不動産の飛び込み営業はどう進める?準備・切り出し方と注意点
営業ノウハウ

目次
不動産の飛び込み営業とは、事前の約束がない相手を訪ね、新しい接点をつくる営業方法です。所有者に売却相談を案内する場合もあれば、他の不動産会社や地域の事業者と情報交換する場合もあり、相手によって目的と進め方が変わります。
成果を考える前に押さえたいのは、身元と訪問目的を明らかにし、話を聞く意思がない相手には勧誘を続けないことです。訪問数だけを増やすのではなく、対象、準備、最初の説明、終了の判断、訪問後の記録を一つの流れとして設計します。
この記事では、不動産会社の営業担当者・管理者に向けて、訪問前の準備、場面別の会話例、トラブルを避けるための注意点を解説します。訪問を受けた方への案内は、後半のFAQに分けて掲載しています。
訪問後に相談が始まったら、誰が何を聞き、次にどう対応するかを共有する必要があります。FaciloのCRMは、顧客情報や接客履歴をチームで確認するための仕組みです。
不動産の飛び込み営業とは|対象によって目的が変わる
所有者への訪問と、事業者への訪問を分けて考える
同じ「飛び込み」でも、自宅を訪ねて所有者に売却相談を案内する場合と、不動産会社を訪ねて対応エリアや取り扱い物件を紹介する場合は異なります。前者では個人の生活時間、後者では相手の業務を妨げない配慮が必要です。
訪問する相手 | 目的の例 | 最初に伝えること | 次へ進む条件 |
|---|---|---|---|
個人の所有者など | 売却・購入等の相談の案内 | 会社名、氏名、具体的な勧誘目的 | 相手に説明を聞く意向がある |
他の不動産会社 | 取り扱い領域の紹介、物件情報・相談の受け渡し | 会社名、氏名、情報交換等の目的 | 業務を妨げず、担当者が応じる意向を持つ |
地域の事業者など | 店舗・事業所に関する相談窓口の案内、関係づくり | 会社名、氏名、今回案内する内容 | 相手の担当業務や関心と合っている |
訪問先が事業者であることだけを理由に、勧誘や個人情報のルールを考えなくてよいわけではありません。単なる会社紹介なのか、宅地建物取引の契約締結を勧める行為なのかは、実際の内容で確認します。
事前の約束がある訪問や、紹介後の面談とは違う
相手が面談を希望し、日時を約束している訪問では、相談内容に合わせた準備ができます。飛び込み営業では、そもそも相手が説明を聞く意向を持つか分かりません。約束済みの面談と同じ長さで説明を始めないようにします。
新しい接点をつくる方法は訪問だけではありません。源泉営業の方法と選び方では、電話や手紙、事業者との関係づくりも含めて整理しています。問い合わせ対応や物件提案まで含む仕事は、不動産営業の全体像をご覧ください。
個人の相談と事業者との情報交換が混ざると、誰のどの案件を引き継ぐのか分かりにくくなります。顧客との接客履歴を残す場所を、日々の記録方法と合わせて検討しましょう。
訪問前に決める対象・目的と、持ち物
対象を選ぶ理由と、届けられる情報を具体化する
「空いている時間に近くを回る」だけでは、相手に何を伝えたいのかが曖昧になりがちです。対象地域、自社が対応できる相談、訪問の目的を先に決めます。
売却相談を案内するなら、会社の対応エリア、相談の進め方、問い合わせ先を説明できるようにします。事業者との関係づくりなら、得意な物件、担当者、情報交換の窓口をまとめます。訪問のために、存在しない購入希望者や裏付けのない価格を持ち出してはいけません。
相手にとっての判断材料を準備し、その場で分からないことは確認後に回答する前提で訪問します。情報量を増やすことより、事実として説明できる範囲をそろえることが大切です。
身元が分かるものと、約束を残す道具を用意する
準備するもの | 用意する理由 | 注意点 |
|---|---|---|
従業者証明書 | 宅地建物取引業の業務に従事する際に携帯する | 取引の関係者から求められたときは提示する。名刺や宅地建物取引士証とは別のもの |
名刺・会社紹介 | 訪問者と連絡先を確かめてもらう | 名刺を渡すだけで目的の説明を済ませない |
目的に合う資料 | 相談内容と自社の対応範囲を伝える | 募集価格と成約価格を混ぜず、作成日・出典を確認する |
記録用の端末・メモ | 相手の意向と約束した内容を残す | 第三者に見えないよう管理し、不要な個人情報を集めない |
社内の連絡先 | 判断に迷った場合や危険時に相談する | 単独で無理に解決しない |
訪問・連絡の履歴 | 重複訪問や意向の見落としを防ぐ | 拒否の記録を、担当者が変わっても確認できるようにする |
宅地建物取引業法第48条では、宅地建物取引業者は従業者証明書を携帯させずに従業者を業務に従事させてはならず、従業者は取引の関係者から請求があれば提示する必要があると定めています。持参する身分証を名刺だけで済ませず、社内で発行・携帯の扱いを確認してください。宅地建物取引業法第48条
訪問してよい場所・状況かを確認する
過去に勧誘を断られていないか、訪問先が勧誘を断る掲示をしていないか、建物への立ち入りに管理上のルールがないかを確認します。オートロックを他人に続いて通過する、立ち入りを認められていない場所に入るなどの方法は採用しません。
担当者の安全も準備の一部です。訪問する地域や予定、終了時の連絡方法を社内で共有し、危険や強い不安を感じた場合には中断できるようにします。訪問件数を優先して、無理な移動や長時間の活動を求めないことも管理者の役割です。
訪問履歴や相談内容が個人の端末に散らばると、不在時や担当変更時に確認しにくくなります。顧客情報を会社で共有する仕組みも、準備段階で検討できます。
初回訪問の切り出し方|相手と場面別の会話例
以下は、説明の順序を考えるための編集部作成例です。そのまま読めば適法・安全になる定型文ではありません。実際の目的、会社の業務、相手の返答に合わせて使います。
所有者に、売却相談を案内する場合
まず、身元と勧誘目的を伝えます。「ご挨拶です」「地域のアンケートです」だけで始め、後から営業の話へ変える方法は避けます。
「○○不動産の△△です。当社への不動産売却のご相談・ご依頼についてご案内するために伺いました。いま、ご案内してもよろしいでしょうか」
相手が聞く意思を示した場合に限り、地域や相談内容との関係を短く説明します。自社がその地域を担当していることは説明できますが、相手に売却意向があるかどうかは本人に確認する事項です。
「当社はこの地域の売買仲介を行っています。売却時期や進め方など、ご相談があれば対応しています。現在、そのようなご相談のご予定はありますか」
相手が予定はないと答えた場合、無理に将来の不安を作って話を続けません。「必要になったら連絡先を知りたい」と希望された場合に、会社案内を渡すなど、相手が求める範囲で対応します。
不動産会社に、情報交換を申し出る場合
相手が接客中なら、受付で長く説明しないようにします。会社名と氏名、目的を伝え、応じられる担当者や都合のよい連絡方法を確認します。
「○○不動産の△△です。□□エリアの売買仲介を担当しています。当社の取り扱い領域をご紹介し、物件情報の交換についてお話しできればと思い伺いました。ご対応いただける方はいらっしゃいますか」
応じてもらえたら、得意な地域・物件、案件の連絡先、情報を受ける際に必要な項目を簡潔に伝えます。紹介される顧客の氏名や連絡先を求める前に、本人の意向と情報共有の条件を確認する運用を話しておくと、その後の誤解を防ぎやすくなります。
興味を示した相手とは、次にすることを一つ決める
説明を聞いてくれたことを、査定依頼や媒介契約の意思表示とみなさないようにします。相手が知りたいことを聞き、次の行動を具体的に確認します。
「売却の進め方を先に確認したい、ということですね。ご希望であれば資料をお送りします。送付先と、資料送付後に当社からご連絡してよいかを確認してもよろしいでしょうか」
資料送付、面談、査定など、相手が希望した内容を記録します。連絡する場合は、方法と時期も合意します。「資料は欲しいが、電話は不要」という希望を一括して「追客可能」としないことが大切です。
次の約束ができたら、内容をその場の担当者だけで抱えないようにします。顧客情報と接客の経緯を確認できれば、別の担当者が対応する際にも背景を把握できます。
忙しいと言われた場合と、断られた場合
相手が忙しいと伝えたら、その場での説明を止めます。単に日程が合わないのか、案内自体を望んでいないのかを都合よく解釈して、繰り返し訪問しないようにします。相手から別の日時や連絡方法を希望された場合に、その内容を確認します。
「必要ありません」「勧誘は受けたくありません」と伝えられた場合は、勧誘を終了します。
「承知しました。ご案内を終了します。失礼いたしました」
断られた後に「最後に一つだけ」と質問を重ねたり、別の提案へ切り替えたりして勧誘を続けないことが、終了判断の基本です。一般的な説明の組み立て方は、不動産営業のトークを考えるポイントも参考にしてください。

トラブルを避けるために守ること
宅地建物取引の勧誘ルールを確認する
宅地建物取引の契約締結の勧誘では、勧誘に先立って会社名、担当者名、勧誘目的を告げる必要があります。相手が契約しない、または勧誘を受けたくない意思を示した後に勧誘を続けることや、迷惑な時間の電話・訪問などは禁止されています。
「短時間ならよい」「担当者を替えればよい」といった理由で、相手の意向を無視しないようにします。実施する業務に当てはまるルールは、国土交通省の注意喚起や社内の管理担当と確認してください。
訪問の終了と、相手の生活・業務を優先する
訪問相手が断ったらその場を離れ、同じ意向が他の担当者にも伝わるよう記録します。帰るよう求められても居座る、相手の移動を妨げる、強い不安をあおるといった対応は行いません。
迷惑な時間かどうかは、時計だけで一律に判断できません。相手の生活時間や業務中の状況にも配慮します。連絡の約束がある場合も、都合が変わっていないかを確認し、説明を続けることを優先しないようにします。
聞いた情報は、目的に必要な範囲で扱う
訪問中に聞いた氏名、連絡先、家族や資産の話などは、個人情報に当たり得ます。公開情報や名刺であっても、自由な利用が認められるという意味ではありません。利用目的を明確にし、必要な通知・公表などの対応と、アクセスできる担当者の範囲を確認します。
会話の詳細を残す場合も、相談対応に必要な事実と、担当者の印象を分けます。業務上不要な情報まで書き込まないようにしましょう。第三者へ情報を渡す場合は、本人の意向だけでなく、個人データの第三者提供に関する要件なども確認する必要があります。個人情報保護委員会のQ&Aが確認先になります。
ルールの確認は社内で行ったうえで、日々の記録を共有できる運用を整えましょう。ツールの導入だけで勧誘ルールへの対応が完了するわけではありませんが、顧客対応の情報を確認する仕組みは検討できます。
訪問後の記録と振り返りで改善する
次の担当者が、約束した内容を読み取れる記録にする
訪問結果を「不在」「脈あり」「再訪」とだけ残すと、次の人が何をしてよいのか判断できません。少なくとも、訪問日時、目的、話せた相手、確認できた希望、約束した対応、担当者を残します。
例えば「資料希望。メール送付は了承。電話での連絡は希望しない。担当Aが金曜日までに送る」と書けば、すべきことと避けるべきことが区別できます。これは記録の説明例であり、利用するシステムに専用の許諾管理機能があるという意味ではありません。
記録では、相手が実際に話したこと、担当者の推測、次の約束を分けます。拒否の記録も担当者間で共有し、別の人が経緯を知らずに勧誘を繰り返すことを防ぐ運用が必要です。

訪問件数だけでなく、どこで止まっているかを見る
管理者は、訪問した件数、対話できた件数、相談につながった件数、合意した次の対応を分けて確認します。例えば、訪問先が不在で話せないなら、説明内容より対象・方法の見直しが先かもしれません。相談は生まれるのに次の対応が遅れるなら、担当分担や資料準備が課題かもしれません。
同じ人への複数回の訪問は、新しい接点の数と分けます。一定期間の成果を比較する場合も、訪問対象や投入時間が違えば単純な件数比較はできません。業界共通の「一日何件」「何%成約」という数字を、そのまま自社の基準にしないようにします。
続け方そのものを見直す
訪問で成果が出ない場合、担当者の話し方だけを直し続けるのではなく、その対象に訪問が合っているかを見直します。事前に連絡して日時を決める、情報提供の方法を変える、自社サイトや紹介の窓口を整えるなど、他の手法も選択肢です。
苦情や安全面の問題が出ているなら、成果との比較で放置せず、実施方法を止めて確認します。活動を続ける場合にも、無理な目標や長時間の拘束がないか、担当者の相談機会と合わせて振り返りましょう。
振り返りに使える情報を残しておくと、不在時の対応や担当変更にも備えられます。顧客ごとの履歴を確認する仕組みを、現在の記録方法と比べてみてください。
不動産の飛び込み営業でよくある質問
成果が出ないときは、何から見直す?
対象、訪問目的、最初の説明、相手の意向、訪問後の対応を順に確認します。話せないことと、話せても相談につながらないことでは対策が違います。訪問数だけを増やさず、どの段階で止まっているかを把握しましょう。
断られることが続き、負担が大きい場合は?
担当者だけで抱えず、管理者へ相談してください。同行や面談を設け、目標、活動時間、対象や手法を見直します。精神的な負担が大きいことを、単に経験不足や気合いの問題として扱わないことが大切です。休息や担当変更なども含め、続けられる条件を整えます。
話を聞いてもらえなければ、チラシだけ入れてよい?
チラシの配布にも、建物の管理規則、配布禁止の表示、立ち入りや配布方法などの確認が必要です。訪問を断られたことを、別の方法なら何をしてもよいという意味に置き換えないでください。配布内容の正確さや、苦情・停止の申し出への対応も確認します。
会社で対応を見直す際は、記録した内容を必要な担当者が確認できるかも点検しましょう。CRMの製品ページでは、顧客情報や接客履歴を扱う仕組みを確認できます。
訪問を受けた方へ:不要な勧誘にはどう対応すればよい?
契約や勧誘を希望しない場合は、その意思を明確に伝え、説明を聞き続ける必要はありません。対応できる範囲で会社名、担当者名、日時、具体的な言動を記録すると、相談時に状況を伝えやすくなります。
しつこい勧誘や不安な取引については、消費者ホットライン188で身近な消費生活相談窓口の案内を受けられます。危険が迫っている場合は、安全を優先し警察へ連絡してください。
訪問で得た相談を、次の担当者につなげる
飛び込み営業では、訪問先と目的を明確にし、身元を伝え、相手の意向に合わせて説明・終了を判断します。件数だけに偏らず、相談を受けた後の対応と、望まない勧誘を繰り返さない運用まで整えることが重要です。
訪問で生まれた相談を会社として支援するには、話した内容と次の約束を、担当者が変わっても読み取れる状態にします。
次に対応する人へ、相談の背景まで引き継ぐ
「担当者が休みで経緯が分からない」「前回の話をもう一度聞いてしまう」。こうした場面を減らすには、接客履歴を共有する仕組みと、記録する内容のルールが必要です。
FaciloのCRMでは、顧客情報、担当者、接客履歴を確認できます。訪問で聞いた情報のうち手入力する内容も決め、普段の顧客対応と一緒に管理する方法をご検討ください。サービス資料の請求、または自社の引き継ぎ方法についての相談から始められます。
※一部のAI機能は順次提供予定です。利用したい機能や入力方法は、導入相談でご確認ください。
執筆:Facilo編集部/情報確認日:2026年10月21日
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