不動産「仲介会社」と「管理会社」の違いとは?仕事内容や報酬を解説
不動産業界への参入や独立を検討する際、「仲介」と「管理」のどちらを軸にすべきか迷う方は多いものです。両者は収益モデルや業務内容、求められるスキルが大きく異なります。
また、両者を兼業する「仲介管理会社」もあり、それぞれのメリットを活かした事業展開も可能です。
この記事では、不動産仲介会社と管理会社の違い、それぞれの仕事内容や報酬体系、事業として選ぶ際のポイントを解説します。自身の適性や目指す事業規模に合わせて、最適なビジネスモデルを見極める参考にしてください。
不動産仲介と管理の違い
不動産業界には大きく分けて「仲介」と「管理」2つのビジネスモデルが存在します。
仲介業は「売買」や「賃貸」の契約を成立させることで手数料を得るフロー型のビジネスです。一方、管理業は契約後の物件の維持・運営を行い、継続的な管理料を得るストック型のビジネスです。
まずは、売買仲介・賃貸仲介・管理会社の3つの形態について、主な違いを整理してみましょう。
区分 | 不動産売買仲介 | 不動産賃貸仲介 | 不動産管理会社 |
| 主な業務内容 | 売主と買主の間に立ち、不動産の売買契約を成立させる。取引対象は戸建て・マンション・土地・事業用不動産など。 | 貸主(オーナー)と借主(入居希望者)の間を仲介し、賃貸契約を成立させる。 | 賃貸契約後の運営・保守・入居者対応をオーナーに代わって行う。家賃回収・設備点検・退去精算などを担当。 |
| 収益モデル | 物件価格×3%+6万円+消費税(上限) | 家賃1か月分+消費税(上限) | 家賃の一定割合(例:5%)や定額管理料(月額制) |
| 特徴・ポイント | 高額取引が多く、専門知識・調査力・交渉力が求められる。1件あたりの報酬単価が高い。 | 取扱件数が多く、スピードと接客力が重要。1件あたりの利益は小さいが積み上げ型。 | 契約後も継続的に収益が発生するストック型ビジネス。安定収入を確保しやすい。 |
不動産売買仲介会社
売買仲介会社は、不動産を「売りたい人」と「買いたい人」をつなぎ、売買契約を成立させる役割です。取り扱う物件は、戸建て住宅、マンション、土地、投資用不動産など多岐にわたります。
報酬である仲介手数料は「物件価格×3%+6万円+消費税」と上限が定められており、取引金額が大きいため1件あたりの収益性の高さが特徴です。その分、物件の調査や契約書類の作成、価格交渉など、高度な専門知識と重い責任が伴います。
成約に至らなければ報酬が発生しない完全成功報酬型であるため、高い営業力が求められるでしょう。
売買における不動産仲介の仕事内容や報酬について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
⇒不動産の仲介とは?仕組み・流れ・費用・契約の種類を解説
不動産賃貸仲介会社
賃貸仲介会社は、物件を「貸したいオーナー」と「借りたい入居希望者」の間に入り、賃貸借契約をサポートします。アパートやマンション、店舗、事務所などが主な対象です。
仲介手数料の上限は「家賃の1か月分+消費税」で、売買仲介と比べると単価は低めになります。どれだけ多くの契約を成立させられるか、つまり「件数」が大きなポイントになるでしょう。
入居希望者のニーズを汲み取るヒアリング能力や、スピーディーな物件案内、丁寧な接客が求められます。特に1〜3月の繁忙期には多数の顧客対応が必要となるため、効率的な業務フローの構築が欠かせません。
不動産賃貸仲介の業務内容や収入、成果を出す方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご確認ください。
⇒不動産賃貸仲介とは?業務・メリット・効率化ツールを解説
不動産管理会社
不動産管理会社は、賃貸借契約が締結された後の「物件の維持・運営」をオーナーに代わって行います。入居者からの家賃回収やクレーム対応、設備の故障時の手配、退去時の精算業務などが主な仕事です。
報酬は、毎月の家賃収入の一定割合(一般的に5%程度)や定額の管理料として受け取ります。毎月決まった収入が入る「ストック型ビジネス」であるため、経営の安定が最大のメリットです。
オーナーの大事な資産を守り、入居者の満足度を維持することで、長期的な契約継続を目指します。
不動産売買仲介会社の仕事内容と報酬
売買仲介の仕事は、単に物件を紹介するだけではありません。売却相談から始まり、物件の査定、販売活動、購入希望者との交渉、そして契約・引渡しまで、取引の全工程をサポートします。
高額な不動産取引を安全かつ円滑に進めるための専門的なサポートが求められます。
主な業務内容は以下のとおりです。
- 物件査定:近隣の相場や物件の状態を調査し適正価格を提示
- 広告・集客活動:ポータルサイト掲載、チラシ、顧客紹介など
- 内見対応・交渉:購入検討者への案内、申込み時の価格や条件調整
- 契約書作成:売買契約書・重要事項説明書の作成と説明
- 決済立会い:代金授受と引渡しのサポート
売買仲介は完全な成果報酬制で、契約が成立して初めて仲介手数料が発生します。手数料の上限は「物件価格×3%+6万円+消費税」。
例えば、3,000万円の物件なら、上限は税込みで約106万円です。1件で大きな収入を得られる一方、成約しなければ報酬は一切ないシビアな面もあります。
不動産賃貸仲介会社の仕事内容と報酬
賃貸仲介は、入居希望者のニーズを汲み取り、最適な物件の提案から始まります。ポータルサイトなどを見て問い合わせたお客様に対し、実際に物件を案内し、気に入ってもらえれば契約手続きのスタートです。
入居後の生活をスムーズに始められるようサポートするのも大事な役割といえるでしょう。
主な業務内容は以下のとおりです。
- 物件情報の収集・広告掲載:空室データの取得、写真・図面付きでサイトに掲載
- 問い合わせ・来店対応:メール・電話対応、来店誘導
- 内見案内・条件交渉:現地案内、設備説明、家賃や入居日の調整
- 契約手続き:入居審査の手配、重要事項説明、契約書締結、鍵の引渡し
- アフターサポート:入居後のトラブルフォロー
賃貸仲介の収入源は、仲介手数料(上限は家賃1か月分+消費税)が中心です。物件によってはオーナーから「広告料(AD)」を受け取れる場合もあります。さらに、更新時の「更新料」の一部や、火災保険・引越しサービスの紹介料などの付帯収入も見込めるでしょう。
1件あたりの単価は高くありませんが、需要が安定しており、リピーターや紹介を獲得できるビジネスです。
不動産管理会社の仕事内容と報酬
管理会社の役割は、オーナーの賃貸経営を代行し、収益の最大化と資産価値の維持をサポートすることです。入居者とオーナーの双方に対応するため、調整能力やトラブル対応力が問われます。
主な業務には、以下のようなものがあります。
- 家賃の集金・送金:毎月の家賃を集金し、オーナーへ送金
- 滞納時の督促:滞納発生時の連絡・支払い交渉
- 建物管理:清掃、電球交換、消防点検、リフォームなどの手配
- 入居者対応:設備トラブルや騒音クレームの処理
- 契約更新と退去管理:更新手続き、退去立会い、原状回復工事の手配、敷金精算
報酬の柱は月額の「管理委託料」です。加えて、更新時の「更新事務手数料」や、修繕工事・リフォームの手配による利益も収益源となります。管理戸数が増えるほど収益が積み上がるため、いかにオーナーから信頼され、管理を任せてもらえるかが事業成長の鍵となるでしょう。
管理する物件の種類
不動産管理会社が取り扱う物件には、さまざまな種類があります。物件タイプによって管理のポイントや法規制、求められるノウハウが異なるため、自社の強みや地域の特性に合わせた取扱物件の選定が欠かせません。
ここでは代表的な4つの物件タイプを解説します。
- 分譲マンション
- 賃貸マンション・アパート
- 戸建て
- 民泊
分譲マンション
分譲マンションの管理では、建物全体の「共用部分」を中心に業務を行います。区分所有者で構成される「管理組合」から委託を受け、エントランス・廊下・エレベーターなどの清掃や点検、修繕を手配する役割です。
さらに、理事会や総会の運営サポート、管理規約の見直し、会計処理も担当するため、調整力と事務能力が欠かせません。また、「マンション管理適正化法」などの法律に沿った適切な管理が求められます。
賃貸マンション・アパート
賃貸マンションやアパートの管理は、物件のオーナー(個人または法人)から委託を受けるものです。建物管理だけでなく、入居者の募集から契約、家賃回収、退去対応まで、賃貸経営全般をサポートします。
空室対策やリノベーション提案など、オーナーの収益を向上させるコンサルティング能力も重要です。一棟丸ごとの管理となるため、大規模修繕の提案なども行います。
一戸建て
転勤などの理由で一時的に空き家となる戸建てや、投資用の戸建て賃貸物件を管理します。
マンションと異なり、庭木の剪定や敷地内の清掃など、戸建て特有のメンテナンスが必要です。また、近隣住民との関係構築や、町内会への対応なども管理会社が窓口となる場合があります。
近年では、定期巡回サービスのみを提供する「空き家管理」の需要も高まっています。
民泊
観光客などを対象とした民泊物件の管理も増えています。宿泊予約の管理、ゲストへの鍵の受け渡し、清掃手配、多言語での対応など、一般的な賃貸管理とは異なるオペレーションが必要です。
住宅宿泊事業法(民泊新法)や旅館業法などの法規制を遵守し、近隣トラブルを防ぐ厳格なルール作りと運用が求められます。収益性は見込めますが、清掃や対応の頻度が高く、手間がかかる傾向にあるでしょう。
仲介と管理を行う仲介管理会社
「仲介管理会社」は、入居者の募集(仲介)と、その後の物件管理をワンストップで提供するハイブリッド型の不動産会社です。
代表的な業務は以下のとおりになります。
- 物件情報の収集・広告掲載:空室情報の取得、ポータルサイトへの掲載など
- 問い合わせ・来店対応:メール・電話対応、来店誘導
- 内見案内と条件交渉:現地案内、設備説明、家賃や入居条件の調整
- 契約手続き:入居審査、重要事項説明、契約書締結
- 家賃の集金:送金、滞納督促
- 建物管理:共用部の清掃、点検、修繕手配
- 入居者対応:設備トラブル、騒音などのクレーム処理
- 契約更新・退去管理:更新手続き、退去立会い、原状回復工事手配、敷金精算
- 空室対策:家賃設定の見直し、募集条件の調整、設備の改善、写真品質の向上など
- 広告戦略:ポータルサイト最適化、SNS運用、反響分析など
- 収益改善提案:リノベーション提案、防犯設備導入、サブリース活用など
仲介によるフロー収益と、管理によるストック収益の両方を得られるため、経営は安定します。
オーナー側も窓口が一本化されることで連絡がスムーズになり、責任範囲が明確になる点も利点です。さらに、仲介部門と管理部門が情報共有することで、退去予定を早期に把握できます。次の入居者募集をスムーズに開始できるなど、連携による相乗効果が生まれるでしょう。
地域密着型の不動産会社では一般的で、オーナーと長い信頼関係を築ける点も特徴です。
不動産仲介と管理に関するよくある質問
ここでは、不動産仲介と管理に関するよくある質問を3つ紹介します。
- Q1. 仲介会社と管理会社の違いは何ですか?
- Q2. 仲介会社と管理会社が同じ場合のメリット・デメリットはありますか?
- Q3. 賃貸不動産管理士の資格取得は難しいですか?
Q1. 仲介会社と管理会社の違いは何ですか?
主な違いは「収益モデル」と「関わる期間」です。仲介会社は契約成立時に手数料を受け取る単発型のビジネスで、契約までの期間が集中的な関わりとなります。
一方、管理会社は毎月の管理料を受け取る継続型のビジネスで、契約後から退去まで長期間にわたってオーナーや入居者と関わり続けます。
必要な免許も異なり、仲介業は「宅地建物取引業免許」、賃貸管理業は一定規模以上で「賃貸住宅管理業登録」が必要です。
Q2. 仲介会社と管理会社が同じ場合のメリット・デメリットはありますか?
メリットは、入居者募集から管理まで一貫して対応できるため、情報の伝達がスムーズで、空室期間の短縮が期待できる点です。オーナーや入居者との信頼関係も深まるでしょう。
デメリットとしては、業務範囲の拡大により、社内の体制整備や人材育成のコスト増加が挙げられます。また、繁忙期には仲介業務と管理業務のバランスを取るのが難しくなる場合もあるでしょう。
さらに、自社管理物件の入居付けを優先するあまり、他社の優良物件を十分に紹介しなくなるなど、提案内容に偏りが生じないよう注意が必要です。
Q3. 賃貸不動産管理士の資格取得は難しいですか?
「賃貸不動産経営管理士」は、賃貸管理の専門知識を証明する国家資格です。
宅地建物取引士と比較すると、これまでの合格率はおおむね20〜30%前後とやや高めで、取得は容易といわれてきました。しかし国家資格化に伴い、難易度は上昇傾向にあります。
管理業務を行ううえで必須ではありません(業務管理者として設置義務がある場合を除く)。ですが、オーナーからの信頼獲得や実務知識の習得において非常に有用な資格です。しっかり学習すれば、実務未経験者でも十分に合格を目指せます。
まとめ|仲介と管理の違いを理解し、効率的な事業運営を
不動産の仲介と管理は、役割も収益構造も大きく異なるビジネスです。仲介は営業力とスピードが求められるフロー型、管理は丁寧な対応と継続性が求められるストック型といえます。
新たに不動産事業を始める場合や事業拡大を検討する際は、自社の強み・人員・目指す方向性を考えましょう。それを踏まえ、仲介・管理のどちらに軸を置くか、または両立させるかの慎重な判断が欠かせません。
また、仲介・管理ともに業務効率化は避けて通れない課題です。顧客対応の質を落とさずに生産性を高めるためには、デジタルツールの活用も視野に入れるとよいでしょう。
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