宅建業免許とは?取得要件・申請手順と不動産仲介の資格

開業・独立

宅建業免許とは 取得手順・費用・資格との違い
目次

宅建業免許は、宅地建物取引業を営む事業者が受ける免許です。一方、宅地建物取引士(宅建士)は個人の資格です。不動産仲介の会社を開くための免許と、会社で働く人の資格は別の制度で、従業員全員が宅建士でなければ働けないわけではありません。

これから開業する人は、必要な免許の区分、人員・事務所の要件、申請から営業開始までの手続きを確認しましょう。仲介会社への就職や資格取得を考えている人は、後半の「仲介会社で働く人向け」の章で、資格が必要な仕事と、担当業務に応じた資格の選び方を整理しています。取引先の免許を調べたい人には、国土交通省の検索先も紹介します。

目的に合わせて、次の箇所からお読みいただけます。

手続きや提出書類の詳細は申請先によって異なります。この記事は2026年10月28日時点の法令・公的案内に基づく一般的な整理です。個別の申請では、免許を受ける都道府県や地方整備局等の現行案内を確認してください。

開業を準備する方は、免許手続きとあわせて、営業開始後の顧客対応や物件提案の進め方も考えておくと準備を分担しやすくなります。Faciloでは、仲介業務を支える各サービスを紹介しています。

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宅建業免許と宅建士の資格は何が違う?

宅建業免許は「事業を営む個人・法人」、宅建士は「一定の法定業務を担う人」に関する制度です。会社の代表者が宅建士であるかだけでは、営業できるかを判断できません。

事業者の免許と、個人の資格を分けて考える

比較する項目

宅建業免許

宅地建物取引士

対象

宅建業を営む個人事業者・法人

個人

主な役割

宅建業を営むための免許

重要事項説明などの法定業務を担う資格

取得の流れ

要件を整え、知事または国土交通大臣へ申請

試験合格、資格登録、宅建士証の交付

試験

免許申請自体に一律の試験はない

宅建士試験がある

営業との関係

免許に加え、営業開始前の保証手続き等も必要

資格だけで自分の宅建業を開業できるわけではない

宅建士の資格を持っていても、個人として宅建業を営むなら事業者としての免許が必要です。反対に、代表者が宅建士でなくても、必要な専任宅建士を置くなどの要件を満たせば、免許取得を検討できます。

宅建業を営む個人・法人の免許、個人の宅建士資格と宅建士証、担当業務に応じて選ぶ関連資格を区別。関連資格には、別業務で法定要件になる資格もあり、すべて任意と一括にはしない。
資格の位置づけを整理した図です。宅建士資格だけで開業できることや、他の専門業務を無資格で行えることを示すものではありません。

従業員全員が宅建士である必要はない

仲介会社では、物件情報の整理、問い合わせ対応、内見の案内など、宅建士でない従業員が担う仕事もあります。ただし、重要事項説明など宅建士が行うべき業務を、無資格者が代わりに行うことはできません。

「会社が免許を持っている」「その人が宅建士である」「その人が事務所の専任宅建士として勤務している」は、それぞれ別の確認です。就職の際は、法令上の資格要件に加えて、求人側が定める応募条件も確認してください。

取引先の免許は公的な検索先で確認できる

宅建業者を調べる場合は、国土交通省の宅地建物取引業者検索で、商号・名称や免許番号などを確認できます。表記の似た会社を取り違えないよう、所在地や商号も照合しましょう。

検索結果が見当たらない、変更直後で情報が一致しないなどの場合は、それだけで結論を出さず、免許権者の窓口へ確認します。免許の存在は、その取引内容や会社の業績まで保証するものではありません。

免許が必要な業務と、知事・大臣免許の違い

免許が必要かは業務の内容と事業としての実態、免許の区分は事務所を置く都道府県の数で確認します。取り扱う物件の場所で免許区分が決まるわけではありません。

売買・交換・代理・媒介と、自ら貸す場合を分ける

宅建業法では、宅地や建物について、自ら売買・交換すること、売買・交換・貸借の代理や媒介をすることを、業として行う場合を宅地建物取引業としています。宅地建物取引業法第2条

行うこと

宅建業免許との関係

注意点

自ら宅地・建物を売買する、交換する

業として行う場合は対象

自社所有物件だから必ず免許不要、とはならない

他人の売買・交換を代理・媒介する

業として行う場合は対象

紹介という呼び方だけで対象外にはならない

他人の賃貸借を代理・媒介する

業として行う場合は対象

賃貸仲介も対象になる

自ら貸主として賃貸する、転貸する

それだけなら宅建業に当たらない

他人の賃貸借の媒介等を併せて行う場合は別

物件の管理だけを行う

それだけなら宅建業に当たらない

賃貸住宅管理業法など、別制度の確認が必要な場合がある

「業として」に当たるかは、取引の対象者、目的、取得経緯、取引の態様、反復継続性などを踏まえて判断されます。「一度だけ」「知人への紹介」「謝礼という名目」といった一要素だけで、免許不要とは言い切れません。国土交通省・解釈と運用の考え方

仲介の仕組みは不動産仲介の役割で、紹介に関わる立場や確認事項は不動産ブローカーの意味と免許で説明しています。実際の業務が免許を要するか判断しにくい場合は、開始前に免許権者へ確認しましょう。

知事免許と大臣免許は事務所の所在地で分かれる

事務所の設置

免許の区分

例

一つの都道府県内にのみ置く

都道府県知事免許

東京都内に本店と支店を置く

二つ以上の都道府県に置く

国土交通大臣免許

東京都に本店、神奈川県に支店を置く

知事免許でも、その都道府県内の物件だけに取引が限られるわけではありません。大臣免許は「広い地域の物件を扱いたいから」という理由だけで任意に選ぶ区分でもありません。

また、すべての拠点が同じ意味で事務所になるとは限りません。継続的に業務を行う設備、契約締結の権限などを含め、宅建業法上の事務所に当たるか確認します。将来、他の都道府県へ事務所を増やす場合は、免許換え等の手続きも見込んで計画します。宅建業法第3条

免許の区分を確認したら、売買・賃貸のどの業務から始めるかに合わせて、営業の道具も選びましょう。資料請求フォームで、検討したいサービスを選べます。

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申請前に確認する人・事務所・欠格事由

申請の準備は、必要な人員、継続して使える事務所、申請者等の欠格事由を並行して確認します。物件を借りたり工事を発注したりする前に、申請先の手引きで条件を確かめると、準備のやり直しを防ぎやすくなります。

専任宅建士は、業務従事者数の5分の1以上

事務所には、業務に従事する人の数に対して、成年者である専任宅建士を5分の1以上置く必要があります。端数は切り上げるため、次の人数になります。

事務所の業務従事者数

必要となる専任宅建士数

1〜5人

1人以上

6〜10人

2人以上

11〜15人

3人以上

算定は営業担当者だけを数えるものではありません。代表者や専任宅建士本人なども含め、誰を業務従事者として扱うかを申請先の案内に沿って確認します。案内所等には事務所とは別の基準があります。宅建業法第31条の3・施行規則第15条の5の3

専任性の確認では、通常の勤務時間に適切に業務を行える体制が必要です。ただし、単純に「常にその事務所の席にいなければならない」「いかなる兼務も不可」と説明すると、現行の運用を正確に表せません。事務所以外での勤務などは、実際の勤務体制を申請先に説明して確認します。複数の事務所の専任宅建士を自由に兼ねられるという意味ではありません。国土交通省・現行の解釈と運用

代表者が無資格の場合と、一人で開業する場合

代表者自身が宅建士であることは、一律の免許要件ではありません。ただし、事務所ごとに専任宅建士などの体制を満たす必要があります。

一人で宅建業を営む場合は、その人が有効な宅建士証を持ち、専任性などの要件を満たすことが必要です。「従業員を最低何人も雇わなければならない」という一律の人数条件と、専任宅建士の設置要件は混同しないようにしましょう。

また、代表者が常勤しない事務所では、契約を締結する権限を持つ常勤の政令使用人が必要となります。本店でも対象になり得るため、支店だけの話と考えないことが大切です。埼玉県・免許申請の手引き

必要な人員を確保したうえで、少人数でも相談内容を引き継げる方法を準備しておきましょう。顧客との連絡や検討状況を共有する仕組みは、営業の役割分担を考える材料になります。

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事務所は、自宅や共同オフィスでも個別に確認する

事務所には、継続的に業務を行える場所としての実体や独立性などが求められます。自宅の一部、他社と同じ建物、シェアオフィスだから一律に可・不可と決まるわけではありません。

確認するのは、使用する権限、区画の分離、居住部分や他社の区画との動線、来客対応や執務のスペース、連絡体制などです。間仕切りや設備の具体的な運用は申請先で異なります。賃貸借契約や内装工事の前に、図面を用意して相談しましょう。

事務所の設置・人員を詳しく確認する場合は、宅建業の事務所要件で整理しています。申請時は必ず申請先の最新案内も参照してください。

欠格事由は「人」と「事由・期間」を確認する

宅建業法第5条は、免許を受けられない事由を定めています。申請者だけでなく、法人の役員や政令使用人等も対象となる場合があります。

例として、復権を得ていない破産者、一定の免許取消しから所定期間を経過していない場合、拘禁刑の執行終了等から所定期間を経過していない場合などがあります。ただし、取消しの理由や刑の種類、期間の起算点には条件があるため、「過去に免許が取り消された人は全員不可」「判決から5年たてばよい」と単純化しないでください。宅建業法第5条

申請前の確認

用意して確かめる内容

人員

業務従事者数、専任宅建士、代表者・政令使用人の勤務体制

事務所

使用権限、図面、区画、動線、執務・応接等の設備

欠格事由

対象者、事由、期間、申請先が求める証明資料

書類の整合

法人情報、所在地、氏名、各証明書と申請内容の一致

申請費用と営業開始までの手順

申請時の税・手数料、営業保証金等、協会費用、開業経費は分けて見積もります。免許の審査を通過しただけで、すぐに仲介営業を始められるとは限りません。

費用は「申請」「保証」「その他」に分ける

区分

確認する費用

具体例・確認上の注意

大臣免許の新規申請

登録免許税

9万円。更新時の手数料とは別

大臣免許の更新

申請手数料

紙3万3,000円、オンライン2万6,500円

知事免許の申請

申請先の手数料

埼玉県の例は窓口3万3,000円、電子2万6,500円。他の申請先は現行案内を確認

営業保証金を供託する場合

法定の供託額

主たる事務所1,000万円、その他の事務所ごと500万円

保証協会の社員となる場合

弁済業務保証金分担金

主たる事務所60万円、その他の事務所ごと30万円

協会等の費用

入会金、会費など

上記の分担金とは別。加入先の案内を確認

その他の開業経費

事務所、備品、業務ソフト、各証明書、依頼する場合の専門家費用等

申請手数料や分担金を「開業費用の総額」としない

金額は2026年10月28日確認。申請方法や対象地域をそろえて比較してください。関東地方整備局・免許申請案内、埼玉県・宅建業免許申請、宅建業法施行令

営業保証金の供託と、保証協会の社員になる方法は、別の制度です。指定保証協会には、全国宅地建物取引業保証協会と不動産保証協会があります。分担金だけで必要資金が確定するわけではないため、入会金・会費、手続きの時期も確認します。

開業予算では、免許申請や保証の費用とは別に、営業開始後に使う業務ツールの費用も見積もります。Faciloへの相談は、顧客対応・提案・情報管理などの導入範囲が対象です。

→ 開業後の業務ツールの導入範囲・費用を相談する

現行様式を使い、審査・補正の時間を見込む

申請書類は、個人・法人、新規・更新、知事・大臣などで変わります。事務所や人員を示す資料、登記事項証明書、欠格事由に関する証明書など、申請先の一覧に沿って準備します。過去の申請書をそのまま流用せず、現行様式を確認してください。

紙と電子で提出方法や費用が異なる場合もあります。電子申請に必要な準備、添付資料の形式、補正の連絡方法まで確認しておくと、提出後の対応を担当者に引き継ぎやすくなります。

審査期間は全国共通ではありません。申請先が案内する期間を基準にし、書類の補正や事務所確認等に必要な時間も見込みます。広告の開始日や事務所のオープン日を決める前に、営業を開始できる条件を窓口へ確認しましょう。

免許通知と、営業開始できる状態を区別する

手続きは、おおむね次の段階に分けられます。ただし、免許証を受け取る時期などの細部は申請先によって異なります。

段階

進めること

完了を確かめること

準備

人員・事務所・欠格事由・資金を確認

申請条件と必要資料が整っている

申請・審査

現行様式で提出し、必要な補正に対応

審査結果・免許通知の内容

保証に関する手続き

営業保証金の供託、または保証協会への加入等

届出・協会側の供託や通知等、開始条件の充足

営業開始前の確認

免許証の受領手順、掲示・記録等を確認

申請先の案内に沿って営業開始できる状態

直接供託する場合は、営業保証金を供託したことの届出前に営業を開始できません。保証協会の場合も、加入申込みや分担金の納付だけで完了とせず、協会による供託・免許権者への通知等を含む手続きを確認します。宅建業法第25条・第64条の7

準備と免許申請・審査の後、直接供託ルートでは営業保証金の供託と届出、保証協会ルートでは加入・分担金納付と協会による供託・通知等を確認。免許証の受領や掲示・記録等の開始条件を整えて営業を始める。
全国共通の交付順序を確定する図ではありません。申請先・加入先の現行案内に沿い、営業開始前の条件を確認してください。出典:本文記載の宅建業法第25条・第64条の7等。

取得後の更新・変更と、営業体制を整える

免許取得後は、更新や変更の手続き、法定の掲示・記録を維持しながら、顧客対応と物件提案の運用を整えます。営業ツールを導入しても、それだけで法定義務を満たすわけではありません。

有効期間は5年。更新期間と変更手続きを管理する

宅建業免許の有効期間は5年です。更新申請は、有効期間満了日の90日前から30日前までに行います。申請後、満了までに処分が行われない場合には、処分があるまで従前の免許の効力が続く規定があります。宅建業法第3条・施行規則第3条

商号、事務所、役員、専任宅建士などに変更があったときも、対象となる手続きを確認します。変更届、免許換え、廃業等の届出を一つの手続きと考えず、変更内容ごとに期限・必要書類を整理しましょう。

専任宅建士の退職などで設置要件を欠いた場合は、2週間以内に要件へ適合させるための措置が必要です。退職者が出ても必要数を満たす場合まで、必ず同人数を補充するという意味ではありません。宅建業法第31条の3

掲示する業者票と、免許証を混同しない

営業時には、業者票や報酬額表の掲示、帳簿・従業者名簿等の備付け、従業者証明書など、法令上の対応が必要です。「免許証を掲示すればすべて完了」と考えず、事務所や業務に必要な項目を申請先の手引きで確認します。宅建業法第46条・第48〜50条

顧客対応は、次の担当者が判断できる記録にする

営業を始める前に、問い合わせ経路、希望条件、対応履歴、次の連絡予定をどこへ記録するか決めます。代表者が不在のときや担当者が休んだときにも、誰が何を案内したか分かる形が必要です。

記録では、お客様が述べた事実と担当者の推測を区別します。「予算は○円と聞いた」と「価格を下げれば検討しそう」は同じ情報ではありません。次の行動の担当と期日までそろえると、対応が止まっている案件も確認しやすくなります。

顧客情報が個人のメモやメールに分かれる前に、相談内容と次の対応を整理する場所を決めておきませんか。営業開始時の記録や引き継ぎを考えるために、CRMの資料を確認できます。

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物件提案は、送る資料と比較の観点をそろえる

購入希望者への提案では、候補を送るだけでなく、価格、立地、広さなど、何を比較してほしいかを添えます。条件変更や見送り理由が分かれば、次の提案を調整できます。

紙・メール・共有ページなど、使う方法に応じて、更新後の資料が相手に伝わるか、他の顧客の情報が混ざらないかも確認します。社内の顧客管理と、顧客へ見せる提案資料は、公開範囲を分けて設計してください。

購入希望者に複数の候補を案内するなら、物件ごとの資料と比較しやすい見せ方を準備しましょう。購入仲介向けの共有・提案の仕組みを確認できます。

→ 購入希望者と物件を比較・共有する仕組みを見る

既存のツールと、新しく使うツールの分担を決める

顧客管理、物件情報、会計、契約関係の資料を、すべて一つのツールにまとめる必要はありません。何を正本にするか、誰が閲覧・編集できるか、退職や担当変更のときにどう引き継ぐかを先に決めます。

特に、営業CRMの記録と法定帳簿等は同一ではありません。法令上の記載事項や保存条件への対応は別に確認し、各サービスが担う範囲を見極めましょう。開業直後に必要な運用から始め、人数や業態が変わったときに見直せる状態を目指します。

いま使っている顧客台帳や物件資料を、どこまで残し、どこから新しい仕組みに移すか。営業の手順に合わせて導入範囲を相談できます。

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【仲介会社で働く人向け】必須・任意の資格を整理する

就職や担当業務を考える場合は、宅建士の法定業務と、それ以外の専門知識を学ぶ資格を分けて選びます。ここからは開業の免許申請ではなく、仲介会社等で働く個人に向けた説明です。

資格がなくても担える仕事と、宅建士の業務

物件の調査補助、広告準備、問い合わせ対応、内見案内などには、宅建士資格が法令上一律に必須ではない仕事があります。ただし、会社の免許・業務体制の下で、各仕事に適用されるルールを守る必要があります。

宅建士が担う代表的な業務は、重要事項説明、重要事項説明書への記名、契約内容を記載する37条書面への記名です。2022年5月18日の改正施行で、宅建士の押印義務は廃止されました。現在の説明で「記名・押印が必要」とするのは適切ではありません。国土交通省・改正案内

重要事項説明には取引の相手方等による例外もあるため、実際の取引では現行の法令と社内手順を確認します。資格を持っていない人が説明の資料を準備することと、法定の説明を担当することも区別してください。

宅建士になるには、試験・登録・宅建士証を区別する

段階

行うこと

次へ進む際の確認

試験

宅建士試験に合格する

合格だけで宅建士の法定業務を行えるわけではない

資格登録

都道府県へ登録を申請する

実務経験などの要件。所定の登録実務講習で代替できる場合がある

宅建士証

交付を受け、有効な証を持つ

交付時の講習、証の有効期間・更新等を確認する

宅建業に関する2年以上の実務経験がない場合は、登録実務講習の修了により登録要件を満たす方法があります。経験として認められる業務や期間の算定は、登録先で確認してください。

登録実務講習と、宅建士証の交付に関する法定講習は別です。試験合格後1年以内に宅建士証の交付を受ける場合には、法定講習が免除される扱いがあります。宅建士証の有効期間は原則5年です。滋賀県・宅建士登録までの流れ、宅建業法第22条の2

実務経験がないから宅建士になれないと決めつけず、自分がどの段階にいて、どの要件や講習が必要かを登録先へ確認しましょう。

賃貸・マンション管理へ仕事を広げる場合

似た名称の資格でも、支援する相手や法定業務は異なります。仲介の仕事で何を担当したいか、管理業務も担うのかを決めてから選びます。

資格

活かす分野・役割

条件・位置づけ

検討する場面

マンション管理士

管理組合等への相談・助言

国家資格。試験後の登録が必要。名称独占で、業務独占ではない

管理組合への助言を専門領域として学びたい

管理業務主任者

マンション管理会社側の管理委託契約の重要事項説明、管理事務の報告等

国家資格。試験・登録・主任者証の交付を区別する

マンション管理会社の該当業務を担当したい

賃貸不動産経営管理士

賃貸住宅管理の知識・実務

国家資格。試験後の資格者登録等が必要。業務管理者となるルートの一つ

賃貸管理を担当し、業務管理者の要件も検討したい

賃貸住宅管理業の業務管理者には、宅建士に指定講習等を組み合わせるルートもあります。賃貸不動産経営管理士が唯一のルート、あるいは賃貸仲介の従業員全員の必須資格というわけではありません。国土交通省・業務管理者の要件

資格の位置づけは、マンション管理センター、マンション管理業協会、賃貸不動産経営管理士協議会で確認できます。

建物・資金・専門領域の資格を選ぶ場合

関連資格は、仲介業務の知識を深めるものと、別の専門業務を担うためのものに分かれます。取得すればあらゆる相談へ回答できる、という考え方は避けましょう。

資格・制度

活かす分野

取得・業務上の注意

検討の目安

建築士

建築物の設計・工事監理等

国家資格。試験後の免許登録が必要で、種類により業務範囲が異なる

建築の専門業務を担う目標がある場合

ホームインスペクター等

建物の状態を確認する知識

民間認定等と、宅建業法上の建物状況調査の担い手を同一視しない

調査の依頼・説明を理解し、正式な制度と対象を選びたい場合

FP技能士

家計・資産・資金計画等の知識

国家検定の1〜3級。税務代理等の別資格を代替しない

購入資金等の相談に必要な基礎知識を学びたい場合

AFP・CFP®

ファイナンシャル・プランニング

日本FP協会の認定。FP技能士とは別制度で、認定・継続要件を確認

継続して資金計画等の知識を学ぶ目標がある場合

住宅ローンアドバイザー

住宅ローンの選択・返済計画等

住宅金融普及協会の制度は民間資格。業務独占資格ではない

住宅ローンの基礎と説明の知識を整理したい場合

公認 不動産コンサルティングマスター

不動産の活用・事業等の相談

不動産流通推進センターの認定。受験資格と認定登録の要件が別

対象資格や実務経験を踏まえ、コンサルティングを学びたい場合

不動産鑑定士

不動産の鑑定評価

国家資格。試験後に実務修習・修了考査・登録。鑑定業の登録は別

鑑定評価を専門業務として担いたい場合

土地家屋調査士

表示に関する登記の調査・測量・申請代理等

国家資格。資格・登録等が必要。権利登記一般の代理とは異なる

土地・建物の表示登記分野を専門にしたい場合

インテリアコーディネーター

住空間やインテリア商品の提案

インテリア産業協会の認定。建築士免許等の代わりにはならない

住空間の提案知識を深めたい場合

建物状況調査については、国土交通省の登録講習を修了した建築士が担う制度があります。「住宅診断士」という呼び名や民間資格だけで、すべての法定調査を担当できるとは考えないでください。国土交通省・既存住宅状況調査技術者講習制度

公認 不動産コンサルティングマスターも、「宅建士として5年働かなければ受験できない」と一括にするのは不正確です。受験対象には宅建士・不動産鑑定士・一級建築士の登録者等があり、認定登録時の経験等の要件とは別です。登録には、対象資格の登録後、その資格に関する業務の実務経験が5年以上あるルートと、3年以上5年未満の実務経験に所定の講習修了を組み合わせるルートなどが案内されています。不動産流通推進センター・受験案内

資金相談の知識を持っていても、個別の税務・法律・金融商品の業務をすべて行えるわけではありません。自分が説明する範囲と、税理士・弁護士等の専門家へつなぐ範囲を確認します。日本FP協会・資格の種類、FP業務に関連する法令

その他の資格の詳細は、国土交通省・建築士登録、日本不動産鑑定士協会連合会、日本土地家屋調査士会連合会、住宅金融普及協会、インテリア産業協会で確認してください。

取得する順番は、担当したい仕事から決める

仲介の契約実務を担いたいなら、宅建士の取得と法定業務の理解が優先候補です。賃貸管理へ進みたいなら管理の制度、建築や鑑定を専門にしたいなら、その業務に必要な資格と取得工程を調べます。

一方、接客、提案、改修知識などは、研修や実務学習でも身につけられます。資格を増やすこと自体を目的にせず、正式名称、認定団体、受験・登録条件、担当できる業務を確認して選びましょう。資格数だけで成約率や収入が決まるわけではありません。

免許・資格でよくある質問

よく似た質問でも、「会社の営業」「個人の就職」「法定業務」のどれを尋ねているかで答えが変わります。

宅建士がいなくても会社を開けますか?

代表者本人が宅建士でなくても、必要な専任宅建士等の要件を満たせば免許取得を検討できます。ただし、専任宅建士を置かないまま宅建業を始められるという意味ではありません。資格者を雇う場合も、専任性・勤務体制などを確認します。

一人で開業できますか?

必要な免許、人員、事務所等の要件を満たすことが前提です。一人で営業する場合は、その人が有効な宅建士証を持ち、専任性等の要件を満たす必要があります。人数だけで可否を決めず、申請先に事業計画を確認しましょう。

申請中に仲介営業を始めてもよいですか?

申請中というだけでは始められません。免許に加え、営業保証金の供託・届出、または保証協会に関する必要手続き等を経て、営業開始できる状態を確認します。準備行為と実際の宅建業の営業に迷う場合は、開始前に窓口へ相談してください。

免許番号の括弧内の数字は何ですか?

新規免許は「(1)」、更新すると「(2)」というように増える免許の回数を示します。単純にその数字が更新回数と同じではなく、取引の安全性や営業力を保証する数字でもありません。

資格がなくても仲介会社に就職できますか?

宅建士資格を全従業員に法令上一律に求めているわけではありません。担当できる仕事と宅建士が行う法定業務を分け、求人の条件を確認してください。入社後に資格取得を目指す場合は、学習支援や担当業務との両立も確かめるとよいでしょう。

知人に一度だけ物件を紹介するなら、免許は不要ですか?

一度だけか、知人か、謝礼を受けるかという一要素だけで断定できません。業として行うかは、目的や態様、反復継続性等も踏まえて判断されます。具体的な取引については、免許権者等へ確認してください。

開業全体の手順は、不動産開業に必要な準備と手順で確認できます。

免許の準備と、開業後の業務準備を分けて進める

申請の条件を整えることと、営業開始後に顧客へ対応できる仕組みを整えることを、別の準備項目として管理しましょう。

免許については、事業内容、事務所の設置場所、人員、欠格事由、資金、申請先の手順を確認します。資格については、法定業務を担うためのものと、担当分野の知識を広げるものを分けて考えます。

営業準備では、問い合わせへの対応、顧客記録、物件提案、募集情報の更新、引き継ぎの手順を決めます。法定の記録と営業管理を混同せず、それぞれの目的に必要な情報と担当を明確にしてください。

開業後に「誰が、どの顧客へ、次に何をするか」が分かる営業体制へ

免許の手続きと並行して、営業開始後の顧客対応や物件提案を準備しておきませんか。

  • 問い合わせや相談履歴を、担当者間で引き継ぎたい
  • 購入希望者と候補物件を比較しながら提案したい
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執筆:Facilo編集部/制度・製品情報の確認日:2026年10月28日