話連絡に時間を取られ、提案の質を高める余裕がなかったのです。
Facilo導入後は、顧客ログで検討状況を可視化できるようになり、優先度の高い顧客を根拠を持って判断できるようになりました。紙での物件提案からマイページでの情報共有に移行したことで、追客の抜け漏れが減り、商談回数の削減につながっています。
通常3〜4回かかっていた商談が1回で成約したケースも生まれ、商談効率は最大4倍に向上。5アカウントからの導入とスモールスタートでしたが、1か月で手応えを得て全12店舗へ展開しています。
参照:Facilo導入事例「株式会社永大ハウス工業」
その他、Faciloの導入事例はこちらからご覧いただけます。
レントロールに関するよくある質問
ここでは、レントロールに関するよくある質問を紹介します。
- Q1. レントロールには何が記載されていますか?
- Q2. レントロールの目的は何ですか?
- Q3. 物件購入時に必ずレントロールを見られますか?
- Q4. レントロールはExcelで作成できますか?
Q1. レントロールには何が記載されていますか?
以下の内容が、一般的な記載項目です。
- 物件情報
- 部屋番号・区画番号
- 用途
- 面積・間取り
- 賃借人情報
- 賃料
- 共益費・管理費
- 敷金・保証金
- 契約開始日・更新日
- 現況
- 備考
ただし、法定の書式はなく、作成者によって記載項目が異なるため、不足している情報は売主や管理会社に別途確認してください。
Q2. レントロールの目的は何ですか?
収益物件の賃貸条件を一覧で把握し、物件の収益性やリスクを判断するために使われます。
購入検討者にとっては投資判断の基礎資料であり、金融機関にとっては融資審査の参考資料です。売主にとっては、物件の収益力を買主に示すための営業ツールとしても機能します。
Q3. 物件購入時に必ずレントロールを見られますか?
レントロールの提示は法的に義務付けられているわけではありません。ただし、一棟マンションやアパート、テナントビルなど、複数の借主がいる収益物件では、売主側がレントロールを用意するケースが一般的です。
提示を求めても出てこない場合は、収益状況や契約内容を十分に確認できません。別資料で補完できるか、なぜ提示できないのかを確認したうえで、購入判断は慎重に行いましょう。
Q4.レントロールはExcelで作成できますか?
ExcelやGoogleスプレッドシートで作成できます。法定の書式が存在しないため、物件の収益性を判断できる項目(賃料・共益費、現況、契約期間、預り金など)をカバーしていれば自作のフォーマットで問題ありません。
本記事で紹介したテンプレートをベースに、自社の管理ルールにあわせて項目を追加・削除しながら運用してください。賃料合計や稼働率を自動計算する数式を組み込めば、更新のたびに手計算する手間も省けます。
まとめ|レントロールを活用して取引の精度を高めよう
レントロールは、収益物件の各部屋/各区画の賃貸条件を一覧にした表です。賃料・稼働率・契約条件などの数値の背景まで読み解けば、表面利回りだけでは見えないリスクや、収益改善の余地を把握できます。
購入時は、稼働状況、賃料相場との乖離、入居時期の偏りなど複数の視点でレントロールを分析しましょう。売却時は、数値の整合性と根拠資料をそろえ、買主が安心して判断できる状態に整えることが、交渉の円滑化や成約スピードの向上につながります。
物件資料の整理や買主・売主への提案が煩雑になりがちな場合は、不動産業に特化したコミュニケーションクラウド「Facilo(ファシロ)」の活用も検討してはいかがでしょうか。
Faciloでは、顧客ごとのマイページにレントロールや関連資料、報告書を集約し、比較検討の進捗を共有できます。紙の報告やメール送付の手間を減らし、顧客がいつでも確認できる安心を提供します。
収益物件の取引を効率化し、成約までのやり取りをスムーズにしたい方は、Faciloのサービス資料をご確認ください。
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